「男の冒険心にZはある」ロスト・シティZ 失われた黄金都市 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
男の冒険心にZはある
インディ・ジョーンズのモデルにもなったと言われる実在のイギリス人探検家パーシー・フォーセット。
アマゾン奥地の幻の古代都市を追い求め続ける冒険を描く。
…が、『インディ・ジョーンズ』のようなハラハラドキドキワクワクのエンターテイメントと思って見ると期待違い。それを期待してる人は最初から見ない方がいいかも…。
古代都市発見に執着していく様や謎に包まれた最期に迫る、なかなか硬派ドラマの仕上がり。
20世紀初頭。陸軍少佐であったフォーセットはイギリス地理協会から未開のボリビアへ水源を求めて測量を命じられる。地獄のようなジャングルでの任務の末、ジャングルの奥地に古代遺跡の痕跡を発見し…。
ここからフォーセットの人生は変わる。
妻を愛し子供を愛し、軍人としても誇り高かったフォーセット。
そんな彼が冒険に魅せられ…いや、もはや取り憑かれ、何度も何度もジャングルに足を踏み入れ、家庭を顧みなくなる。
助力したいと言う妻に男尊女卑とも取れる暴言を発し、咎めた息子に思わず手を上げ…。
協会で失われた都市を発見すると力説するフォーセットの姿は探検家としてカッコいい。
しかし、次第に常軌を逸していく様は、まるで別人のよう。
彼を駆り立てたものは一体何なのか。
金銀財宝などの欲ではないだろう。
冒険や栄光…。
愚直ながらも男はそれらをこの手にしたい生き物なのだ。
エンターテイメントではないが、少なからず秘境アドベンチャーの醍醐味もある。
ジャングルの冒険は過酷。原住民やピラニアの襲撃、仲間ともピリピリとしたムードに…。
ここら辺、やはり実話だけあって『インディ・ジョーンズ』と違ってリアル。
未知に包まれ、鬱蒼としたジャングルの映像も冒険気分を盛り上げる。
フォーセットの身を不幸が襲う。戦争で負傷し、探検家の道を絶たれる。
それから月日が経ち…。
父を理解し始めた息子と共に、再び冒険へ。
ドラマチックな家族との和解や探検家としての再起。
彼の本当の冒険が始まったような気がした。
が、その冒険の途中で…。
再三言うが、『インディ・ジョーンズ』のようなエンターテイメントを期待してる人は見ない方がいい。
全体的に淡々とした展開、アドベンチャーと言うには盛り上がりには欠けるし、フォーセットの最期も呆気なく、今一つ物足りない。
でも、人間ドラマとしては見応えあるし、やはりこの題材には惹かれるものがある。
悪くはなかった。