「有り余る青春完結!」ちはやふる 結び movie mammaさんの映画レビュー(感想・評価)
有り余る青春完結!
部活が出来上がって良かったと思っていたのに、あっという間に高3だと言うので驚きの3年間。
後輩を入部させないとかるた部存続不可になるので、入部募集に勤しむが、性格が微妙な男女が1人ずつ入ってくる。女子は太一狙い。
ところが、成績は学年1位が当たり前、実家は厳しくお金持ち、容姿端麗で部長も勤めている非の打ち所がなか見える太一は実は、ずっとそばにいるのに実らなそうなちはやへの片想いと、受験準備でかるたの意欲をなくしている。
遠方の新がかるた意欲をなくした時には、帰り道沼津で降りて大会出場してまでA級昇格になるなど努力して磨く性格なのだが、勉強にも身が入っていないのか、太一がいるから万年2位だった机くんが一位を取れてしまうほど。
ところが、迷いのある中東大かるた部の見学に行くと、なんとそこには名人連覇中の変わり者、賀来賢人演じる周防さんが。周防の対戦相手として、北央では全滅したため太一が次の生贄に呼び出されたが、意外と気に入られる。北央の清水尋也ドS須藤と太一の間に連絡が生まれている関係性が、見ていて嬉しい。
将来どうするか、名人戦でぼろ負けして膝も痛めた師匠原田先生のリハビリのお見舞いにも行くが、かるたで結果にならなくても、手触りや五感は一生残る感覚になると諭される。
奏ちゃんとちはやも、一瞬を和歌で千年閉じ込めてある百人一首に想いを馳せるシーンがあり、映画最終話の今作は青春が将来に活きていったり、先代から培ったものを後輩に残したりと、繋がりや文化の継承がテーマとなっている。
地域を超えてかるた欲やかるた友情は広がり、新も福井でかるた部を結成し全国大会に向けて準備を進める。そこには何度も新に告白する伊織もいるが、伊織は準クイーンでちはやも負けた相手。
もはや追われる側となった高3。
ちはやに相談なく試合当日に太一は来なくなり、不安定になる瑞沢かるた部だがその座を狙われる身として後輩交え全員検討し、団体戦では送り札の戦略欠如なども痛感しながら東京大会へ。
東京大会は北央一抜け以外全組戦績が揃い、個人戦績を主将から順に見て、第4ポジション机くんの戦績のおかげで全国大会を決める。
その頃、太一は東大理三を目指しながらも、東大七年生の名人周防に着いて周り、周防の視野欠損に気が付くとともに、周防が健常な人間では感じ取れない気配を感じ取って札を取っていると気づく。そして、予備校夏期講習に回る周防のアシスタントをしながら、かるたの相手をして貰い、同じような感じの良さを身につけようとしていた。ちはやもこの耳で人より速く感じ取る感の良さで勝負しているところがある。
しかし、大切な全国大会の日、京都でアシスタントをしていた講義後、周防に君はもう身についただろ戻るなと言われ、太一は急いで滋賀小倉山の会場へ。
人はいさ 心も知らず ふるさとは
花ぞ昔の 香ににほひける
原田先生が語ってくれた紀貫之の名家、ふるさとの花が効いてくる。
なんのためのかるたかわからなくなっていた太一にとって、かるた仲間やかるたは離れていてもとっくに心の戻れる拠り所、ふるさとになっていた。
しかも、部活に戻れば花どころか超絶美女すずちゃんが待っている世界。どれだけ幸せなんだ!
決勝には奏が突き指し傷めており、ピンチヒッターとなったのだった。
オーダー順はちはや対伊織、太一対新。実力差があるはずだが、ちはやも太一も随分成長しており白熱した互角の闘いに追いつく。
最後、机くんが負け、手札1枚ずつの運命戦が4組残るが、ここで伊織が絶対取りたい得意札「しのぶれど」か「こいすちょう」どちらを敵の手元に送るかの展開へ。
これまで、太一は運命戦に悉く弱く手元の札が詠まれなかったが、一音で判断でき相手が手で塞げてしまい「こいすちょう」を相手側に置く決断をする。
周防のところで磨いた、詠まれる札を予感できたから。最後に読まれたのは瑞沢メンバーの手前にある「しのぶれど」。全国1位を決めた。
団体二位の新に、好きやと言われた返事として、ちはやはかるたをもっと好きでいたいと応える。
え?!となるところだが誰も驚かない展開。
そして、ちはやはクイーン詩暢のように、かるたを広めたいと思い、第66第クイーンとなり母校の顧問として凱旋。無事に夢を叶えた。
チアダンとかぶるものの素晴らしい展開。
ただし、かるたは日本一イコール世界一で世界大会に出なくて良いので、かなり狭い世界と感じる。
新や詩暢との関係性も長いものになりそうだ。
滋賀にも福井にも他校の友達がいるっていいな。
クイーン戦が、アニメーションで終わってしまうのが残念。
しのぶれどの詩暢は新にずっと片想い、強敵2人。
同じくしのぶれどを取れた太一、一生ちはやに片想い。
こいすちょうを送られた新、瑞沢中にばればれ。
実によくできている。
言霊ってあるのよねと感じたので、
叶う意味の句を好んでいたいと思う時点で、
立派な福井夢ノート脳。
ひとつだけ。
3部作全てで、新や太一がハーバードとかNYとか英語で書かれている、テキトー英語服を着ている。日本では学生が謎英語服を着ているのは当たり前の光景で超リアルなのだが、一応文字列を選んで大学名なのだとしても、せっかくの世界に誇る日本文化の映画、なんとかならないのだろうか。その点新のネイビーの部活T、福井の漢字ロゴはとても良かった。態度が悪い北央が中国チックな赤Tなのも、納得だった。