アイスと雨音のレビュー・感想・評価
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【”葛藤と、鬱屈からの解放、そして情熱”】
■小さな町で演劇公演が予定されていた。 オーディションで選ばれた少年少女たちは初舞台に意気込むが、舞台は中止になってしまう…。
◆感想
・演劇公演がチケットが売れずに公演中止になり、それまで稽古に励んでいた若者達の夫々の反応。
ー 仕方が無いと諦める者や、どうしても演劇したいという想いと現実の狭間で葛藤する女性。-
<松居大悟監督は、「アズミ・ハルコは行方不明」以降の作品は全て鑑賞しているが、(特に好きなのは「くれなずめ」と「ちょっと思い出しただけ」)初期作品は初鑑賞である。
一部作りが粗いし、ショートフィルムの影響もある前半から、ラストに向けての若者達の演劇への情熱が炸裂するシーンは良かったかな。>
演劇を知る松居大悟監督だからこそなせる技
圧倒されるような熱量と、それに応えられなかったこちら側の感情の綻び。それすら悪くなかったと思える意欲作。
森田想のポテンシャルがとにかく高い。『タイトル、拒絶』でも思っていたけど、ここまで上手いとは。しかもワンカットで1ヶ月を描くわけで、スイッチの切り替え方に乱れぬ息遣い…全てが彼女のスイッチで回る。間違いなく本物の女優だし、もっと彼女を重宝しないと行けない気さえする。
その他にも『きれいのくに』などで話題に上がっている青木柚や『ジオラマボーイ・パノラマガール』の主要キャストの一人であった若杉実森(現・若杉凩)など、キャストも重層的。ただ、作中演劇同様に無名な人ばかりだったと思うと、改めてその選球眼と演技力に驚かされる。
舞台の中止に対しての悔しさは1番松居大悟監督が知っている。畑がそっちということもあって、温度やカラクリを生かした、ワンカットならではのトランスフォームも魅力的。そして、そこに漂う温度があまりにも詰まっていて辛かった。どれだけの準備をして、稽古をして、公演に立つのか…それを知っているからこその若者讃歌。しかもそれをMOROHAが代弁する。ちゃんと聴いたことはなかったが、優しい語りから転調しサビに入ると強い歌へと入る。スッと染み入る言葉に殴られて涙を流しながら、行き場のない若者たちのもがきを見ていた。ワンカットならではのラスト、大いに痺れてほしい。
ワンカット故に演劇パートを挟みながら1ヶ月を過ごすので、少々粗く物語として掴みにくいところはあるものの、魂がぶつかり合う刹那は見逃せない。泥臭くて真っ直ぐな、シモキタ舞台の若者讃歌。
舞台畑の監督が目指す映画のかたち
ワンカットチャレンジはもちろん、MOROHAの歌がその場に同居する演出など、終始とても演劇的。最後のカーテンコールまでこだわり抜いて、新しい演劇映画というジャンルを確立させた気がする。
監督が思い描くステージは分からないが、次もさらなるトライを繰り返してくれそうで楽しみだ。
並行してつくっていく舞台作品にも注目したいところ。
映画だった
WE ARE ONE: A Global Film Festivalと言う企画でYouTubeで鑑賞。
映画の中で演劇を作っていく過程や挫折の物語を1カットで撮影するという変則的な作品。
すべてに繋がりを持たせることで、映画と演劇二つの物語、現実と虚構が有機的に絡み合い、かつ、ある種ドキュメンタリー的な生々しさや緊張感までが映像から伝わってくる演出は、1カットという技法にちゃんと意味を持たせている。
普通の映画より手間が掛かるだろうし、演じる役者さんたちも大変だったと思うけど、それだけの価値がこの映画にはあったと思う。
独特の世界観が癖になる
劇中劇というか、劇団の進展がそのままストーリーです。
斬新な内容と確かな演技力。
途中、叫ぶような歌声が、何度も挿入されますが。
どれもが、初めて経験する、新鮮かつ、印象に残る。
まちがいなく、日本映画の名作の一つです。
キライではないけど
ワンカットで撮ったり、劇中劇を挟んだり、音楽を入れたり、アイデアは面白いと思った。
ただ、1ヶ月という時間の経過があるのに、ワンカットで撮る必要があるんだろうか。せめて、日が変わったら服変えるとかできなかったのかな。
ストーリーはありふれてるし、全体的に少し物足りない印象。
ワンカットで描きたいこと
舞台としてこの映画を見る人と
映画としてこの映画を見る人とでは
意見が違うんだろうな。
私は後者です。
ワンカットで映画を撮れることは素晴らしいことであり
裏にある役者さんたちの演技の移り変わりを生々しく感じることができるところだと思うけれども
途中で曲が入ることでそれが遮断されてしまうように思えてしまって入り込めなかった。
この女優さんはなんとも今まで見たことの無い魅力を秘めている。好きにはなれないけれど、見入ってしまう。
たしかにこの映画もそんな映画だったけれど
曲のせいで映画を見入ることが出来なかったことが残念でならない。
自己確認にしかならない
これをわざわざ全編ワンカットで撮った意味はわからないがそれはさておいて、結局のところ、底辺でもやもやした毎日を送ってるような奴らに説教するような内容のパターンの映画でした。
映画をそれなりに観ている人達からすればそういったことをを映画に込めた映画をもうたくさん観ていると思います。ですので僕にとってはすごく普通の映画に感じました。もう映画でお前はクソクソばっかり言われるのは言われ飽きました・・・。もっと違ったアプローチで来てほしかったです
圧倒的
過去5年間ぐらいでみたどの小劇場演劇よりもよかった、映画だけど。演劇楽屋もののワンカットということでバードマンと比べる向きもあろうが、中年役者の悲哀と妄想をコミカルかつ残酷に描いたバードマンとはそもそもテーマが違うし、この疾走感は推せる。若い役者さんたちもみな達者で良かった。
映画好きも、演劇好きも
共感というより、映画の世界にのめり込んでいく感じ。舞台と同じ感覚にとらわれました。泣けるとか、そんなんじゃなく、圧巻の一言です。
日常が演劇であったあの頃を思い出して、グッときました。好きな作品だな~
圧感だった。 観たあと声が出ないくらいに MOROHAの歌詞と声が...
