「堕ちるときは堕ちるべくして堕ちる」検察側の罪人 りゃんひささんの映画レビュー(感想・評価)
堕ちるときは堕ちるべくして堕ちる
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東京都大田区で70台の老夫婦が刺殺された。
東京地検刑事部のエリート検事・最上(木村拓哉)は容疑者のひとりに異常な関心を示す。
同道して事件に当たる若い検事の沖野(二宮和也)は、研修時の講師であった最上に対して一目を置いているが、彼の関心に疑念は拭えない・・・
というところから始まる物語で、最上に関心を持たれる容疑者・松倉(酒向芳)の個性が強烈なので、さもありなん、と思ってしまうが、そんなところをはがしてしまうと、さほど目新しいハナシでもない。
この手のサスペンスミステリーは2時間ドラマも含めて、相当数作られていて、相当観ているので、観る側の方がタフ。
ちょっとやそっとでは、ミステリーとしての文脈は見誤らない。
つまり、トリックや意外な犯人というレベルだけでは、お金を払って劇場に足を運ぶ観客は満足できない、ということ。
とすると、この映画、見どころは?
やはり、木村拓哉と二宮和也との演技合戦。
そこは及第点。
だけれど、サスペンスとしての腰が弱い。
タイトルロールは、結局のところ、私怨と私憤だけなので、さらなる殺人を重ねるには動機が弱い。
物語で面白そうなのは、吉高由里子扮する橘事務官の立場なのだけれど、それはそれで尻つぼみの結末になってしまっている。
原田眞人監督の演出は、このところお得意の同時演技、短いショットのつなぎ、というのを捨て、主役二人の演技を引き出そうとしている。
結果、演技は引き出せたが、物語の混沌感は薄まってしまっている。
とはいて、2時間サスペンスとは雲泥の出来であることは確かなのだが。
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