心が叫びたがってるんだ。のレビュー・感想・評価
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少女はつらいよ♥ でも、それが良い。
『時間は平等なんだからね』
それは嘘である。
こう言った『中学生日記』見たいな話。昔から好きだったけどね。
このストーリーはアニメよりも実写版の方が合っている。俳優はアニメのキャラクターよりも演技力はずっと高いので(当然の事)俳優の間がうまく話を繋いでいると思う。
アニメとほぼ変わらぬストーリー展開が、寧ろそれで良いと感じた。
また、ロケ地も秩父で現地の風情が良く伝わっている。
アニメでは酷評したが、実写ではこのストーリーを評価したい。
『ベートーヴェンの
ピアノ・ソナタNO.8』と『オーバー・ザ・レインボー』の編曲ってアニメでもやってたかなぁ。
良いですよ良いですよ。
しかし、武甲山は哀れだなぁ。
今まで見た中で一番酷い話
展開も酷いし主人公の自己中具合は最悪だし終わり方も謎。
登場人物だけスッキリして私はなにもスッキリしませんでした。
原作に忠実とのことなのでこれは原作の問題でしょうね。
演技は素晴らしかったです。
優しい気持ちになれる
幼少期のトラウマから声が出ないという少々無理のある設定を飛び越えた、芳根京子さんの演技が素晴らしい。クラスメートとの関係、伝えられない思いなど、丁寧に描かれており、いい青春映画だと思う。歌唱シーンの芳根京子さんが本当に可愛らしく、何度もみてしまいました。
先生がただ者ではない。
超平和バスターズのアニメが実写化されると、どれも配役がうまくて感心する。本作でも芳根京子と中島健人は歌声が優しくて最後の歌劇シーンが素晴らしい。よく出来た青春映画であるが、いくつか気になる点もあった。
ひとつは母親で、この映画で描かれている部分から描かれていない部分を想像するにかなりろくでもないのだ。この物語は母親との和解の話でもあると思うので、母親も決して悪い人ではないのだけど結果的にこじれてるというバランスが非常に大事なはずで、実際ラストはバランスがとれている前提になっている。しかし、映画の外側を想像してしまうとすっと落ちないラストになってしまった。
もうひとつは歌劇の出来、こんなに完成度高いわけないので違和感が残る。物語のキモになる歌やメインキャラの動きは仕方ないけど、それ以外の全員の動きが洗練されすぎ。衣装や美術だけ学生ぽくしてもダメだと思う。学生が頑張って創り上げたという感じを出す方が感動出来ると思うんだけどな。
ただ、この2点は気がつかない人には余計なお世話かもしれないので設定をネタバレありにしておきます。
思った以上の青春映画でした
これまでアニメ映画、アニメの実写化なんて絶対面白くないって決めつけて見ていたから全部面白くなく感じていました。ですが、この映画をみて登場人物の皆さんがとても演技が上手く魅入ってしまいました。元々アニメ映画を見ていて大好きな映画で実写化も期待を裏切ることなく、キャラのインパクトも最初は弱いかなって思ってたけど見ていくうちにみんなキャラにあっていて特に中島健人くんはキラキラした感じが全くなく坂上拓実の少しおどおどした感じを上手く出せていたのかなって思います。最後のみんなで叫ぶシーンはアニメ映画ではないシーンで最後の最後まで素晴らしい映画だと思いました!
