「震災後の刺激が足りない平凡な日々」生きる街 野川新栄さんの映画レビュー(感想・評価)
震災後の刺激が足りない平凡な日々
東日本大震災で被害があった海辺の田舎町に住む人々の数年後の話
これは珍しい夏木マリ主演映画
『永遠のパズル』で有名な歌手橘いずみの夫で俳優の榊英雄が監督
にもかかわらず派手さは全くない地味な映画
石巻では今年も上映されたが映画館で観ることはできなかった
監督業もやっていることは知っていたが彼がメガホンをとった作品を観たのはこれが初めて
津波に流され広大な空き地になった住宅地こそ出るが震災の瞬間の映像は無いのでトラウマを抱える被災者からすれば優しい映画である
僕の子供の頃と違い田舎でも外国人は珍しくなくむしろわりと沢山いる
映画人としては震災モノを作るなら刺激的な映像がほしいところだがよく我慢した
再現するには予算が足りなかったかもしれない
震災で夫が流されて行方不明になったとはいえそれなりに平凡な日常風景が淡々と続いていく
東北太平洋側の海沿いに住んでいるわけではないが隣の市に住んでいる者としては「で?なに」って言いたくなるちょっと退屈な話だ
もうあれから9年経っている
東日本大震災絡みの映画はありふれている
いまさら共感を求められても共感はできなかった
親戚のなかにも自宅を流され避難所生活をしていた人たちもいるのだが
実際に足を運び陸前高田気仙沼南三陸の海沿いの今も残る大規模な深い傷跡を眺めている方が今も心にずしんと来る
慰めの言葉は見つからないし苦悩する人々は見たくない
東北太平洋側の大津波はあれが初めてではない
明治の頃もたくさんの人が亡くなった
それが活かしきれなかったのが悲しい
いろいろな意味でしょっぱい映画だった
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