「藪の中」検察側の罪人 ヒレ肉さんの映画レビュー(感想・評価)
藪の中
原作未読。観終わった直後、凄く面白かった、でも絶対一般ウケはしない…!と思った。
主題の事件は解決せず何一つ正しく裁かれず闇に葬られ、何なら俺達の戦いはこれからだ!みたいな終わり方だったので。
松倉を犯人に仕立て上げる為に真犯人である弓岡を消そうとする場面で、沖野・橘に既の所で止められ手を下さずに済むのだろうと予想していたがそうはならず、当初の正義の立場から完全に転落してしまう検事 最上を演じる木村拓哉、今までだったら絶対見れなかったんだろうなあ…と驚いた。
最上が完全に手を下してしまってからは全く展開が読めなくなった。この物語にどう決着を着けるんだろうと思いながら観ていた。
また、最上の協力者となり手足の様に動く諏訪部との関係が凄く魅力的だった。
諏訪部万能過ぎやろとは思うけど。
当初の目的であった「松倉を別事件の犯人に仕立て上げ25年前の罪を裁く」事が出来なくなった結果、事故に扮して消されてしまった松倉は加害者でありながら最上の描く物語に沿うための都合の良い駒にされてしまったという印象。
なので物語としてはとてもモヤっとしたまま終わるのだが、この映画の本質は事件が解決する事では無いのだから仕方ない。
何となく「三度目の殺人」とかに近いテーマなのかなと感じたけれど、あちらは観賞後「どう消化すれば良いのか分からない」となったので、そちらに比べたら分かり易い気はする。
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