言葉の大切さを実感
幼い時、よく喋る成瀬という女の子。父の秘密を母に喋ってしまい、家庭は崩れた。
そのことが原因で、喋れなくなてしまった。
高校生になり誰とも喋ることはなかったが、ミュージカルをすることになり、歌では喋れることに気が付いた。
初めは、みんなミュージカルをすることを嫌がっていたが、成瀬のがんばりを見て、みんな協力することになった。
ミュージカルは成功することになり、成瀬の声が出ることになったという内容だった。
話の展開としては、わかりやすい内容だったと思う。
しかし、話の内容は、個人的には良かった。言葉はみんなが思っているよりも大事で大切なものなんだと、この作品を観て改めて実感させられた気がしました。
誰もが、本音などを言えないと思うが、それでもがんばって自分の言いたいことをいう大切さわからせてもらう気がしました。
面白かった。
結末が予想していたものと違ってびっくりした。
芳根ちゃんの演技がとても上手で引き込まれた。
最後のミュージカルのシーンでけんてぃが王子役を演じていたが、本物の王子様感が漂っていてカッコよかった。
オリジナルと同じ。
ちょうど時期を同じくして過去のアニメ版を観る機会があり、
せっかくだから観比べてみることにした。先に観たのはこの
実写版の方で、よくここまでリアルに心情を描き切ったこと
に感動した。言葉は人を傷つけると同時に救うこともできる。
辛いのは自身の言葉が原因だと思い込む子供達のトラウマで
その「呪い」に親達がまったく気付いてやれないことなのだが、
日々の生活に追われてしまえば家族であろうと溝は生まれる。
一寸離れた立場で見守る祖父母が優しいのは、気持のうえで
余裕のある証拠。順の母は体裁を整えるだけで精一杯である。
アニメ版よりも良かったと思える箇所は各々の心情の動きや
告白シーンの分かり易さ、誤解を解くシーンが感動的だった。
佐藤浩市の息子、寛一郎が演じた田崎が早い段階で順のこと
を意識していることが分かるアニメ版に比べ、二人の会話を
省いた実写版が唐突に最後に叫ぶあのラストシーンは印象的。
怪我で捻くれた田崎がいかに優しい功労者であるかを繊細に
演じた寛一郎はさすがお父さん譲りのいい表情を見せていた。
主人公の二人はもちろん、仁藤役の石井も巧い。自身の想い
を封じ込めた彼女が彼への未練に泣くシーンでどちらも嗚咽、
オリジナルの完コピかと思えるほど相似していることに驚く。
(よくある勘違い。あんなに優しくされたら誤解しちゃうね)
ミュージカルには奇跡がつきもの
呪いなんてなかった、と本編の最後の方で成瀬は語りますが、いやいや、成瀬は両親に呪いをかけられてましたよ。夫婦関係の崩壊・家族が壊れてしまった原因を両親が背負わず成瀬に背負わせていますからね。
豊かな出会いと恋の力、そして何より音楽の素晴らしい魔力によって成瀬が成長し、ついに呪いをブチ破るストーリーには引き込まれたし感動しました。
成瀬と坂上が安易にくっつかなかったのも良いですね。ストーリーの根幹の部分においては、ご都合主義を排している誠実さが見て取れます。
そして成瀬が失恋を超えて舞台に立った場面にはグッときました。お城のシーンでは坂上が成瀬をバッチリ受け止めており、あれがあったから成瀬はさらに成長でき、舞台をやりきれたのだと思いました。
しかし、あれができる坂上は凄い。成瀬によって坂上も成長できていたとは言え、感心しつつも「高校生であんなレベルの高いことができるのか?」と思ってしまった。まぁでも、これもミュージカルの奇跡だと思えば納得です。
成瀬と成瀬母とのエピソードもなかなか味わい深いです。
成瀬は家族の負の遺産を背負わされて大変だけど、負わせた母親も罪悪感で苦しんでいる。そして、母親はそれに向かい合えずに逃げており、成瀬にきつく当たるという、負のスパイラルが生じています。つまり、母親も成瀬に呪いをかけたときに、自分にも呪いをかけたんですよね。
母親が成瀬の歌を聴いて嗚咽するシーン。ここで成瀬が母親の呪いも解いたように感じ、大変心が動きました。
物語の中盤は間延びしたように思えて結構飽きてしまったのですが(でも田崎がらみの逸話は良かった)、語り口は丁寧だし、城のシーンからラストの舞台のクライマックスに至る流れは実に素晴らしかった。
伝えることの難しさ、そして伝えて受け止めることによって大きな変化や成長、つまり奇跡が起きるというテーマもとても自然に描かれておりました。
そして何より、悲愴とOver The Rainbow のマッシュアップ、歌詞も含めて最高の一言です。音楽の魔法にかかりました。