圧感だった。
観たあと声が出ないくらいに
MOROHAの歌詞と声が耳に響いて
息の根が止まりそうだった
こんな映画見たことがない
生きる映画だなと思った
もう一度あの映画館に戻りたい
言えるようにならなくちゃ
ストーリー自体はシンプルだけど、まず役者陣の演技が本気でイライラするくらい素晴らしく命燃えてて、不穏な劇中劇のパワーも凄くて面白かった。
最後のシーンでは思わず拍手したくなった。
劇中劇と劇中の現実の切り替えや時間の経過を分かりやすく観せてくれるのが嬉しい。
分かりにくいことも多いし、いかんせん主人公がかなり癖のある感じで感情移入することはあまりできなかった。
若い子たちがもがいて苦しんで楽しんでいる姿をずっと眺めている気分。
でも彼らの怒りと熱と感情は痛いほど伝わってきた。
凄く良かったのがMOROHAの音楽で、この映画を観るまで全く知らなかったけどかなり衝撃で胸めちゃくちゃ打たれた。
基本的にバックミュージックの立ち位置なんだけどところどころで役者たちがMOROHAを意識して見つめるシーンがあったのも良かった。
これからちょいちょい聴いていきたいと思う。
正直画面酔いした。
全編1カットという超困難な演出は凄く良いしかなり活かせていると思うんだけど、やっぱりまあまあ長い時間を大きい画面で観ると身体的に負担はかかるな…
この感じ
松居大悟監督の作品だ。
心の奥の見たくない部分とか、
忘れていた感情とか、
とめどなく溢れてきて
頭の中をぐちゃぐちゃにされる。
息ができなくて、
涙が出る。
帰り道の今もぼんやりしている。
ほぼ密室劇でありながら
さまざまな気色感情の波にさらされる。
驚きの長さのワンカットの最後、
観ている私も彼らと一緒に居る。
聖地下北沢
えげつなかった、74分ワンカットがすげえとかじゃなくて、いやそれはほんとハンパなくすげえんだけど、それよりもっと彼らの生命燃えてる感じ、オトナによってペチャって潰されてしまったこの一瞬の尊さに眩暈がして震えが止まらなかった。息苦しい。こんな映画に出会いたかった。
松居大悟も松居大悟作品もほんとかっこいいな!!!
2018年公開。初舞台が急遽中止になった若者たちの話を、現実×虚構と映画×音楽など色々入り混ざって展開される74分ワンカットの衝撃傑作。
初TAMA映画祭にて、マレーシアの映画「タレンタイム」との二本立てで公開。&松居大悟と志磨遼平の上映後トークイベント付き…。
松居大悟監督の作品は自分色も色濃いけど常に進化し続けて、めっちゃ面白くて、斬新で、かっこいい。素敵。
トークイベントも良かった。映画作ってる人や映画好きな人、映画関係者の話って延々と聞いてられるよ…好き。
松居監督は同時上映された「タレンタイム」の感想で、敢えてドラマ的なシーンが無いところがいいと言っていて、そこに凄く共感して、嬉しかった。
昔行った下北沢映画祭で上映された「私たちのハァハァ」でのトークイベントでは、若者たちのリアルを撮るときに、例えば花火を観に行って喜ぶ姿を撮るのではなく、花火を観に行きSNSにアップする事に満足している若者のそういうリアルな部分を撮りたいと言ってて…そういうとこだよ良いところ、と感動したのを思い出した。
また、このアイスと雨音の制作経緯として、今年の3月に公演予定だった監督の作ろうとしてた舞台が急遽中止になり、その思いも詰めて今回の映画を撮ったと言っていた。悔しさをバネにこんな作品つくって思いをはらそうとするなんて、かっこいいの極みかよ…
これからもご贔屓にしますm(_ _)m笑
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