「フランス製ミュージカルという変わり種」ジュリーと恋と靴工場 うそつきカモメさんの映画レビュー(感想・評価)
フランス製ミュージカルという変わり種
レビューの評価が低すぎるので、ちょっと考えさせられた。何がいけないんだろう。それほど悪くないと思うけど。良くもないけど(笑)
特徴的なのは、わざとクラシカルな雰囲気を狙って画を統一してあること。色合いでキャラクターの性格や、状況を表し、白を基調としたパステルトーンに統一することで、後半に出てくる新作の靴をより鮮やかな赤に見せる効果的な演出が効いてくる。
2015年にしては、ジュリーはガラケーしか持ってないし、家具や家電に至るまで何もかもがアナログ風に統一してある。音楽も70年代風。より広い年代層に伝わるように、あえて古いものにこだわったのだろう。
ミュージカルのパートは、お芝居の途中に始まる心象風景を歌ったものばかりで、『ラ・ラ・ランド』と同じ構成。ただし、あれほど手間もヒマもかかってないので、手作り感満載で、曲調もおとなしめ。
ストーリーは非常にシンプルで、やっとの思いで見つけた仕事が、今にも閉鎖されそうな靴工事で、新人は続かない。そこで起きる経営陣と現場との軋轢や、トラックの運転手との恋を通じたジュリーの心境の変化を描いた物語。板ばさみになり、彼女は仕事と恋のどちらを選ぶのか?というもの。なによりも80分程度の映画なので、ミュージカルパートの歌の多さもあって、お芝居の部分はかなり短い。その割に登場人物が非常に多いので踊りの振り付けはけっこう複雑に構成してある。
悪く言えば、ひと昔前に舞台用に作られたミュージカルを、そのまま映画に収めた感じの作りになっている。それなのに、上司がスマホを持っていたり、工場を中国に移転する設定だけは現代風。主人公の女優さんは、さほどの美人でもなく、下半身ぽっちゃり体型で、歌もまぁ下手じゃないけど‥めちゃくちゃ上手いわけでも無い。働く女性たちが主人公なので服装も地味なものばかりで、、、
ここまで書いて、ひとつも褒めてないことに気づく(笑)そりゃレビューの評価辛口になるはずだよね。
でも、なんか新鮮で、面白かったんだよなぁ。たぶんフランス語のミュージカルを個人的に初めて見たからじゃないかと思います。『Les Misérables』は、英語だったし。
2018.11.16