観てよかったな、心に残る映画だなとしみじみ感じ入った次第です。
言葉なんて単純なもの、ですが…
「心が叫びたがってるんだ」見てまいりました。
公開初日の20時の回でしたが、客席は僕一人でした。映画館自体は混んでいたので、「ミニオン」や「パイレーツ」に人が流れているんだと感じました。悲しいです。
結論から言いまして、近年のティーン向け又はティーン向けアイドル映画?的な作品ではブッチギリの最高傑作です。「霧島」に匹敵するとさえ感じた。芳根京子さんの演技が素晴らしすぎます。
役者さんの演技はモチロン素晴らしい。荒々しい人もいるけど全体的に優しさに溢れています。そしてその優しさをベースとしたストーリー。素晴らしく感動致しました。この映画が持つメッセージは、若年層はもちろん、すべての世代の人に感じて欲しいです。
自分の想いを人に伝えることはシンプルな作業だと僕は思います。しかし、難しい。その難しさをこの映画は巧く表現し、俳優たちから言葉(時に音楽に乗せて)を引き出しています。
総じて、快作です。大切な人や好きな人と一緒に見たい作品です。主役が山田涼介だったら終わってましたよね、恐らく。
色々考えさせられる
タイトルの通り、時には気持ちを言葉にして伝えることの大切さを教えてくれる。私自身が言える方でなく、相手の心を汲んだり、伝え方の難しさをつくづく感じる作品であった。
派手さはないが繊細なドラマを丁寧に描いているという印象はポイントは高い。
残念なのは主人公の演技が序盤固すぎて個人的には引いた。
《最高の失恋》とは何か
”《最高の失恋》は、あなたをきっと強くする。 ”
ということで、友人に誘われ映画予告の情報のみで鑑賞。
ふれあい交流会初のミュージカルを上映する。という内容の青春映画であれば完成度は高いといえるだろう。
しかし、”最高の失恋”に焦点を当てた場合、彼ら四人の恋愛は失恋。といえるのか。というところに疑問がいく。
成瀬は、坂上の見せる行為にひかれてしまういわゆる”勘違い”から芽生える恋であり、仁藤は自分の発言から産んだ別れを3年は引きずっている未練たらたらの恋。
田崎は頑張っている成瀬へのあこがれから始まる。
そして、坂上は仁藤に対する”未練”というな表現は一切なく、むしろ成瀬への”好意”のほうが多く描かれているのだ。それがまさかのどんでん返しである。
そして、再び戻るがこの映画で表現したい”最高の失恋”は何なのだろうかと考えさせられる。
はたまた、成瀬の坂上に対する思いが最高の失恋だとすれば
幼き頃のトラウマであるラブホの廃墟で「歌が歌えなくなった」とはじまり、声が出るようになったところで坂上への暴言を吐く流れとなってしまう。そして、その後会場で歌い、失恋相手の坂上と手を取って共演するシーンへと発展する流れは成瀬の心は鋼のように強いと思わざる負えない。
数々の思い出を「嘘つき」と否定した発言をしてしまうことが果たして”最高の失恋”といわせてしまうのだろうか。
内容については、青春時代によくあることだろう。
本音が伝えられず、うまくいかないこと。
好きになった相手が実は他の人が好きということ。
何かをやろう。ということに、誰かしらの反対が出ること。
現代社会の家庭問題など、如実に表現されているとはおもう。
四人を主人公とするには内容が薄い
成瀬を主人公とするには少々無理がある展開
坂上を主人公とするには恋愛の表現が足りない(未練があるそぶりが一切ない”子ども”ならでは表現があってもよい)
仁藤を主人公とするには女の嫉妬の醜さが表現されすぎている
田崎を主人公とするには一番恋愛らしい恋愛であり、失恋らしい失恋だと思う。
ラストシーンで田崎が「成瀬順が好きだ!」と叫び、それを笑われてしまう。また、その後四人が何を叫んだのかは想像にお任せするというラストであった。
単なる青春映画としてみる分には、一人一人が協力し合っている、高校生らしさが出ていて個人的には好きではあった。ミュージカルのシーンもいかにも手作り感が出ているチープさが逆に、らしさを表現していたと思う。
しかし”最高の失恋”をうたっている中で見るには物足りなさを感じるのは否めない。
アニメがテレビで上映されるようなので、そちらも鑑賞してみる。
しかしながら実写版での”最高の失恋”における”感動”は起きなかったのは非常に残念である。
坂道のアポロン
良い映画でした。
タクミが、仁藤と昔付き合ってたけど、
今も仁藤が好きだって?
そんな描写あった?
