「人が人を裁くことの困難と限界を感じました。」検察側の罪人 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)
人が人を裁くことの困難と限界を感じました。
主役(木村、二宮、吉高)それぞれの正義の尺度の歪み。
それが見所でした。
それにしても早口で難解な台詞を話す映画でした。
普通人は会話にこんなに難解な言葉や理論を混ぜたりしないし、
反復したり、ゆっくり相手の反応を見て、理解してるか確かめながら話します。
その点でこの映画は決して親切でもわかり易くもありません。
しかし非常に興味深い映画でした。
原田眞人監督(クライマーズ・ハイ、わが母の記、駆け込み女と駆出し男、
燃えよ剣)
5本しか観てませんが、錚々たる社会派作品が並んでいます。
(金融腐食列島、日本のいちばん長い日、関ヶ原、)
最新作は「ヘルドックス」
「検察側の罪人」2018年:監督:脚本:原田眞人。
原田眞人作品としての評価はあまり高くないようです。
分かり難さと説明不足、ストーリーの突然の飛躍などに
起因するかと思います。
《正義の尺度の歪み》について私見を述べたいと思います。
最上(木村拓也)の正義。
最上は検事でありながら私怨のために自ら手を汚します。
大学生時代に下宿していた寮の管理人の娘の殺人事件を
今も引き摺っている。
その事件の犯人の松倉(酒向芳)が今担当してる老夫婦殺害事件の
容疑者の中にいると知り、
今度こそ彼を法律で裁くために、犯罪をでっちあげるのはでした。
(その為に、実際の犯人を殺す・・・その飛躍した考えは理解に苦しむし、)
(むしろ松倉を自らの手で殺す方が論理的であると思う)
最上は一方で日本国の行く末や在り方には義憤を感じており
(白骨街道のシーンは説明不足に思えました)
最上と諏訪部を結ぶ絆で、第二次世界大戦のビルマ〜インパール戦争の死者の
死体が累々と積み重なる退却路を示す〜と調べましたが、最上の祖父の著作に
詳しく書かれているのでしょうが、よく理解できなかった。
親友で政治家の丹野(平岳大)が巻き込まれて自殺に至った「闇金疑惑事件」には
検察として解明したいと思っている。
大義(国家権力を正す)には自らの正義をかざすけれど、
一方で虫ケラのような人間は、殺しても構わないと思っている。
そこが歪だ。
沖野(二宮和也)の正義。
一言で言えば大義より弱い立場の人間にも優しいタイプだし、
自らの過ちに酷く固執している。
最上が老夫婦自殺事件の真犯人を自ら手を掛けて殺したことを
嗅ぎつけて、正義を振りかざして最上に迫ります。
そのため松倉を恫喝した際の自らの捜査手法を悔いていて、
「松倉に謝る必要」を感じている。
沖野の思考も歪んでいる。
松倉は少年期に自分の家族4人を殺害した男で、
しかも最上が忘れようとしても忘れられない管理人の娘を殺害した
と時効後に自白するような男だ。
そんな松倉の人権を尊重している。
その癖彼の事故死のきっかけと遠因は沖野にある。
(罪というものは償えば許される・・・そう言う考えも正論ではあるが、)
沖野はある意味で幼稚で世間知らずでもある。
橘(吉高由里子)も興味深い人物である。
沖野の立会事務官(沖野の取り調べを記録する)で、
大学時代にキャバクラ潜入リポートをペンネームで出版しており、
その事実を職場では隠している。
そのためか沖野をけしかけて、暴露記事を書く週刊誌記者を真似た
手法を取る積極性の持ち主。
色仕掛けも厭わない。
「最初のキスは自分から・・・」が持論で沖野と関係を結ぶ。
沖野は橘の意志に引きずられていないか?
橘は最上が松倉を陥れるために真犯人を殺す事、
諏訪部(松重豊)経由で拳銃と出所を掴まれない車を手配した事実をつかみ
最上を殺人事件を追い詰めようと画策する。
吉高由里子は複雑な役を実に上手く演じた。
清純な容姿で、したたかな女性。
上昇志向が強く目的のためには手段を選ばないタイプだ。
橘もある事件を引きずっている。
冤罪で投獄された両親が後に冤罪が晴れた時点で自殺した友人の死。
その事を悔やみ忘れられない。
橘の正義もまた感情的で歪だと言える。
この映画は多くの巧みな演技で好演した俳優たちに支えられている。
酒向芳・・・怪演・・・“パッ“が耳に残る。
この作品以後見る機会が激増した感じがする。
山崎努・・・人権派弁護士の欺瞞を演じて見事。
芦名星・・・ほんのワンシーンで場をさらう。
音尾琢磨・・・ヤクザといえばこの方。
矢嶋智人・・・なんとも笑いを誘う良い人っぷり。
木村拓也と二宮和也の好演は言うまでもないが、
「本気出せば、このくらい朝飯前」
2人ともみっともないシーンも厭わず、存在感を示した。
「100%の正義はない」
そう映画は締めくくっていましたが、正義とは立場や私利私欲、
時代にも左右されるものだと思いました。
人種や国家(特に独裁国家)によっても正義の定義は変わると思います。
正義もまた、オールマイティーではないのか!!
この作品は「正義」がテーマですね。
おっしゃる通り、立場によって正義は変わる…
それを一つの「絶対」として捉えたのがニノですね。
キムタクの犯罪を知り、退職します。
しかし最後まで正義を貫こうと思いました。背後には吉高。彼女の目的は「書くこと」そこに込められたのが権力に対する「復讐」。
助けたはずのあの男は、暴言を吐き吉高に暴力をふるい、結局目の前で始末されます。
結局ニノのした正義とは何だったのでしょうか?
最後にニノはキムタクに向かって「あなたは検察側の罪人だ」と叫びますが、家を飛び出した後に大きな叫び声をあげます。
それは、丹野の言葉にも隠されていましたが、今の日本の現状に対するものではないのかなと感じました。
こんにちわ。
こちらこそ宜しくお願いします。
プロフィール読ませて頂きました。
なかなか映画館に行くのをためらってしまいますよね。
それでもこのところ、観たい物は映画館に足を運んでいますが、混んでいると…ですね。
こんにちは。
返信遅くなりました。
バイオハザードにコメントありがとうございます。
僕は、「バイオハザード」、「モンスターハンター」、どちらのゲームも全然できないです。
朝晩寒くなりましたね。
これからの季節、僕は手がしもやけになるのでハンドクリーム塗るのは必須になってきます。
検察側の罪人
話の内容が難しかったですね。
会話が早口で分かりにくかったなと思います。
木村拓哉さんと二宮和也さんの演技はよかったなと思います。