劇場公開日 2018年1月26日

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「二人の大俳優の人間的迫力に気持ちよく酔いしれる」ロング,ロングバケーション ぐうたらさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5二人の大俳優の人間的迫力に気持ちよく酔いしれる

2018年1月26日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

幸せ

夫は認知症、妻は末期ガン。そんな高齢夫婦をヘレン・ミレンとドナルド・サザーランドが体当たりで演じ、決してお涙頂戴ではない、人生の酸いも甘いも散りばめたロードムービーが出来上がった。何よりも年輪を刻んだ二人の人間的な迫力が、破天荒なまでににじみ出ているのが素晴らしいところ。一路、目指すはかつてヘミングウェイが暮らしたフロリダ州のキーウェスト。寄せては戻る夫婦や家族の思い出を8mm映像などで蘇らせながら、なおかつキャンピングカーは選挙戦真っ只中の「変わりゆくアメリカ」の姿さえも車窓に鮮明に映し出そうとする。彼らはまるで目的地までの距離のみならず、時間さえも旅しているかのようだ。あらゆる意味での人生のトラベラー。求道者。本作を手がけたのがイタリア人監督のパオロ・ヴィルズィだという点も興味深い。なるほど、こういった視点でアメリカを描くという難しい所業も、外国人監督だからこそ成し得たのかもしれない。

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牛津厚信