サバービコン 仮面を被った街のレビュー・感想・評価
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郊外の夢が暴かれる時
タイトルは郊外を意味するsuburbiaと騙すなどの意味のconをくっつけた造語だろうか。それをそのまま街の名前としている。内容もまさにそのふたつの単語がイメージさせるようなものになっている。
この映画は2つの大きな物語がある。1つはマット・デイモン一家の偽装殺人事件だが、これがコーエン兄弟の書いた脚本から生まれたもの。もう1つは、デイモン一家の隣に越してくる黒人一家のマイヤーズ家が巻き込まれる暴動だが、こちらは実話から取られている。50年代、「郊外の父」ウィリアム・レヴィットが作ったレヴィットタウンに越してきた黒人のマイヤーズ家が、周囲の白人から迫害された事件を基にしている。
この2つの物語が上手く融合していない点は本作の弱点だ。だが、映画の精神性というかテーマという点では共通しているものがあるだろう。どちらも、郊外の一軒家というアメリカンドリームの欺瞞的側面を暴き出すという点で。娯楽映画としてやや物足りなさは感じるが、アメリカの近代史についての学びは大きい作品だ。
コーエン兄弟>ジョージ・クルーニー
コーエン兄弟の脚本をジョージ・クルーニーが監督し、マット・デイモン&ジュリアン・ムーア主演で映画化。なんとも豪華な布陣だが、一番前面に押し出されているのは、脚本を書いたコーエン兄弟の持ち味ではないか。
コーエン兄弟は、愚かな人間どもの所業を突き放したブラックユーモアで描くパターンが多く、本作も完全にその系譜のひとつ。それも共感を拒絶して、とにかく人間を自分勝手なバカとして描いている。兄弟の作品では『バーン・アフター・リーディング』辺りが近いブラックコメディであり、どことなく『ブラッド・シンプル』の匂いも漂っている。
なので監督としてのクルーニーの真摯な持ち味やマット・デイモンが醸す善良オーラみたいなものはまったく機能していない。とにかくコーエン兄弟らしい脚本を、クルーニーが兄弟に成り代わって撮った、という印象。人にはイジワルな映画を楽しみたい気分の時にピッタリだよとおススメしたい。
画一的な郊外住宅街と住民への違和感や不信感を描く作品の系譜
郊外の町で起きる不穏な出来事という点で、1975年の『ステップフォードの妻たち』(と2004年のリメイク)や、『ウルトラセブン』の「あなたはだぁれ?」(団地の全住民が宇宙人に入れ替わるエピソード)などに通じる物語だ。
米国で40年代末から60年代にかけ、ウィリアム・レヴィットが格安の郊外住宅を大量供給し、「レヴィットタウン」と称する住宅街を各地に建設した。白人中流層が移り住み、その画一的な住居と同様、おそらく住民たちにも同質性を求め、“異物”を排除する傾向が醸成されたのだろう。本作は1950年代に米国で起きた人種差別暴動をモチーフにしている。
マット・デイモンの役は保険金殺人を画策する小悪党だが、非人間的な郊外から抜け出すことを切望した末の破滅的な選択だったのかもしれない。オスカー・アイザック扮する保険屋も、切れ者のようで案外そうでもないキャラがいかにもコーエン兄弟的で絶妙だ。
2つのストーリーが同時進行なんだけど、最後にうまいこと繋がるかと思...
2つのストーリーが同時進行なんだけど、最後にうまいこと繋がるかと思いきや、アラ?
