リバーズ・エッジのレビュー・感想・評価
全24件中、21~24件目を表示
意味のある3.5
原作未読。
個人的な感想ですが…
意味のある3.5でした。
5.0でも翌日には忘れてしまう映画もありますが、この映画はきっと「ずっと忘れない3.5」。
5.0じゃない。でも1.0じゃない。
お腹の深いところにずっと存在し続けるような映画。ですので3.5と致しました。
ちょうど主人公達の年代(90年代でしょうか)と同年代だった為に刺さったことも多いかも知れません。
同性愛は今よりももっとずっとタブーだった。
援助交際(男性相手に傷だらけの体で売春する吉沢亮さんの姿には思わず顔をしかめた。←彼が傷ついていないように見えることに傷ついてしまう)、ドラッグ、過食嘔吐、いじめ、家庭不和…
「ああ、いつのまにか縁のない大人になってしまったが確かにあった、そこにあった」
という出来事たち。
二階堂ふみさん、吉沢亮さん始め、若い役者陣が本作品を演じ切ったことに拍手を送りたい。
ギリギリの精神状態を綱渡りするような、ひたすらにヒリヒリ、ヒリヒリとした感覚。
二階堂ふみさん、吉沢亮さんはもちろん、とにかく脱ぐ。
脱ぐというとそればかりがクローズアップされてしまいがちですが、彼らが演じるキャラクター達は、裸になっていながら、心の鎧は全く脱ぐことはない。
それが痛々しく、悲しく、若く、醜く、美しく、愛おしい。
セックスしているのに、愛していない。
殴りながら、愛している。
笑いながら、泣いている。
そんなアンバランスな心の動きが、実力ある役者陣によって表現されていました。
個人的に森川葵さんを最近見かけることが多いのですが、毎回毎回別人のようで凄い。
最後の笑顔は切なかった。
あのインタビューは、誰が撮影していたのだろう?
「明日、君がいない」を思い出す。
暴力描写や性描写がある為、苦手な方はご注意を。
「かつて傷ついた子供だった大人が観る青春映画」
でした。カップルも多かったのですが、個人的には一人でどっぷり浸りたい映画。
ラストの雰囲気は好き
すみません、先に二つ言い訳をします。
まず一つ、原作は未読です。なので、原作も含めたこの作品の世界を、しっかりとは理解できていないと思います。
それからもう一つ、私は93年頃、17才だったはずですが、当時は今ほどネット社会では無く、外の世界をあまり知りません。
なので、リアルタイムで生きていたはずなのに、時代錯誤しているかもしれません。
ご了承下さい。
この映画、あまりしっくり来ない感じでの鑑賞になってしまいました。
その要因は、インタビューに違和感を覚えたからだと思います。
当時はギリギリ、まだ大人が怖い世代だった気がします。
なので、大人のインタビューに対して、高校生がタメ口で答えているのに違和感が・・・。それも、全員。
些細な事なんですが、気になってしまって。
それが気になると、しゃべり方や受け答えまでもが幼く見えてしまって、設定の年齢よりも幼稚に感じてしまいました。
こう感じてしまうと、十代後半特有の多感なのに何かぼやけてモヤモヤする感じを表現している作品だと思うのですが、人物像がしっくり来ない印象を持ってしまいました。
それでも、終盤の二階堂さん演じるハルナと吉沢さん演じる山田の二人の表情は、それまでの違和感を打ち消してくれました。
この部分だけでも、観た価値があった気がします。
あと、工場の夜景は綺麗でした。当時は光化学スモッグなどで、工場が綺麗な物と言う概念は無かったですが、良かったと思います。
ざまあみろ
ステレオタイプに苦境を生きる高校生たち。ここまでのことに直面したことはないけれど、6人が存在しているあの狭い世界、この世界しか知らなくて、ここでなんとかするしかなくて、ここだけでジタバタともがいている様は"感じる"ものがありました。
取り作って生きてきた昼間の6人と感情がむき出しになる夜の6人、それをある意味客観的に伝えていたのがインタビューのシーンなのかなと思えます。
キャストのみなさんのナチュラルで真剣な演技に圧倒されました。
SUMIREさんの食事中の目や話している時のどこか虚ろで意識が飛んでいるような空気感で、こずえに引き込まれました。森川葵さん演じるカンナの無垢な可愛さと山田くんへの強すぎる愛が怖かったです。インタビューの時の幸せそうな様子が辛かった、、、吉沢亮さん演じる山田くんの、表情を変えず、淡々と毎日を生きる、というより、こなしている様子も良かったです。そして二階堂ふみさん演じる若草さん。あの中で一番まともで一番何も関係ない女の子。最後のインタビューで、「寂しくない、と思う」と話した後に見せた涙はさすがすぎる演技でした。でもとうとう脱いじゃったなあ。そんなこと気にさせない作りでしたが!
お姉ちゃん怖かった、、
四半世紀経った「今」から見た1993年の空回りと暴走
岡崎京子の作品はあまり共感出来ない登場人物が多くて、一度くらいペラペラと読んだ程度の知識だけど、映画『リバース・エッジ』は原作をそのまま映像化したような作品だった。そのまま映像化して観客の大半に伝わるようになるまで四半世紀かかったことが作品の先駆性とテーマの普遍性を物語っているんだけど、逆にキャラクターの造形や行動が時代錯誤な部分も出てきたのが皮肉というか。
それを補うかのように、画角を終始スタンダードサイズにして、ビデオテープの映像のように加工し、ファッションも当時に則るなど、徹底して原作の舞台である1993年を再現(背景のタワマンは消せなかったのが惜しかったが)。表面上は楽しそうにしていても、空虚を抱え、誰とも心を通わせられないまますれ違い続け、暴力、ドラッグ、セックスへと空回りする青春の物語は、当時、登場人物たちと同じ年くらいだった僕には、何となくあの頃の社会全体が抱えていた焦燥感や切迫感が蘇って来たのだけれど、割りに合わなすぎる暴走の姿は、今の若い子たちにはどう伝わるのかがちょっとよくわからなかった。
ボコボコに殴って裸に剥いてロッカーに閉じ込めたり、校内で喫煙したり、キメセクしたり、校内でもセックスしたり、ベランダからタバコポイ捨てしたり、ああ93年治安悪ぃなぁーって、時代錯誤に思えて、何となく冷めた目になる瞬間も多くて。
エンドロールで小沢健二の「アルペジオ」がかかるのは、まさにピークにいながら空虚さを抱えていた彼の心情を歌っていて秀逸だったんだけど、エンドロールが残り1分くらい残ってるところで楽曲が終わってしまい、このまま無音で終わるのかなと思っていたら、おもむろにインストバージョンが流れ出し、CD垂れ流しみたいで笑ってしまった。曲がもう少し長ければ、出来ないならエンドロールの速度をもう少し早くすれば余韻も良かったのにな、と思った。
全24件中、21~24件目を表示