人生はシネマティック!のレビュー・感想・評価
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プロット、キャラクターとも楽しめる良作
映画の中で映画作り、しかも軸となる脚本家の話を描くのは難しい、そこで劇中の映画を戦意高揚映画、主人公を俄か作家とすることでハードルを下げたのだろうか。「なぜ映画に惹かれるか・・」とか「生は死に支配されてはならない」とか珠玉のセリフ、劇中映画の中でもエンディングにこだわるのだから本編でもありきたりは許されない・・、Wアクシデント、男運の悪さと引き換えのような恵まれた才能、仕事運でバランスをとったのは好みの分かれるところだろう。情報省のお目付け役ソフィー(ヘレン・マックロリー)が「次の映画はハッピーエンドよ」と念押しするのも自虐的で笑える。後から思えば旦那をヒモのように見せていた意味が理解できた。ダンケルクの話はノーマン監督の作品を観ていたので理解が早いし検閲ものは三谷さんの「笑いの大学」でも観ていたので理不尽さと上手い切り抜け方の綾は同質の妙味だった。イギリス人らしいアイロニーやライトコメディ仕立てなので戦時中の悲壮感は余り感じられず、テーマの女性復権的なものより映画づくりの面白さの方に目が奪われた、女優陣も良かったが劇中の老優ヒリアード(ビル・ナイ)の存在感、歌も良かった。プロットもキャラクターも面白い映画は希少、有難い。
なぜ人は映画が好きか? 構成されているからさ。
映画「人生はシネマティック!」(ロネ・シェルフィグ監督)から。
全体的には、恋愛映画?と思いたくなるが、
メモした台詞を見直すと、やはり脚本家の映画だった。
「全ての責任は脚本にある」
「信憑性は大事だが、楽観的に描いてくれ」
「面白い作品だったが、国民が奮起して前向きになるには、
太った警官がはしごを落ちるだけではダメだ」
「脚本1ページは映像1分、フィルムで80ヤード分よ」
「これが映画だ。現実から退屈な部分は削る。
事実と真実は違う。何よりもストーリーが優先」
「女はヒーローより、ヒーローの恋人になりたがる」
「50ページのタワゴトより4つの正直な言葉を」
「たまには価値ある映画を作りたい。
人生の1時間半を捧げたくなる映画を」
脚本の面白さに触れた時、にっこり笑った主人公が印象的だ。
作品中「脚本」に関するメモを一つ選ぶとしたら、
「なぜ人は映画が好きか? 構成されているからさ。
ストーリーには、形、目的、意味がある。
不幸な展開も、作為的で意味がある、人生とは違う」かな。
人生の1時間半を捧げたくなる映画
映画はこれくらいの薄味が良い。
劇的に膨らませると、現実味がなくなる。
味覚障害になりかけている人々に、ぜひ観て欲しい。
サム・フランクリンは嫌味な男の役が似合う、嫌味で、時々とても甘い男、不器用な男。
やっと噛み合った歯車は一瞬にして外れてしまったけど、懐疑的な彼の人生論は、言ってみれば"惜しい"。
"死に意味は無い"と言った彼は、正しい。しかし、その死が他人に影響を及ぼすかどうかは別だ。
つまり、チャンスを掴むかどうか。
構成された映画の中での死に意味があるのは、意味のある死だと作為的に思わせているから。
死が意味を持つことはないけれど、すべては残された人次第だ。
人生はシネマティック、その通りだろう。
自分の人生は自分が主人公なんて言うけれど、正にその通りだ。
周りの人間との関わり方、そして彼らから学ぶこと、すべては自分次第。
脚本自分、監督自分、主演自分、でも一人芝居じゃない。
人生はシネマティック!
