「人類はダメな奴なんです」歓びのトスカーナ ミカさんの映画レビュー(感想・評価)
人類はダメな奴なんです
イタリア映画はやっぱり世界で一番カメラが美しいと思います。洋服ひとつ見ても、色彩豊かですよね。トスカーナの風景も美しい。そんな美しいトスカーナが薄れてしまうくらいインパクトのあるベアトリーチェとドナテッロ。ベアトリーチェの様な虚言癖やギャンブル狂的な人間が回りにいたら嫌ですが、それも人間なんですよね。個人ではどうすることもできない場合がある。そもそも性格も遺伝や生まれ持ったものだとしたら、努力や自己責任という言葉にも意味がない。本当イタリア映画ってこういう包容力のある作品を描くのがうまいと思う。人類は“ダメな奴”だからという前提で生きてるからいろいろと寛容ですよね。
映画のエンドタイトルには「イタリアの措置入院は○○年にそのあり方が緩和された」との断り書きがあった。
楽しい作品ではあったけれど、実はそれこそがあの映画の言わんとした事。
居室内で幻覚を見て、ナイフを振り回して大騒ぎの女性が出ていたが、別室に運ばれ、ベッドで抑制されて鎮静剤を注射されるシーンがあった。
僕は注視していたが、Gパンは履いたままで失禁も映っていなかったが、あれは象徴的で暗示のある光景だったのですよ。
僕は脱走した女性に付き添って病院に行った経験があります。
あっという間に大人数の職員に押さえつけられて、鎮静剤を注射され、同時にあっという間に下半身は全て剥ぎ取られて紙おむつを当てられてしまった。僕の眼前で。
たぶんベアトリーチェもドナテッラも、劇中では撮影は割愛されていたけれど同じように《脱走者への処置として》同じ事をされていたはずです。
精神病院ものは、本当の姿は凄まじい。
ミカさん、そうなんです、イタリア映画見ると、努力~!とか日本でよくある道徳的なこと気にしなくていいのが救いになります。食事もお喋りも楽しく(楽しそうで)、色彩感覚は天性で・・・。かといってイタリア人になりたい訳じゃない。でも日本人であるよりいいかなとおもったりする。でもイタリア人も自殺する人いる。
なんだか変なコメントすみません!