そこが微妙。
優しい男の子は、みんなに親切で、誤解与えるのは
わかる。
野球部の心情もわかる。
仁藤の、タクミに対する気持ちもわかる。
順に、あんなに真っ直ぐ見つめられたら、
普通の男の子なら照れちゃって、目をそらすよ。
多分、タクミはモテてたから、感じなかったのかな?
でも、好きでもない女の子に、たまごなんかプレゼントしちゃダメだろ!
好きになりかけてるぐらいだったら、良かったと思う。
最後、ミュージカルは、高校生の出し物としては
妥当の演出だけど、
映画としては、もう少し派手
に、合唱とかして、ほしかったなー。
俳優は、みんな良かったよ!
坂道のアポロンの実写見たいような、見たくない様な
気持ちになった。
芳根さんが良かった。
アニメは見ていません。
ちゃんと青春を過ごしたかったと思いました。
切磋琢磨しながらミュージカルを完成させていく様子に、また芳根ちゃんの心の変化に、ただ純粋に心揺さぶられました。
綺麗な時間でした。
たしかに帰り道は、鼻歌を歌いたくなります。
芳根ちゃんの失恋は見ていてこっちも辛かった…。
芳根ちゃんの恋する表情や視線に、見ているこっちまでドキドキしました。
中島健人のミュージカルシーンだけ、「アイドル:中島健人」で少し違和感。
それはそれで良かったけど。
若さが溢れてました。
素敵な作品だったし、好きな作品です。
この映画が好きだ。
映画はヒロインの子供時代から始まります。
父親から小さい子供には受け止めきれない様な、言葉を投げつけられます。
観ていて胸が締め付けられます。発した者の意図する以上に、言葉は人を傷付ける事を印象付けるシーンです。
この映画、大人の方なら経験してきたであろう、十代の頃の傷付き易さ、傷付け易さを上手く表現していると思います。
自分が好きなシーンは、ファミレスでのシーンです。
芳根さん演じるヒロインの順が、気持ちを振り絞って言葉の重みを訴えます。
観ているこちら側にまで、訴えかけてきます。
このシーン以外でも、言葉の重さ、大事さを映画全編で見せてきます。
映画は一生懸命な順に、実行委員のメンバー、そしてクラスメイトが心動かされる形で進んで行きます。
気持ちを言葉にする事の大切さを見せつつ、平行して行動で人の気持ちが動く事も描かれています。
この映画を良いと思う要素の一つです。
と、言いつつ行動で皆を引っ張る順、ささやかな気づかいの言葉を忘れていません。
この辺り、自分も見習いたいと思いました。
それから、この映画で意外と重要な役だと思ったのが、田崎の後輩の野球部のピッチャーの子です。
順の「言葉は取り戻せない」の台詞が心に引っかかる本作品ですが、後輩の彼は言葉や行動の過ちを犯してしまいますが、その後の行動で取り戻します。
口数少ない彼が本音をさらけ出す事で、より強い関係を築き上げる。
この映画のテーマを一番体現しているのは、彼なのではないかと感じました。
この映画、心に残るものがありますが、それでいて爽やかな印象も受けます。好きな映画です。
アニメは観てませんが、配役・内容ともに良かったと思う。芳根京子さん...
