「キムタクにソンタク」検察側の罪人 サブロウタさんの映画レビュー(感想・評価)
キムタクにソンタク
もうね、タイトル通り。
変える必要のない所が、シナリオの根幹が変わってる。
なるほど、キムタクを負けさせるわけにはいかなかったのかな?と思わざるを得ない。
個人的には役者としてのキムタクに不安はあまり持っていない。
幅は狭いが演技は決して下手ではない。
何をやってもキムタクと言われるがそれは彼の持つオーラの問題であり彼自身に責任はない。
キムタク起用における最大の不安はスタッフ側が彼のカリスマ性(あと当時であれば事務所の力)に負ける事だ。
本作はキムタクの演じるキャラの原作でのポジション的に不安しかなったがニノとのW主演ということで多少期待もしていた……がやっぱりキムタクに忖度していた。
負けなきゃいけないキャラを負けずに終わらせちゃだめだろう。
原作では最上(キムタク)は最後は捕まり『自分を捕まえた沖野(ニノ)の行動は正しいが、自分の行動にも(沖野に検事を辞めさせてしまった事以外)後悔はない』という態度であり、自分の弁護をしたいという沖野の申し出を断り『他の人を救え』と袂を分かつ。
沖野は『無罪の人間を有罪にするのはおかしいと動いた自分の行動は正しいが、正しいというだけが正解なのか』と涙するしか無かった。という結末。最上と沖野…結果的には沖野が勝ったのだが、話的にはどちらが勝ったとも言えずどちらも正しく感じるという考えさせるもの。
しかし映画での最上は『自分の描いたストーリーで悪を裁けた。これからも戦い続ける』と沖野を自分の側に引き込もうとすらしています。
完全にダークヒーロー気取りです。何こいつ。
結局沖野は原作とは違いいつか最上を裁くことを決意し、様々な思いから激昂します。
一応沖野の勝ちながらグレーな結末となった原作と違い完全に沖野の負けです。
ホントなにこれ?
あと、単純に比較的長めの原作とはいえ尺は十分にあったのにも関わらず、監督が『自分の色』を出そうと戦争やら宗教やらの要素を付け足した結果として内容がやや駆け足となっていたのもいただけない。
改変部分に目を瞑れば映画としては比較的良い出来だと素直に思うが、かと言って改変が気にならないように原作を読まずに見てしまうと今度はやや説明不足で駆け足に感じる部分もあると思うしで悩ましい。