50年後のボクたちはのレビュー・感想・評価
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現在進行形の子供たちの物語
終始、大人のノスタルジーでなく、現在進行形の子供たちの物語であることがよかった。“過ぎ去ったあの夏”を懐かしむ後ろ向きなムードは一切なく、マイクもチックもこの現代を生きている子供たちなのだ。
リチャード・クレイダーマンのピアノ曲が旅のBGMになるのは原作の通り。監督はどこかで「皮肉をこめて使った」と発言していたが、多種多様な音楽に混ざることで、クレイダーマンの曲もダサさから一周まわって肯定的に響いているように聞こえる。それもきっとこの映画の力なのだと思う。
チックのその後をイラスト調で描くエンドクレジットでブタの姿をしたおばさんが出てくるのは原作を読んでいないと意味がわからないと思うが、原作とはまた違った“その後”がより開かれているように感じられた。これも自分がこの映画にすっかり惹きこまれた証拠なのだろう。
民主国家でもいるんだよね。男社会はやはり暴力さ。
渚のアデリーヌ リチャード・クレイダーマン
は立派な音楽だよ。ドイツとかヨーロッパの人は若者でも聞くと思うが。
もう少し、楽しいスリリングなロードムービーなら50年後に再会しても良いと思うが。
これじゃ、スタンドバイミーと変わらないかなぁ。
先日お亡くなりになったドイツの血をひく名ピアニストのフジ子・ヘミングさんがおっしゃっていた。『ドイツの人って個性豊かな人多い』って。但し、もう少し辛辣な言い方だったけどね。
僕はタチアナは可愛い♥と思わないけどね。
2066年7月28日 僕は99歳だ。
『小さな恋のメロディ』の
150学期後を思い出す。
ジュブナイルだが現代的な意匠
ファティ・アキンを知らずに観ました。少年たちの一夏の冒険と成長。昔ながらの定番的なジュヴナイルかと思いきや、清く正しく美しくではないところもあり、チックが抱えているものとか、終わりではなく始まりを感じさせるエンディングとか、色々と思うところがあった。
でこの後『女は二度決断する』で次は『屋根裏の殺人者 フリッツ・ホンカ』と、この人いったいどういう人なの。
とてもよかった
近年、少年が冒険をする映画を何本か見ている中では一番面白かった。ただホームレスの美少女はファンタジーだと思う。ディーゼルのMT車なところがすごくよかった。
「後戻りは嫌だ」と変にこだわるところが非常に若々しくてよかった。オレにもチックみたいな友達いた。今はどうしているのだろう。
ちょうど最近ラジオの『東京ポッド許可局』でリチャードクレイダーマンが話題になっていたところだったので、タイムリーだった。
アル中のお母さんが魅力的だった。魅力的に見える気持ちがわかる。本人はお酒で苦しんでいるのだろうけど、子供には楽しくて素敵なお母さんな感じがした。
クラスのマドンナ的な女の子は意地悪そうで、多分実際意地悪なのだろう。チックが言っていた通り、ホームレスの女の子の方がずっとよかった。
田舎で家族とクイズ出しながら食事する場面、風車で再開する場面など、すごくよかった。スカジャンが欲しくなった。
グッバイ、サマーと比べると…
昨年のちょうど同じ時期に公開されたフランス映画『グッバイ、サマー』と驚くほど同じ設定の本作。思春期男子のロードムービーは夏の終わりに観るものなのだろうか。
丁寧でナイーブ、ほろ苦い作風だった『グッバイ、サマー』に比べて、本作はカラッとしており、大味で雑。
それでいて物語はどことなくモッサリしており、映画からはヤケクソなエネルギーも感じられず、なんか不完全燃焼感がぬぐえない。車を盗んで無計画に突っ走るんだから、映画全体にもっとグルーヴ感が欲しいところ。つまらなくはないけど、佳作とも言い切れな微妙なレベルの作品だったな、との印象です。『グッバイ、サマー』と比べると、クオリティ的にかなり落ちると思います。
