「欠けがえのない最高の“ギフテッド”」gifted ギフテッド 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
欠けがえのない最高の“ギフテッド”
『アメイジング・スパイダーマン』のマーク・ウェブ監督と『キャプテン・アメリカ』のクリス・エヴァンスのタッグで贈る、スーパーヒーロー映画超大作!
…ではない。寧ろ、その逆。
小品のヒューマン・ドラマだが、まさにアメイジングな感動良作!
フロリダの海辺の町でボート修理で生計を立てながら、亡き姉の娘メアリーと穏やかに暮らすフランク。
メアリーには、ある才能が。
数学の天才少女だった…。
全米では口コミで人気が広がり、日本でも大評判。
それも納得。
あっという間の100分なんて言葉は本来テンポのいいアクション映画に対して言うものだが、冒頭からスッと作品の世界に引き込まれ、気が付いてたら終わってた。冗談抜きに。
その優しい、心地よい語り口。
これがマーク・ウェブの本来のフィールド。『アメイジング・スパイダーマン』の方が異質のジャンルだったのだ。(あれもあれで面白かったけど)
クリス・エヴァンスも星条旗スーツを脱げば、人間味たっぷりの好演。彼のヒューマン・ドラマの中では最上の作品だろう。
見守る隣人のオクタヴィア・スペンサーもさすがと言うべき助演の鑑。
それから、片目の猫のブレッドもお忘れなく。
しかしやはり、本作最大の傑物は、メアリー役のマッケンナ・グレイスを置いて他には居ないだろう。
数学の天才少女という役柄を見事に演じた達者な演技、愛くるしさ、この天才子役をよくぞ見付けた!
メアリーが結構なおマセちゃん。気まずいシチュエーションで担任の女教師とばったり会った際の、ニヤリとした「おはようございます、先生」に思わずこちらもニヤリ(笑)
それでいて、同級生が年上の男の子にいじめられたら、立ち向かっていく勇敢さ。
その同級生の工作を拍手して褒める素直さ。
それを教えてくれたのも、普通に育ててくれたフランク。
フランクとメアリーのやり取りが、クリス・エヴァンスとマッケンナ・グレイスの好演を超えて、普通の伯父と姪、いやもっとよく言うと、もう親子のよう。
ふとしたシーンでのじゃれ合い、夕陽が美しい浜辺での肩車など、本当にナチュラル。
時に喧嘩もしたりするけど、よく言うではないか。仲が良いほどなんちゃらと。
そんな二人の生活に、何の問題も無い。
でもやがてやって来るのだ。不条理が。
メアリーの親権を巡って、フランクは実の母イヴリンと裁判で対立する事になる…。
厳格な祖母のイヴリン。
自由に生きるフランクとは昔からソリが合わない。
どうしても作品の展開上、悪者のように描かれるが、祖母の言い分も分からんでもない。
孫に最高の環境で最高の英才教育を与えたい。
数学史に名を残せるかもしれない孫の才能を伸ばしたい。
祖母なりに孫やその才能を思っての事。
メアリーには何故こんな才能が…?
母方の遺伝なのだ。
祖母もエリート。メアリーの亡き母が数学の天才。メアリーは母の才能を受け継いだのだ。
数学史に名を残すまで後一歩だったメアリーの母。
その寸前、自殺。
自由を奪い、英才教育を無理強いした事が原因と思われ…。
その事を裁判で突かれるも、反論する祖母に凄みがあった。
才能を伸ばし、特別な生き方を歩ませたい祖母。
亡き姉の願い通り、普通の生き方を歩ませたいフランク。
見てたら『グッド・ウィル・ハンティング』を思い出した。
確かにこの才能を埋もれさせるのは惜しい。
その才能がいつしか、世の為、人の為になるかもしれない。
どうやらメアリーは、数学が好きなようだ。
難しい問題を解いてる時なんて、おもちゃで遊んでる子供のように楽しそう。英才教育の無理強いは必要ない。
もし、メアリーが今の生活じゃなく、もっといい環境で数学を学びたいと言ったら、フランクも反対はしないだろう。
尊重すべきなのは、メアリーがどうしたいか。
そして、誰と居たいか…。
タイトルの“ギフテッド”とは、生まれながらの高い知的能力を意味する言葉らしいが、語源はやはり、ギフト=贈りもの、授かりもの。
贈りもの、授かりものは、その才能の事なのか…?
否。
フランクにとってはメアリー。
メアリーにとってはフランク。
いつも一緒に居てくれて、無償の愛を注いでくれる、欠けがえのない“存在”。
最高の“ギフテッド”。
近大さん
こんばんは(^^)/
見逃していたので
地上波で観られて嬉しかったです。
クリス・エバンスも
髭が 意外と似合ってました。
マッケナちゃんの演技は
素晴らしくて 可愛くて
天才少女メアリーを
自然に演じていたのが
凄かったです☆彡