「この2人だから成立しているともいえる」検察側の罪人 Naguyさんの映画レビュー(感想・評価)
この2人だから成立しているともいえる
ジャニーズ事務所の看板、"木村拓哉"と"二宮和也"の初共演が話題のミステリー映画。
2人とも、何をやっても同じなんだよね。演技が下手という意味ではなく、キャラが強すぎて別の人格が降りてこない。
プロデューサー視点で考えると、本来、日本映画界を代表する主演は、"岡田准一 × 二宮和也"だったろう。そっちのほうが見たい気もする・・・。穿って見れば、撮影がSMAP解散の翌年ということの意図を感じなくもない。もはや伝説のキムタク先輩も、ニノのバーター出演である。
内容は絶望的に重たい。2人はともに検事役。ベテランと駆け出しの先輩・後輩で、とある殺人事件を巡って人生をかけた対立を描いている。矛盾をはらんだ社会の仕組みを、半ば諦念を持ちつつ、正義を問う形になっている。
3部構成になっていて、脚本と編集技術によってつぎつぎと展開する。複数の事件が凝縮されてハイスピード。原作未読だと、詳細にまったく追い付けない部分もあるが、それが内容のわりに、本作を"重く"感じさせない、第一の理由。
キムタクとニノは、この重い命題に応える演技合戦を繰り広げ、その質は申し分ない。最後までぐいぐい引き込まれる。
むしろこの2人ほど、人気と実績が拮抗した俳優をぶつけなければ、救いようのない絶望感だけが残ってしまった。2人の華やかさに救われる。
演技力だけの中堅が主演だったら、意外と平凡なテレビドラマになってしまったかも。
個人的にはどうしても「HERO」(2007/2015)の久利生公平のイメージがつきまとう。本作とは関係のない"絶対的正義感"がちらつき、さらには、吉高由里子の事務官役は、「ガリレオ」イメージが脳裏をよぎったり(笑)・・・ああ、もう。
なんとなく悪口のほうが多くなってしまったが、作品は最後までしっかりと楽しませる。見て損はない。
(2018/8/24/ユナイテッドシネマ豊洲/シネスコ)