劇場公開日 2018年8月24日

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「木村拓哉氏演じる最上をキーマンとした幾つかの案件が絡み合った状態で...」検察側の罪人 エミさんさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0木村拓哉氏演じる最上をキーマンとした幾つかの案件が絡み合った状態で...

2018年7月31日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

悲しい

知的

難しい

木村拓哉氏演じる最上をキーマンとした幾つかの案件が絡み合った状態であることが露見していくにつれ、事件を立証するというよりも、正義感だったり倫理観に訴える所に重点を置いている構成が物語に重厚さを作っていて面白い視点で観ることが出来る作品でした。同じ事件でも被害者と加害者の視点では違う訳だから、正当性だって立場が違えば、いくつものシナリオが捏造出来てしまう。えん罪の恐怖に触れているところも良かったです。

主役である検察官という立場の2人も、様々な事実を受けて、何を選択し、何を自身の正義としていくのかによって、表面上は、同じ立場で同じ方向へ向かっているように見えても、水面下では、全く違う方向へと向かっていることが分かる。静と動の演技を使い分けての演出は2人それぞれの特性が表れていて特にリアルで良かったです。

人間対人間の出来事であるならば色々な思惑が絡んで当然。2人の正義に対して、どちらもよく理解出来る。正しいと思ったことを積み上げた行動が沖野であり、これこそが仕事人としてのあるべき姿だと思うし、最上の過去を鑑みると、自分の正義を正当化したいと思う心情には同情や同意したい気持ちすら感じてしまう。だが、だからと言って独自の正義を正当化して現実に実行していいか?というと、答えはNO。それが権力者なら尚更NOです。

作品のテーマとして、正義とは何か?という問いかけが挙がっていますが、自身は、社会の法や倫理を考慮しながらも、最後は双方当事者の過去や心情も加味して出した結論が正義であって欲しいと思います。個人の見解や都合だけで結論を出して、それが自分の正義だと言ってしまうのは乱暴ではないか…!?と思います。観客それぞれの立場や培ってきた経験や思想によって、正義の定義って違うのでしょうから、主人公2人を観ていて、どちらに感情移入するかで、映画の印象も変わる所が、この作品の興味深いところです。
ミステリー作品には、よく自分の信じる正義を貫いていくうちに、客観視出来なくなって引き返せない闇に落ちるパターンがあったりしますが、この話も同様。悲しいカタストロフィーに考えさせられます。

力を持たない権力は何の価値もないが、権力とは人が与えるものであり、その権力がどういう力を持つのかは、その持つ人や使う環境によって研かれていくものではないだろうか。神剣になるか諸刃になるかは『その持ち主次第』ー、とは劇中の最上のセリフ。その通りだと思いました。

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エミさん