「タイトルに隠されたオチに、"なるほどね"とひざを叩く」レオン Naguyさんの映画レビュー(感想・評価)
タイトルに隠されたオチに、"なるほどね"とひざを叩く
いきなりマイナスイメージだったりする。というのも、オジサンとOLの身体が入れ替わるという陳腐な設定だし、タイトルがリュック・ベッソンの代表作「レオン」(1994)を連想させるのはいかがなものか…と。
しかしフタを開けてみると、意外と面白い。原作はスマホマガジン 「Hot-Dog PRESS」の連載マンガなので、映画化など想定外だから、名画とカブるとは思いもよらなかっただろう。そして観ればわかる、"重大なオチ"がタイトルには隠されている。
OL・小鳥遊玲音(たかなし れお) は派遣社員で、彼氏にフラれたうえに派遣契約を解除される。その玲音と身体が入れ替わるのは、玲音がクビになった会社の社長・朝比奈玲男(あさひな れお)。一代で会社を立ち上げたワンマン経営者で、典型的なオンナ好きのセクハラ上司である。
OL・玲音を演じるのは、一世を風靡した韓国の少女アイドルグループ"KARA"の元メンバーである知英(ジヨン)。映画初主演である。
KARA脱退後はソロ活動と並行して、たびたび日本のドラマに出演している。スタイル抜群のジヨンだけに、地味で引っ込み思案のOL玲音がファッションで見違えるように変化する様子はダイナミック。何よりも"ジヨン"だと言われないと、韓国人であることすら忘れてしまうほどの流ちょうな日本語。失礼ながら、韓国人タレントの"ごじゃいます"発音は悪寒が走る。なのでジヨンの演技に大拍手である。
セクハラ社長を演じるのは、竹中直人。そのオヤジっぷりはイメージ通りといえば、その通りで新味はない。しかしその共通認識を逆手にとって、ジヨンのシーンをそのまま竹中直人で演じさせる。
男に迫られるジヨンが、スカート姿の竹中直人だったりして、たびたび劇場は笑いに包まれる。これは劇場版の「ぼくたちと駐在さんの700日戦争 」(2008)や、テレビドラマを数多く手掛ける塚本連平(れんぺい)監督の笑いのツボがいかんなく発揮されている。
タイトルに隠されたオチに、"なるほどね"とひざを叩く。
(2018/2/24 /ユナイテッドシネマ豊洲/ビスタ