「死んだ人を生まれたての幼な子の中に見る。」ルージュの手紙 だいずさんの映画レビュー(感想・評価)
死んだ人を生まれたての幼な子の中に見る。
クレールは自分でも助産婦といっていて、息子のシモンも助産婦と言っていて自分でも助産婦になりたいといいだして、現代の話よね?今時助産婦?なんで?と思ってたら、ラストの最新病院で、これからは助産婦じゃなくて助産師と呼びますからってゆってて、あぁわざとやってんね、と得心しました。
しかもフランス語の原題がsage femmeなのでまんま助産婦の映画なんですな。(ちなみに英題はThe Midwife、こちらも助産婦の意味)
助産師という概念が広がる前から出産に立ち会ってきた助産婦の物語って意味なんでしょうかね?
携わってきた時間の長さの強調としての「古い」言葉?
まぁそんなことはどうでもよくて。
ふたりのタイプの違うカトリーヌが大活躍します。
フロさんはナチュラルでヘルシーな感じで、ドヌーブさんはエレガンスかつ脂っこい感じでいい対比でした。派手な服装、タバコにお酒に博打。似合いますねぇドヌーブに。
ドヌーブ演じるベアトリスが、わたしには影が薄くかんじました。カトリーヌフロ演じるクレールの物語の脇役って感じがしたんです。
そしてベアトリスの言動が、んーまぁあんまり共感もできず(とはいえ拒絶ってゆう強い感情も生まれず)だったので。
シモンを見てかつての夫(クレールの父)に似ていて絶句してるところはちょっとジーンとしました。
そして本筋ではないのかもしれませが、出産の現場のシーンにジーンとしました。どれもこれも。
特に、夜中にやってきた妊婦が、クレールが取り上げた子で、産まれた子供の名前が、クレールのお父さんの名前にしたように記憶していて(記憶あいまい)、クレールが望んだわけでも、妊婦の忖度でもないけど偶然そうなって。
それは言い表せぬ温かな気持ちをスクリーン越しの私にくれました。
生まれたての赤子の中には、死んだあの人がいる。
そう思うことは、どうやら幸せ。