コーエン兄弟のほうはさすがのおもしろさなのに…。それぞれ別の作品にしたほうが良かったんじゃなかろうか。
マギーと父親の性悪っぷりが凄かった。ベストオブ悪役。
【1950年代の理想の住宅街、サバービコンで起こった事を淡々と描く、ノワールコメディ】
マット・デイモン ジュリアン・ムーア(2役)の怪演と奇想天外なストーリーに引き込まれる。
ジョエル&イーサンコーエン兄弟の脚本は面白く、現在でも消えずにあるレイシズムを強烈に描くシーンやジュリアン・ムーア演じるローズを始めとして、サバービコンに住む人々の爽やかすぎる笑顔と白い歯が実に印象的。
一方、マット・デイモン演じるガードナーは笑顔を一切見せない。
ジュリアン・ムーアは今作や「キングスマン・ゴールデンサークル」のポピーのような、笑顔で冷酷なことを平然と行う女性も似合うなあとも思ってしまった。
<白すぎた街を舞台にした、ブラック・ノワール・コメディ>
<2018年5月4日 劇場にて鑑賞>
コーエン兄弟が好きならば思いは深まるが…
コーエン兄弟の脚本をジョージ・クルーニーが監督したブラックコメディタッチのサスペンス風ドラマ。
1950年代のマイホームに憧れた夢がいっぱい広がる校外の住宅街は幸せの象徴なんだけれど、コーエン兄弟なんでオープニングからあやしい予感はしていました。
ガードナーの画策が次から次へと失敗を生み続け、うまくいかない連続。最後の最後まで父親の威厳を振りかざして、息子に説教するシーンがおかしかったです。ガードナーは、サイコでとんでもない野郎なんだけど、なんか、鈍くさい。メガネもボロボロ、服も血みどろになって、小さいチャリンコをこぎ続けるシーンが目に焼き付いてます。
1950年代に実際に起きた人種差別の暴動を元にジョージー・クルーニーがストーリーを考えていたときに、コーエン兄弟が以前に手がけた「Suburbicon」という脚本があったことを思い出して、この『サバービコン』を製作することになったらしいです。黒人家族の暴動騒ぎの下りはジョージ・クルーニー、一家の事件はコーエン兄妹発案なんでしょうが、軸となる2つのストーリーがいまいち、うまく噛み合ってなくて、違和感がありました。ブラックコメディに「社会性」をプラスしようとした、ジョージー・クルーニーのあれもこれもの作品になってしまっていたかも。こじつけ感があってちょっと残念。
コーエン兄弟が好きな人ならば、観賞中も観賞後もあれこれ考えて楽しむことはできるでしょうが、一般受けするかどうかは別問題かもしれません。
面白かった(≧∇≦)
偽装殺人ミステリーもさることながら、アメリカが抱える差別問題を描いているようで、全く噛み合ってないプロット
豪華キャスト、どうにでも絡ませたらスッキリした伏線の回収とかできそうなのに投げっぱなしなストーリー展開
ジャケ借りしてきたけど、ジョージクルーニーとコーエン兄弟と聞いて思い出したのが「バーンアフターリーディング」
あれかーーーっ!アレ思い出すと腹立つんだよ、俺はって彼氏は悶絶してました。
ミステリーが面白かったのでかなり愉しめたのに
言われて見れば、まんまアレのシリアスバージョンだなぁ
実はそれなりにアレも私は愉しめたんです。
かといってコーエン兄弟が合うかといえば違うな
ミステリーはそこそこ楽しかったけど、好みとしてはもっともっと絡ませたかったですね
白人社会を糾弾するブラックな秀作
ジョージ・クルーニー監督作。やはり彼は誠実な男だった。
1950年代のアメリカの新興住宅街をデフォルメしたクリーンで明るい映像が非現実の世界に誘う。
その夢なような町を舞台に、マット・デイモン演じる強欲な男のエピソードと、その町に越してきた黒人家族に対するエグい人種差別が平行して描かれる。
脚本はクルーニーとコーエン兄弟。白人である彼らがダメダメな白人たちを糾弾するが如き、ブラックかつ誠実な秀作だ、
コーエン兄弟
コーエン兄弟ど真ん中の脚本をスター監督が模写する様に鼻白むも終盤は乗れた。
コーエン脚本だからだ。
完成形のもはや古典「ファーゴ」の行間をコーエン他作要素や社会問題で埋めて尚後味がコーエン臭なのが嬉しい。
だけど断然「ファーゴ」「ブラッドシンプル」が良い。
甥っ子の映画
甥っ子!甥っ子!とばかり出てきたから、Rosemaryの甥っ子のGeorge Clooneyのことなんだろうなぁ、と思ってみていた。
それは全然関係なくて、
Jazzyな音楽がかかっても関係なくて、
Julianne Mooreが奇妙な双子で出てきても関係なくて(どうやって撮ったのだろうとばかり・・)、
Matt DamonがママチャリでKEIRINしても関係なくて、
最初のパズルが、中盤までには十分に生きていたことにも関係なくて、
なんだか、よくわからない感じで、最後まで見たって感じも関係ないのかな?
ちょっと難しかったー。この後何かあるのかな?と思いながら観てたら、...
ちょっと難しかったー。この後何かあるのかな?と思いながら観てたら、何も起こらずに終わってしまった感じ。次々事は起こるけど、意外性はなくて起こるべくして起こっただけで...。まぁ、つまらなくはなかった。という感じ。
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