「超上級者向け」イット・カムズ・アット・ナイト いぱねまさんの映画レビュー(感想・評価)
超上級者向け
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一言で言えば『猜疑心』が引き起こすサスペンスホラー。お化けやモンスターが活躍することはなく(息子の夢の中には登場するが)、そもそも何を怖れているのかも明確ではない。“それ”は、感染症なのかそれとも未知の物体なのか、はたまた虚構と現実の狭間で起こる偶発的な仕業なのか。と言うまとめになるが、それ以上に今作の作られ方は『隠れている穴を埋める想像力』を観客に求めていると言うことだと思う。公式サイトにはそのヒントであるシークレットレビューが掲載されており、それを読んで気付かされることが多い。ストーリー展開そのものはシンプルであるし、逆に肩すかしをくってしまうのだがしかし良くも悪くも不親切な部分が散見されるのは、座り心地の悪さも含めてのプロットなのであろう。決してカタルシスを得るような内容ではなく、それどころか完成途中の作品かと勘違いしてしまいがちだが、これは“狙い”であることに気付けば観方も変わる。そして穴の答えは明かされることなく、フワフワとタンポポの種の如く空中に漂いながら消えるのであろう。よく云う“一周回って興味深い”作品である。
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