天使の入江のレビュー・感想・評価
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素敵な衣装等を、カラーで見たかった
シェルブールの雨傘のジャック・ドウミ監督作で、音楽もミシュル・ルグランで大変期待したのだが。まあ、ジャンヌモローの衣装がどれもこれも、白黒映画とは言え、斬新でお洒落。ただ、いかんせん白黒映画で彼女の金髪も見られず、年増くさく見えてしまった。カラーで衣装も含めて見られたら多分素敵だったろうと思った。出だしの車のシーンや主人公が走るシーンなど映像が流れる疾走感はなかなか良かった。
また、浮き沈みが激しく、一文無しのどん底から浮いた時の高揚感と素晴らしいホテル等のゴージャス感をしっかりと見せて、ギャンブルにのめり込む人間の性は、かなりこちらに伝わってくるものはあった。ただ、主人公が愛するミューズはギャンブル中毒の嘘つき女で、それを覆す美しさや妖しい魅力も感じられず、物語全体の流れに説得力は十分に感じられなかった。
ジャンヌ・モローの魅力
主人公は堅気な父親と暮らす銀行マンの息子。堅実に暮らしていたはずが、この先の自分の波のない平凡な人生がつまらなく思えてきていたところに、スリル満点の勝負師の生活を知り、少しだけのつもりで出かけた、天使の入江と呼ばれる美しい海沿いの街ニースのカジノで魅力的な女性と知り合い、ハマってしまう。
女性は自分で分かっていながら、どうしてもギャンブルから離れることができない。現代なら病院受診必至の依存症である。でも、その心理がとても丁寧に描かれていて、説得力がある。そして男性がその女性から離れることができない様子もまた、丁寧に描写されていて、しょうがないなぁ、と納得してしまう。
二人の落ちていく過程が、善悪の判断を超えたところで、淡々とかつ鮮やかに描き出されていて、私はいつしか人間の業の深さに思いを馳せていた。同じようにラストも想像の余地を残している。二人は更生するとも取れるけれど、また戻ってしまいそうな気もするのだ。
ニースとモンテカルロの二つの街が出てくるのもカジノの奥行きを感じられてよかった。
カラーで見てみたい
魔のギャンブル映画
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