その理由は、人物描写が全般的に大雑把であること。
主人公のチックは、ゲイでアジア人で天才でアル中と、ある意味マイノリティーのイメージを凝縮したようなキャラで、かなりToo Muchです。設定盛り過ぎ。しかも背景がまったく描かれないので、何が彼たらしめているのかがよくわからないため、キャラに入り込めず。ゲイの葛藤については、序盤の「お前ゲイか?」と言った罵りから窺い知れてはいましたが。
また、イザはなかなか魅力的なのに、チックと同様に何者なのかが窺い知れない。まー、孤独だ、とかはわかるけどさ。そこから一歩踏み込んだ何かが欲しい。
せっかくみんなキャラ立っているのに、上記の理由で物語に没入できない。そこが最大の不満点でした。
一方、主人公で語り手だけありマイクの描写はバッチリで、ちゃんと成長しており良かった。裁判所でクソ親父の意見を振り切り、自分の意志を主張したシーンはカッコ良かった。ラストは面構えもドスが効いてきましたし。
そしてスカジャン。黒ではなくグリーンというのが粋です。オーバーサイズなのも逆に良い。小柄なマイクがイキって着てる雰囲気が出ていてキュートでした。ドイツ映画でスカジャン(Japan の刺繍入り!)を見れたのは、スカジャニストとして単純に嬉しく、とても誇らしい気分です。
変人は犯罪者ではない。
まず邦題からして内容を表しているとは言いがたい。
明らかに少年たちの爽やかな青春ものを期待させる邦題の付け方だが、原題は『チック』である。
2人の悪ガキのより悪い片割れの名前である。
何か美しい友情を想像させるような邦題をつけて完全にミスリードしている。
ある場所で3人の少年たちが会おうと約束した、ただそれを切り取って邦題にしただけである。
周囲から理解されない変わり者の少年2人のロードムービーになる。
この映画には『14歳、ぼくらの疾走』というドイツでベストセラーになった児童文学の原作小説があるらしい。
原作を読んでいないので、この映画がどこまで原作に忠実であるかわからないが、変人を描く際、本当に作者(監督)が変人なのか、凡人なのか、筆者はなんとなく探ってしまう。
原作者か監督かどちらかはわからないが、この作品に関しては後者ではないかと思う。
凡人が変人を描く際、実際は理解できないものだから作中の変人たちの行動が過激になり過ぎて結局は犯罪者や過激な社会不適合者になってしまい、最終的にきっちりと社会から制裁されてしまう。
変人は犯罪者とイコールではない。
原題になった主人公マイクの相棒であるチックは悪ガキという言葉では済まされない犯罪者になってしまっている。
しかもまたチックはゲイでかつ見た目がアジア系のような移民である。
いやさ、あまりにも安直すぎるよ!
主人公マイクの母親が飲んだくれで、父親が若い女の子と不倫中、両親の仲はうまくいっていない。
このマイクのバックボーンの設定もいかにもありがちなステレオタイプすぎる。
この原作小説がドイツの児童文学賞を総ナメにし、200万部以上売り上げているという。
ドイツ人は真面目すぎて、羽目を外すなら犯罪するぐらいまでやれ!という鬱屈した感情を抱えているのだろうか?それとも原作は映画とは違うのだろうか?
2人の行動が途中から犯罪まっしぐらになっていくほど馬鹿すぎて応援する気が失せる。
去年筆者が観た同じような少年2人のロードームービーに『グッバイ、サマー』という作品があるが、この変人2人は犯罪者にはならない。
監督のミシェル・ゴンドリーの自伝的な作品らしいが、ゴンドリーは罪を犯すほどやりすぎず、変人ではあるが旅を通して適度に少年2人も成長していく。
例えば本作をクラスでハブにされるような中学生ぐらいの変人が観るとして、果たしてオレもああなりたい!などと共感できるだろうか?
