「バランス」検察側の罪人 U-3153さんの映画レビュー(感想・評価)
バランス
小説は未読。
だけれども、なんかバランスがおかしいような印象を受ける。
本題に入る前の前奏が長いなあって印象だったのだけど、ラストになって正義の在り方を糾弾するような展開になっていく。
どちらかというとソコこそが盛り上がる場面であるように思うのだが、案外とアッサリと流れてく…。
どおにもパワーバランスが奇妙で…木村拓哉をキャスティングした事の弊害を想像してしまう。
正義を執行する側が私怨に駆られ堕ちていく。その原因となる殺人事件がそう大層な傷跡を残してないようにも思え不満。
近しい人を殺された過去はないけども、彼と彼女にそこまでの親密さを感じなかった。
偶像化した正義を自らの手で、断罪していく葛藤だったりがメインなようにも思うのだが…彼は秩序を壊す覚悟でもあり、かなり大胆な内部告発をやってのけようとするんだけども、かなり軽く扱われてるよう感もある。
原作もこんな感じなのだろうか?
どおにも食い足りない感じだ。
ただ、それでも二宮氏は良かった。
木村氏がかませ犬のように見えてきた方が作品としとは面白いと思うのだが、そうなり得ぬ事情もあるのだろうし、W主役なんてものの不条理さを感じてた。
ちょこちょこ挟まれる政権批判も、どお捉えてよいものか…正直、蛇足のようにも思え「国を立て直そうとする検事」の背景としては演出不足…なのかな?
他のレビュアーが書いてるように、私的な主張であるならば、他の機会に存分にやるか、それがネタとして馴染む作品をチョイスして欲しい。邪魔、なのである。
これ原作の方が数倍面白いんだろうなあと、そんな事を考えながらの鑑賞だった。
木村氏の調理方法が定まらなかったのが、原因かと考える。
その他は、音楽以外は良かったかな…若干駆け足のような気もして、魅せるべき事の焦点がズレてたように…ズラされた?かのように思えた。
結局、裁判官の木槌の意味も分からなかったなあ…個人に責任を背負わせない風潮とかなのだろうか?それを収集するのは責任を背負う覚悟があるとの事なのかな?だとしても…いや、だったとするなら犯行に及んだ後の影響とかを描くべきだったようにも思うかな。
もっと追い込んでも良かったのに。
これか今の限界と現状なのかな…合掌。
木村氏はもう「木村拓哉」を演じなくてもいいと思う…そのフィルターはどおやったら外せるのであろうか。