劇場公開日 2017年7月8日

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「大きく心を揺さぶられました。傑作です。」裁き アンクルよっちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5大きく心を揺さぶられました。傑作です。

2017年7月11日
iPhoneアプリから投稿

今年観たアジア系映画では間違いなく一番。インド映画では「きっとうまくいく」以来の感動でした。

メッセージ性の強い詞を歌い歩く65歳の音楽家が自殺幇助の罪で逮捕され、その判決を巡って体制寄りだが、やり手の女性判事と、リベラルな人権擁護派の若手弁護士が法廷で争うというストーリー。

単なる法廷劇ではなく、裁判に関わる人間の私生活、インドの普通の人々の日々の生活や日常会話などがリアルに描かれて(自分は実際にインドには行ってないのであくまで想像ですが)いて、そういう点でもとても興味深いものでした。
また、インドの法廷、学校なども、日本や欧米のそれとは大きく異なるのもわかり、大いに勉強になりました。

個人的にはインド映画は苦手で、その大きな理由の一つが、皆んなで踊り歌うシーンがやたらと盛り込まれる点なのですが、この映画には一切そういうシーンはありません。それどころか、BGMも一切なし。
まるでドキュメンタリー映画のように淡々と物語が進行するだけです。それでも、ひと時も目を放すことはありませんでした。それだけ、脚本と演出が素晴らしいのです。

何の罪もない善良な一般市民が、政府から反体制思想家と疑いを掛けられたために不当に拘束され、社会的に抹殺されていく様が生々しく描かれています。
共謀罪が強行採決された昨今の日本でも、とても対岸の火事では無いと強く思いました。

これほど価値の高い映画にも拘らず、東京では渋谷ユーロスペースでの単館上映とは本当に勿体ない‼️
一人でも多くの皆さんに観ていただきたい映画です。

アンクルよっちゃん