そうは思えない。
一夏の騒動を終えてパトカーから降りてきた主人公マイクを他の生徒たちがまるで尊敬の眼差しで眺めるシーンがあるが、人殺しをして出所したハクのついたヤクザかよ!と思わずツッコミを入れたくなった。
またエンドロールにチックのその後がアニメで流れるのだが、もう彼はいっぱしの犯罪者にしか見えない。
多分このまま行けば次は銀行強盗だろうな!という未来しか見えてこない。
よって50年後は野垂れ死んでいるか刑務所の中だから他の2人とは再会することはできないように思える。
ただ本作にもうらやましいところはある。
少年たちに実際に車を運転させているところ、タバコを吸わせているところである。
有名な笑い話だが、道路交通法をあまりにも遵守している今の映画業界では警察に追われた犯人でもきっちりとシートベルトを着用してから逃げる。
本作の少年2人は車を運転している上にシートベルトも付けない。
日本もドイツと同じように中学生が主役の過激な映画を作れと言うつもりはない。
しかし中学生を主役にした面白い作品があったとしても、上記の表現が制限されることでそもそも映画化の企画段階にも上がらない可能性もあるのではないだろうか。
また本作の主役2人はオーディションで選ばれている。
日本の映画業界も主役の中学生を高校生に設定変更するのではなくもっとオーディションをして広く人材を探すべきである。
僕の前に径はない、僕の後ろに径はできる。
この作品の印象は、
詩人 高村光太郎の「僕の前に径はない、僕の後ろに径はできる。」がぴったり合う。
映画『スタンドバイミー』のような作品であった。舞台がドイツと知って結構
驚いた。
話の展開や主人公3人のキャラが薄く、今一つ。なによりも、題名にあった50年後の3人がどのような人生を歩み、どのような体験したのかをわくわくして見ていたのが、結局、判らずじまい。
見る者が、それぞれ想像せよということか。
一番気になったのが、イザの存在。彼女は、画材のようなケースをもっていたが、あれはなんであったのだろう。
なぜイザは、あんな廃墟にいたのか。姉に会いたいという願いでバスに乗ったのだが、彼女にとっての「姉」の存在がなんであったのかも描かれていないれていない。
チックのカミングアウトも無駄と言えば無駄。
原作が児童小説であるためか、話の要所々々が浅く物足りない。劇中の車中で流れるクレーダーマンは、とても懐かしく。なかなかのスパイスで良かった。
不憫な冷凍ピザ
人気者の誕生日パーティーなんて招待されたことのない根暗な私としては、マイクに自分を重ねてはっちゃけ楽しみたかったんだけど、意外と感情移入ができずに終わってしまった。
冴えない10代男子が夏休みに普通とは外れたことをして全力で楽しんで怒られてちょっと大人になっちゃうような映画ってよくあるけど、14歳にしてはかなり大人びていたりやたら運転が上手だったりと、ん?となる点が多かったのかな。
チックに関してはバックグラウンドがよく分からないうえに突き抜けてブッとんだ面白さがあまり見られず。
ただ彼の髪型には某国の最高指導者をちょっと彷彿とさせられてしまう強いインパクトがあった笑
まあそれでも普通にセオリー通りの面白さはある。
田舎の家族の頭の良い子供達は独特の雰囲気があって良いし、途中合流するイザなんて何がしたかったのかよく分からんもののそれこそブッとんでてとても良いキャラしてる。
一つ一つの会話や行動にクスッとさせられる場面も多く、何より映像と音楽が綺麗で楽しい。
「こんな青春を送りたかった!」とはならないものの、観ていて飽きない明るさがある。
エンディングのアニメーションで少し触れられているけど、チックがその後どうしてるのかはかなり気になるところ。
それにしても、これ系の映画に出てくる学校イチのモテ美少女枠の女の子が大体へちゃむくれでそこまで可愛くないのはなぜだろう…
日本人と西洋人の感覚の違いなんだろうか。
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