「エウレカという作品」交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション1 おかずはるさめさんの映画レビュー(感想・評価)
エウレカという作品
交響詩篇エウレカセブンは、サンプリングカルチャーが定着した時代に、それまでのロボットアニメの魅力的な部分をたっぷり引用してみせた。一年間のシリーズ構成、音楽や世界観、キャラクターの厚みなどにおいて、本当に豊かな作品だった。キーアイテムに使われた金枝篇のように。
ここのレビューで評判の悪い字幕は、その豊かさを引き継ぐものだったと思う。冒頭のサマーオブラブは、映像だけでなく、台詞にも情報がつまっていて、ブルーレイが出れば、ヘッドフォン付けてじっくり検証してみたい。
やはり評判の悪い時系列の入れ替えも、音楽のフローと同様に、観客の感情をエンディングに向けて最高潮に持っていくための工夫で、フローと自分を同期させればその意図は理解できたのではないかしら。
レイとチャールズのエピソードをプロットの根幹としたのも、少年が自立する過程を描くという原作のテーマを、限られた尺の映画で表現するという点において正しい判断であったと思う。
とにかく上映中、確かに私はエウレカを見ているのだ、という気分に充ちて幸せだった。
きっと、楽しんだ者が勝ちなんだよ。
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