劇場公開日 2017年11月17日

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「絵空事の理想論」不都合な真実2 放置された地球 うそつきかもめさんの映画レビュー(感想・評価)

2.5 絵空事の理想論

2025年10月16日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

今の社会情勢で、文明社会の構造的欠陥を突いて「社会風刺」することがどれほど空虚で、夢想的か、思い知った次第です。

映画を見て、免罪符を得た気分に浸れる構造には納得できる。「こんなことをしている場合じゃない。今すぐ工業製品を消費するのをやめさせなければ」などと、良心を痛めることで、あたかも海亀を救った気分になれる。実際にはただ映画を見ただけだというのに。

それにしても、これだけの疫病の流行で、人間の日常が吹っ飛ばされると、映画を見て、人類の破壊的行為に憤る自分も、ただのお馬鹿さんだったのね、と恥じ入る次第。所詮は、誰も一人で生きていけないし、いざ、人間が淘汰される潮目に変わったら、それこそ「工場がストップして、地球環境に万々歳だ!」なんて快哉を叫ぶ人なんて、どこにもいない。

つまり、文明の危機的状況を自分で察知し、不完全ながら、社会的に対策を打って自浄努力をやろうとする行動力は、図らずも証明されてしまった。

もし、温暖化で氷河が溶けるのと、工場を止めるのとどっちがいいと思うかを聞けば、死が迫っていれば当然工場を止める。という答えが得られた。

少なくとも、映画にその力は無いということが証明されてしまった。

うそつきかもめ