リュミエール!のレビュー・感想・評価
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「映画とは何か?」の回答が見つかった!
1920年頃からの名作と呼ばれる映画を年代順に観ていこう!と思い立ち、その旅路のスタート地点として本作を選んだ。 結果として、その選択は大正解であった! 「絵画や彫刻の起源を知ることは叶わないかもしれません。でも、映画がどこで始まったのかは明らかです」と、ティエリー・フレモーは言う。 動画を見せる機械ならば、リュミエール兄弟以前にも複数の発明者が存在する。いや、リュミエール兄弟が開発したシネマトグラフも、ただそれだけでは「一度に大勢が鑑賞出来る動画機械」に過ぎないのだ。 1編約50秒のリュミエール作品群には、構図、アングル、演出、喜劇、悲劇、サスペンスなど「どんな話をどのように撮るか」「どう撮れば最良の映像が得られるか」という発想がすべて現れている。映画を通して世界を俯瞰する視点すら、彼らはすでに持っていた。 フレモーはそれらを「映画の言語」と表現したが、なるほど、それこそがまさしく「動画と映画を分けるもの」ではあるまいか? フレモーの名編集と名解説によって、リュミエール兄弟を「映画の父」と呼ぶべき明確な根拠を得た。 「映画とは何か?」という問いに、私なりの回答が見つかったように思う。 これまでチャップリンやフリッツ・ラング、ジェイムズ・クルーズなど大正時代の作品も多数観てきたが、「リュミエール!」によって得られた知見に照らす事で、また新しい発見が出来た。 映画の歴史が僅か120年程度であると、自分の中で腑に落ちた事も祥報だ。これならば、前半60年分程度については名作と呼ばれる作品や人気の高かった作品に絞って選択していけば映画史を追体験していく事は可能そうだ。 今後の長い旅程に先駆けて、最良の灯りと磁石を与えてくれた本作品。 リュミエール兄弟とティエリー・フレモー監督に敬意と感謝を込めて星5としたい。
【仏蘭西の”映画の父”と呼ばれる、リュミエール兄弟が生み出した、初期短編108本を収めた貴重な作品群を、立川志らくの絶妙なナレーションで魅せる90分のドキュメンタリー作品。】
ー ”シネマトグラフ”を発明した、リュミエール兄弟が遺した膨大な作品群からセレクトした映像で構成された、リュミエール兄弟へのオマージュ作品。ー ・彼の有名な「工場の出口」「列車の到着」も含めた108本の短編を飽くことなく魅せる当時の貴重な映像と、立川志らくの絶妙なナレーションで魅せる90分のドキュメンタリー作品。 ・”映画の全ては、ここから始まったのか!”と感慨深く鑑賞した。 ー この作品のパンフレット(特に収められた写真の数々)が、私にとって宝物となった事はいうまでもない。ー <2018年1月5日 旅先の反権力の気風高い都市のミニシアター、”京都シネマ”にて鑑賞>
「映画の父」の映像を存分に堪能。50秒しか映せなかったんですね。こ...
「映画の父」の映像を存分に堪能。50秒しか映せなかったんですね。この120年あまりの技術の進化に驚く。と、同時にこの映像の人たちはおそらくもう誰も存在してないのだろう、とも思った。人間とは儚くも逞しいものですね。 演出等、しっかりしていて今見ても十分に作品なのが凄い。当時の文化も窺い知れる超貴重映像です。 なんだかチャップリンが見たくなって来ました(笑) 二本立て二本め、これまたちょうど良い長さ。
50秒、ワンカット、(ノーファインダー!)の芸術
黎明期ならではの面白さ。 映画的滋養に満ちた作品です。 50秒ワンカットの作品が続くだけですが、全く目を離せませんでした。 絵画や写真との繋がりが感じられ、解説ではルノワールやラルティーグなどへの言及もあります。 なぜかこちらの感情が自然な形で誘発されるのが興味深かったです。 声をあげて笑ってしまうことも何度かありました。 そして何よりも、幸福な気分になるのが不思議です。 これはノスタルジーなのでしょうか?? 明治期の資料としても相当楽しめます。 スクリーンで観たかった!
