「できることなら守ってあげたい。」彼女の人生は間違いじゃない mg599さんの映画レビュー(感想・評価)
できることなら守ってあげたい。
これはなんとしても観ておきたかった映画だったが、その予感は的中した。今年の収穫ともいえる傑作である。
冒頭、向こうからヘッドライトをつけた車がやってきて、止まる。車から白い防護服を着た人たちが降りて、左右に散っていく。そうだ。この映画は福島が舞台なのだ、と気づかされる。
「ファーゴ」を思わせるシーンであった。
その後、映画は仮設住宅に暮らすみゆき(瀧内公美)の日常を淡々と映し出す。それは週末のデリヘルも同等である。
淡々としながらも、父親(光石研)との関わり、元カレ(篠原篤)との関わり。それからデリヘルの三浦(高良健吾)との関わりによって、みゆきの暮らしは成り立っている。
みゆきの佇まいが、観ていて気持ちがいいといえば語弊があるかもしれないが、あまり笑わない、大きな声を出さない、つまりは感情を表に出さない。もちろん元はもっと快活な人だったとは思うが。
だから唐突にはさみこまれたデリヘル面接のシーンはインパクトがあった。
映画監督として残さなければならない類いの映画はあるはずで、廣木隆一はその1本をものにした。加藤正人脚本との名コンビも健在。
見逃さないでよかった。
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