アニメは観てませんが、配役・内容ともに良かったと思う。芳根京子さんの話せない時・話せるようになった後の本音を吐き出した演技は特に良かったように思う。
中島健人さんも良かったが、ミュージカルの時にアイドル感がすごい出ていたのが、良かったのか悪かったのか。
誰にでも心の中で留めて、言葉にしないことはあると思う。その中で言うべきことと言わないでいるべきことがある。きっと、そういったことで子供・大人関係なく、人々は踠き、悩む。
人の気持ちに寄り添い、本音を言い合える関係を作ることは難しいかもしれないが、そういった環境が職場や学校・家族どこかにあると気持ちはとても楽になるだろうなと思うし、実際私もそういった人がいてくれて、非常に感謝している。
映画の感想というより、考えたことを書いてしまった気がしますが、素晴らしい映画でした。
アニメも観ようと思います。
帰り道には鼻唄を
帰り道にはOver the Rainbowの鼻唄が自然と出てしまう。そんな映画。
女優とか俳優とか詳しくないので誰が何をやっているのかとかは知らないがどの人もとてもよく会っていた。
今回ヒロインの広瀬役の人は根暗風を上手く演じていた。
正直ヒロインなんだからもう少し可愛い感じの人が良いんじゃ無いかとか思いながら見ていたが、最後の最後に芋虫が綺麗な蝶に成長するかのごとく、解放され覚醒し素晴らしい笑顔を見せてくれる。これが可愛くて本当に驚ける。
漫画で覚醒させるのはよく見かけるが実写でここまで表現出来るのは化粧云々の問題では無く演技者の力量か。
広瀬の自己都合のわがままで皆に迷惑を掛けまくるにイラッとする部分もあるが、覚醒広瀬の魅力で浄化され許せてしまった。
ミュージカルは現実にやったら寒寒しいだろうなと醒めた目で見てしまう所も有るが、そこは奇跡が起こったのか、とても感動的でした。
これには映画館の大きなスクリーン、音響も多大な影響があると思うので気になっているなら見にいって欲しい。
ただ人気作ミニオンとかぶった不幸か1番スクリーンじゃ無かったのがちょっと残念。
あとエンドロールはあの流れのままミュージカルの歌を続けて聴かせて欲しかったなぁ。
劇中ミュージカル"青春の向こう脛(ずね)"が、より完成されている!
岡田麿里による、とてもよくできたプロットでありながら、アニメ版のキャラクターは好き嫌いが分かれた。良くも悪くもオーソドックスな"日本のアニメ顔"であり、アニメ嫌いのスイートスポットにストライクなのである。
デザインは、"超平和バスターズ"の田中将賀であるが、高校生としては幼すぎる。ちなみに田中将賀は歴史的ヒット作「君の名は。」(2016)にも参画している(オープニング作画)。思い返すと「君の名は。」も、登場人物とストーリーとのギャップを否定できない。その点、本作の実写版は実年齢どおりに近づけることができているのがいい。
劇中ミュージカル"青春の向こう脛(ずね)"が、より完成されている。アニメ的なナンセンスな設定(玉子の妖精とか)も削除され、流れもスムーズだ。これは単なるアニメの実写版というより、改訂版ないしは進化版(Ver.2.0)と言ってもいい。
オリジナルアニメ「心が叫びたがってるんだ」(2015)を原作に、同じアニプレックスが実写化。ここがミソ。アニメ原作を持つ同社が、実写制作を主導することは珍しい。それだけオリジナル製作者の意図が強く反映されている。
幼少時に起きた事件のトラウマで、しゃべると腹痛に襲われる女の子、成瀬順。クラスメイトの坂上拓実(Sexy Zoneの中島健人)も本音を押し殺し、無難に学校生活をやり過ごしている。高校3年生になった順は、拓実とともに、クラス担任から"地域ふれあい交流会"の実行委員に任命されてしまう。しかも担任の発案から、クラスの出し物はミュージカルに決まる。
そして、彼女と、舞台ミュージカルに挑戦する過程で、拓実は"しゃべれないなら、歌えば"と提案する。主演は、NHK連続テレビ小説「べっぴんさん」(2016)の芳根京子が成瀬順を演じる。
高校生がオリジナルミュージカルを書く・・・という設定ハードルの高さを、"もっともらしく"しているのは、クラシックや長く愛される名曲を使った、ジュークボックス・ミュージカルの一種であること。耳慣れた旋律が多く親しみやすい。しかも主人公の山本拓実にピアノの素養を持たせていることで、選曲の過程を自然にした。
また、しゃべれないがゆえに妄想癖を持ったと思われる(?)成瀬による創作世界の描写も控えめにしている。クラスメイトに振り付けを行う、E-girls石井杏奈のキャスティング(仁藤菜役)も見事で、演技力とパフォーマンス力の一挙両得だ。
さらに注目は、佐藤浩市の息子(つまり三國連太郎の孫)である新人・寛一郎が田崎大樹役で大抜擢されている。これが新人にしてはしっかりした役作りをしている。同じ実行委員の4人は、それぞれに心の傷を持っていて、それが徐々に変化していく。
観終わると思わず、"Over The Rainbow"と"ピアノソナタ第8番「悲愴」"を口ずさんでしまう。ああっ。
(2017/7/22 /ユナイテッドシネマ豊洲/ビスタ)
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