「これが私のお気に入り」坂道のアポロン じーくんさんの映画レビュー(感想・評価)
これが私のお気に入り
自分の故郷が舞台なので、原作、アニメ版とそれぞれ楽しんでおりましたが、今回はどういう風に料理してくれるか興味津々でしたが、ほとんど記憶の彼方にある昭和40年代の故郷の風景がよみがえっているようで、それだけでじーんとしてましたよ。
オープニングでリアル古写真と、古く見せた劇中の風景とうまくミックスされてモーニンの曲とともにタイムスリップした感覚がありました。
色々書きたいことはありますが、場面場面で、あーっここで撮影してたんだと、遠く離れた故郷を思い出しては、懐かしい気分にさせられましたね。
自分もかつてはあの忌々しい坂道を登って登校したもんでしたし。しかし、実写になって思い知りましたが、アニメ版の現地再現度が凄まじく正確だったことを改めて確認できました。物語の展開は大筋原作通りですが、百合香が20歳の東京の美大生で、すでに淳兄いと深い仲になってるとか、千太郎の事故と失踪は3年の時の文化祭前がクリスマスの教会での演奏になってるとか時間短縮のための演出になってますし、千太郎の妹幸子や、薫の従姉妹のまり子が幼い年齢設定になっており、同年代のキャラが排除されて3人が引き立つよう考慮されてましたね。
千太郎の事故も原作では幸子を後ろに乗せてた時に起きてますが、今回は律子を後ろに乗せてます、話の流れとしてむしろ自然で違和感はなかったですね。
千太郎と薫それを見守る律子という構図は、最後まで変わることなく、千太郎がロザリオを残して姿を消した時から止まっていた三人の時間が動き始めるところで物語は終わりますが、その後がハッピーエンドだったことを誰もが感じるラストでしたね。
律子が歌おうとしていたのは、当然クリスマス教会で行うはずだった曲「My Favorite Things 」だったことでしょう。
「My Favorite Things 」はモーニン以上に今回使用された曲の中は重要な場面で使用されてましたし、劇中で律子が涙を流すシーンでは自分も目から水が出てくるのを感じましたよ。ジャズは同じ曲を聞けば聞くほど味がわかりますが、この映画も同様ですね。1回目より二回目の方が流れ出た水の量は多かったですし。