原作について
映画の原点に近づいたような気もしてフランスのリヨンや名所をあらゆるところに映し出した わずか50秒で 撮影。 モノクロなところに 懐疑します。 過去、映画概論にオススメいたしたい作品の一つです。
リュミエールに文句言うことなし
幼年期の映画をたっぷり味わった気分! 初期映画を映画館で見るのは初めて! モノクロにサイレント。 上手な並び方と解説はさらに面白くさせた! 1895〜1905年にわたって作られた108本の映画の、 内容はもちろん、 ミザンセン、 特に構図と演出、カメラの動き...などなど、それぞれの映画に秘められた独特な面白さ! 初期映画に秘められた人間の想像力にも驚いた。 特に写真、美術、映画の歴史に名を刻まれた有名な作品や芸術家をも引用した解説は、それらの作品の源を追求したことで辿ったのが、このリュミエールなようだ! 貴重な映像だった!
とても貴重な映像体験が出来た。映画のルーツに触れたような気持ちに。...
とても貴重な映像体験が出来た。映画のルーツに触れたような気持ちに。平日だったせいもあるが観客席に15人程度だったのにはビックリ・・意義ある映画なのでちょっと淋しい。吹き替え版でもう一度観てみたい。
映画の原点に触れる
幸運にも、本編上映ののち監督ティエリー・フレモー氏の舞台挨拶がある東京都写真美術館ホールの回に行くことができました。 「映画の父」と評されるリュミエール兄弟が、10年間に渡り制作した1422本の映画の中から108本を厳選、まとめられたものが本作。長い月日をかけて一枚一枚のフィルムを復元したという超貴重な映像集です。 しかも監督自ら映画のナレーションも務めていて、各作品の背景や見所、撮影技法などを作中で詳しく解説してくれます。これで大事なところを見落とす心配もありません。 監督の解説のおかげで、彼らの作品は「アート」だという言葉の意味を、存分に感じ取ることができました。 ファインダーもなくどう映っているかその場で確認できないのに、完璧な構図でしっかり50秒に収めていて、しかも現在にも通ずる様々な撮影技法を、彼らは作り出してしまいました。 恥ずかしい話、今までは構図に注意を向けて映画を観たことがなかったのですが、今回リュミエール兄弟の映画を観て、画面構図から作り手の意図を探る面白さに目覚めました。今後、間違いなく映画の見方が変わると思います。 また、歴史的価値が非常に高い、守っていくべき宝であるとも感じました。 選び抜かれた108本でさえもテーマが多岐に渡り、当時の急激な時代変遷を物語っています。かたや川で洗濯、かたやエッフェル塔のエレベーターからの眺め。かたや馬車での旅立ち、かたや巨大船の進水式。新旧入り交じる様々な世界が描かれ、たった10年の間に時代が激しく移り変わっていったことがみてとれます。 特に印象的だったのは、大きな道路で馬車と車(バス?)が同時に行き交うシーン。別々の時代に存在していたと思っていた馬車と車が、ひとつの時代に共存していたという事実を知りました。馬車が動く姿は、映画などの作られたものでしか観たことがなかったので、演技ではなく、実際にひとやものを載せて運んでいる馬車を観るのは非常に新鮮でした。 そして、当時の人々のリアクションが、今とあまり変わらないということにも驚きました。わざとうしろへのけぞって茶化したり、手をたたいて笑ったり、など。演出の場面もありますが、当時のありのままの生活場面が切り取られているシーンが数多くあり、100年前の世界なんて本や写真だけでみる遠い世界と思っていたものが、ぐっと身近に感じられた90分でした。 エジソンもリュミエール兄弟より前に映画を観られる機械を発明したが、それは一人だけが穴から覗いて映画を観られるものだったのに対し、リュミエール兄弟が発明したシネマトグラフは、大勢のひとが同時に映画を観られるものだった、という解説にも納得。 是非、大人だけでなく、義務教育下で全ての学生に観てもらいたい作品です。
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