劇場公開日 2018年8月24日

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「これでいいのか」検察側の罪人 うそつきかもめさんの映画レビュー(感想・評価)

2.0これでいいのか

2024年12月25日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

あの原田眞人監督が自ら脚本も手がけ、人気と実力を兼ね備えた木村拓哉と二宮和也という二大巨頭の顔合わせ。面白くならないわけがない。見る前からその出来は保証されたも同然。比較的レビューも好意的で、入ってくる情報も興味をそそられるものばかり。日本映画で、これほど期待した映画も久しぶりだった。

この顔触れに何らのミスもありえない。それ程のプロ集団であると確信して、しかし触れずにおれない欠点が多すぎる。この瑕疵のいくつかは、おそらく意図的に含まれた「アク」のようなものなのだろう。それがなぜ含まれたままなのか考えてみようと思うほどにはのめり込んでないし、贔屓の俳優もいない。

それとは逆に、映画に無くてはならないものが欠けているのだが、それがなぜなのかも別に知りたくない。

その程度の映画だった。

おそらくアドリブらしきアクトのいくつかは見ていて惚れ惚れする緊張感を生み出しており、カロリーが高い演技が堪能できる。

しかし、脚本と編集は監督の聖域であるはず。俳優や、所属事務所の意向で、そこに介入してくるのは許しがたい。この映画には、そういう匂いが漂っている。

例えば、犯罪に手を染めるキムタク
あっさりとセックスしてしまうニノ

ここまでの表現がギリですよ!見てください、ここまでやってます!
みたいなアオリがどうだと言うのか。全部必要のないシーンだ。バッサリ切って欲しかった。家庭での、妻と娘の関係性とか、旧友との妙によそよそしい会話とか、無駄に長い。

さて、欠けている大事なものだが、それは動機だ。もちろん、復讐という目的は、はっきりしている。だがなぜそれが検察官なのか?それに対抗して正義を振りかざす男がなぜ身内にいるのか、そこが致命的に弱い。原作は未読のままなので、なんとも歯切れが悪くなるが、原田監督ほどの人なら分かっているはずだ。

もっと言えば、映画らしい落とし前も無かった。こんなミスあり得ないのだ。確信犯的に、そうしたのだとしか思えない。

幕引きの怒鳴り声は、黒澤映画『悪い奴ほどよく眠る』からの引用らしい。しゃらくさい。比べ物にならないが、あえて言わせてもらおう。

これでいいのか︎

うそつきかもめ