「修道士は沈黙しない」修道士は沈黙する mk7さんの映画レビュー(感想・評価)
修道士は沈黙しない
主演のセルヴィッロの演技分だけ評価。強い引力を持つ名優だ。
ロケ地も映像も美しい。特に序盤の空港と庭のシーンは秀逸。
ただ脚本はいただけない。
政治や経済の思想を断片的に咀嚼するのでも、物足りない。
まず修道士である必要はなかった。
なぜなら厳格な戒律に生き、思慮深い作家なら、ロシェの招待を受けなかったはずだから。しかもあんな目立つ場所に赴くなんて。
古くからの友人で孤独な人から「私の最期を看取ってほしい」と乞われたなら別だが、まったく説得力がない。
そして肝心の沈黙は皆無。
ただ人を選んで語るのを拒んでいただけで、回想でロシェの告解をダダ漏れさせてるのも、むしろ雄弁だ。
舞台の矛盾や人物の薄さについては、別の方が書かれているので省略。
明らかに不要な役も数人あった。
それと、今どき国のトップが集まる場では、スケジュールはアプリでガッチリ管理してるようですよ。
サルス視点で追うのではなくて、サルスと対峙する者からの視点のほうが、沈黙は描かれたかもしれない。
まあ、途中から喋り出すんだけど。
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