「手紙」少女ファニーと運命の旅 everglazeさんの映画レビュー(感想・評価)
手紙
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ユダヤ人の子供達が、ドイツ兵から逃れ、フランス、イタリア、そしてスイスへ亡命する命懸けの旅路を描いた作品。
頑固者ということで、リーダーに任命された13歳のFanny。自分のことだけでも精一杯であるはずの(あるべき)年頃で、困惑しながらもグループの命運をかけて勇敢に引率していきます。一番幼い子供達は、今の幼稚園児くらいでしょうか。しっかり年長者達の言う事を聞き、ドイツ兵の前では「きちんと」嘘が言え、自由と安全を求めて必死に走る姿には、幼いなりにどれだけ深刻な状況に追い込まれているかを理解している様子が伺え、あまりに不憫で涙が出ました。救いは、逃避行中であっても、何でも遊びに変えて楽しんでしまう子供らしい才能が垣間見れる時です。
頼れるお兄さんElieが何故急に逃げ出したのか…。自分が怪しまれたら、子供達全員を危険に晒すと思ってのことでしょうか。最後まで見てはいけないと言ってFannyに託した手紙。無言の「手紙」は、万一ドイツ兵に見つかっても問題にならず、かつ中身を知らなければFannyの使命感を保つ力を発揮します。何が何でも逃げ切るんだよ、というElieの深い愛情が、風に煽られジグザグにFannyを導く、真っ白な手紙に溢れていました。
密告者は神父や赤子の母親。一方子供の頭を撃ち抜くほど残酷になれないドイツ兵や、命懸けでこっそり助ける民間人達。子供達の可愛さに負けてしまう大人も出てくるので多少救われます。
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