「母親至上主義」いのちのはじまり 子育てが未来をつくる C=Cさんの映画レビュー(感想・評価)

2.0母親至上主義

2017年7月24日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

難しい

幸せ

子育てとはなんぞや、というのを世界中の育児を取材したドキュメンタリーでした。まだ子供のいない夫婦や、女性(母親)にはオススメです。

しかし、ちゃんと子育てや家のことをやっていながらも迫害されてる父親は、見ると少しつらい、「母親至上主義」映画にも感じられる内容でした。
基本的に何十人ものインタビューで綴られる内容なのでが、違和感を感じたのが「夫婦でインタビューに応えてる」のがほとんどありません。もちろん男性(イクメン)も出てくるのですが、そこには母親の姿が見えません。夫婦で仲良く子育てをしているという描写が一切ないのです。「父親がいなくても、母親がいれば子供はちゃんと育てることができる」という具体的な表現もありました。
演出上、あえて環境のよくない人たちにフォーカスをあてるというのは解ります。しかし、映像制作の仕事に携わってる自分としては「いちおうイクメンにもインタビューしておき、コメントとして『父親の役目も大事です』と言っておけば体裁は保てるでしょ?」という監督の意図を感じてしまいます。

ひと昔と違い、近年では男性も子育てをやるようになったと言われてます。これはやはり女性の主張があったからこその文化だと思いますが、そのため「少しやるだけなら、やらないほうがいい。でも、全くやらないのは最悪」という矛盾した対応も大きく生み出してました。
そのため父親が子育てに参加するようになっても「両親が各々子供に目を向けるようにはなるが、両親同士が目を合わせることがない」状況を生み出しやすくなっていると思います。

ただでさえ結婚しない人が増えている昨今、現在の(日本の)子育て問題というのは、街や社会の受け入れ環境の改善ではなく「夫婦同士の関係を見直す」ことが重要なのではないでしょうか。
どの育児教則には「仲の良い両親が良い子を育てる」と書かれてますが、仲の良い夫婦のほうが少ないと思います。昔は大家族や村ぐるみで「誰かがこどもの面倒を見てくれる」という環境だったと思いますが、今のように核家族がほとんどの社会では「仲の良い夫婦」を作れる周りの環境、文化や考え方を浸透させることで、育児環境を良くしていけるのではないでしょうか。

斜め上の偏見の強い感想かもしれませんが、この映画を見終わったあとに感じたことを書きました。一部のイクメンさんに参考にしてもらえれば幸いです。

C=C