「最後の最後に救いはあるとはいえ・・・」ローズの秘密の頁(ページ) りゃんひささんの映画レビュー(感想・評価)
最後の最後に救いはあるとはいえ・・・
ルーニー・マーラとヴァネッサ・レッドグレーヴが主演し、監督はアイルランドを舞台にした映画を撮り続けているベテラン、ジム・シェリダン。
1980年代半ばのアイルランドの古い精神病院。
40年以上にわたって入院させられている老女ローズ(ヴァネッサ・レッドグレーヴ)。
病院の取り壊しに伴い、彼女の再評価がされることになり、大司教から遣わされたのが中年男性医師のグリーン(エリック・バナ)。
ローズは、過去に生まれたばかりの子どもを殺したと言われているが、さて・・・
というところから始まる物語で、ローズの若い頃をルーニー・マーラが演じています。
ありゃ、大女のヴァネッサ・レッドグレーヴの若い頃が、小柄なルーニー・マーラとはこれ如何に。
とも思うのですが、80歳を超えてヴァネッサ・レッドグレーヴも小さくなってしまい、エリック・バナと並ぶと、ホントに小さな老女にみえる。
歳を経るというのは、こういうことかしらん・・・と本筋に関係ないところにまず感心。
第二次世界大戦も激しさを増し、故郷を空爆され、身寄りを亡くしたローズは、アイルランドで禁酒ホテルを営む叔母を頼ることにしたが、その村はカトリックの村で、プロテスタントのローズとは相いれないところがあった。
そして、ひとめ惚れした相手の酒屋のマイケル・マクナルティ(ジャック・レイナー)はアイルランド人でなく、ふたりの関係は村にとってはあまり歓迎されない。
さらに加えて、新しく村に赴任したゴーント神父(テオ・ジェームズ)は秘かにローズに想いを寄せ、村人たちからは、ローズが神父を誘惑した、と陰口がささやかれる始末・・・
と展開するハナシは、男尊女卑甚だしき頃に自由に生きようとしたした女性の、自由を奪われてしまうハナシなので、あまり目新しさは感じない。
まぁ、目新しいところを期待しているわけではないので、ここいらあたりは、じっくりと描かれていれば満足なわけで、そういう意味では十分な出来。
なのですが、やはり、男性の横暴さから半世紀近くも精神病院に強制入院させられてしまっては、最後の最後に救いがあるといえども、気の毒で仕方がない。
最後の最後の救いもほぼ予想どおりなので、見どころは第二次大戦中のアイルランドをどのように描いているか、ということ。
それにしても、宗教がからむと碌なことにならない、というようなハナシで、これでローズを救ったを思っているとしたら、悔い改めてほしいぞと劇中の人物に言いたい気分になった。
なお、ジム・シェリダンの演出も的確で、ルーニー・マーラ、ヴァネッサ・レッドグレーヴ、エリック・バナのいずれも好演。