あなたの人生を、劇的に生きて。
I like the pictures most. 映画作りというより戦時中の女性の物語
映画作りの物語かと思いきや以外と恋愛要素が強いお話でした。これはこれで面白かったんですけどね。1つの目標に一緒に向かってる内に距離が縮まっていくストーリーって王道ですが観てて楽しいですね。
しかし、カトリンとバックリーが結ばれたかと思いきや、いきなりのあの展開はファッ!?ってなりました。でも作った映画の中に二人の姿が映ってたシーンで思わずウルっときます。
主演のジェマ・アータートンはこれまであまり観たことなかったのですが、カトリンがハマってましたね。魅力的な女優さんです。そしてビル・ナイが相変わらずいい味だしています。
しっかし映画の脚本家って脚本書き終えたら終了じゃないんですね。作ってる最中もストーリーがドンドン変わっていって。あの当時だからそうなのか、今もそうなのでしょうか?色んな意見を入れつつまとめあげるって大変だなぁ。
不幸があっても乗り越えて前に進まなきゃいけないのは戦時中でも現代でも変わらない話です。日常はシネマティックでなくても、自分も頑張ろうっと前向きな気持ちにさせてくれる作品でした。
とてもよかった
時間を勘違いしていて冒頭3分くらい見逃した。イオンシネマは15分から20分近く予告をしていたのだが、最近は9分くらいに短縮されてそれもあっての失敗だった。気をつけたい。主人公が面接に行く直前から見始めたので、その前に何があったのか気にはなるのだが、それだけのためにもう一度お金を払って見るほどではなかった。
戦時下における映画制作の映画なのだが、それ以上に恋愛映画だった。唐突に恋人になりかけた脚本家が死んだのは、状況的にありうることだけど唐突で、お涙ちょうだいっぽかった。
完成した映画の色調が古いカラー映画を再現していた。地下鉄で毛布を敷いて寝るのが辛そうだった。
みんな休もうとしているのにトランペットを吹いている人がいて、喜ばせようとしているのかもしれないが、強心臓だ。
おおかた、良いけど雑
ただの秘書が実は才能ある脚本家だったとか、
仕事仲間と実は相思相愛だったとか、
せっかく結ばれたと思った途端に不慮の事故で死ぬとか、
確かに人生、映画か!と思うようなこと、山あり谷ありというのは
わかるけど、描き方が雑すぎて感情移入できず。
でもこういうポジティブな流れの映画は、
元気が出るから嫌いではないです。残念。
タイトル通りの作品だ
軽いタッチの映画かな、なんて想像して挑んだのですが、結構な手応えのある、なかなか硬派な作品。
1人の女性が他者に依存することなく自分の人生を生きるというテーマがしっかり伝わってきました。
シナリオライターになる前のカテリンは、おそらく自分の思いを画家の夫に託して生きていたのでは、と思います。夫婦の関係は一見円満ですが、カテリンが経済力を持ち始めると狼狽する夫の姿からは、相互に尊敬し合っている関係ではないことが解ります。
偶然の出会いではあるけれど、カテリンはシナリオライターとしての才能を開花させ、これまでよりも人生が濃厚になっていきます。同僚のバックリーは感じ悪いですが、カテリンの能力を高く評価します。カテリンの変化にしょげ始める夫とは大違いです。
戦時中の話なので、生と死が隣り合わせ。それが故に登場人生たちは真摯に自分の人生と向き合っています。生と死は分断されているのではなく、本来地続きですが、日時生活ではその事実を忘れてしまう。なのでつい無為な時間を過ごしてしまう。
死を思いながら生きる事で、人生をより意味深くできることを思い出させてくれました。
後悔せず、瞬間瞬間を熱く生きなきゃなぁ、なんてボンヤリと思ったものです。
印象深いのは、クライマックスである、カテリンたちが製作した映画を観るシーン。夫と別れ、バックリーとの恋が始まった瞬間に突然バックリーの死に遭遇し、打ちのめされたカテリンを救うのは、自らが創った映画です。観客が映画に勇気付けられる姿を体験し、カテリンはそれに勇気付けられるのです。自分たちの仕事は意味があった。そして前を向くカテリンの姿には感動を禁じ得なかったです。
ロマンス要素も強いのですが、もう少し恋に焦点を当てて描いてくれても良かったかな、なんて思いました。やや気持ちの変化のプロセスが大雑把に思えました。素晴らしい映画ですが、描かれているものが沢山あるせいかややとっちらかっているのが惜しいです。
個人的に40年代の女性のファッションが好きなので(特に髪型)、カテリンがとても魅力的に映りました。カテリン演じるジェマ・アータートンは初めて知りましたが、大変エレガントでほのかにセクシー。しかし、40年代ファッションで見ると魅力が2倍増しなので、現代劇だとかなり違う印象を持つんだろうなぁ。
意外に良かった
1940年のロンドンでカトリンはコピーライターの秘書として働いていた。人手不足のため、彼女が代わりに書いたコピーが情報省映画局の特別顧問バックリーの目に留まり、ダンケルクでドイツ軍の包囲から兵士を救出した姉妹の感動秘話を映画化する脚本チームに加わることとなった。戦争で疲弊した国民を勇気づけるための映画だったが、製作が開始され、ベテラン俳優のわがまま、政府と軍による検閲や横やりなどトラブルが続出。そのたびにカトリンたちの脚本は二転三転してしまう。なんとか撮影は大詰めを迎えるが、最後に最大級のトラブルが待ち受けていた。カトリンは画家の彼氏と別れてしまい、脚本作家仲間と恋に落ちるが、彼は爆撃であっさり死んでしまう。カトリンはベテラン俳優に諭されて新たな物語に挑む事となる。映画好きのためのおすすめの1本。
全体的にぬるくて薄味で物足りなさが残る
戦時中、国民の戦意昂揚映画としてダンケルクでの美談を映画化しようとした人々を描いたブリティッシュ・コメディ。イギリスの喜劇は個人的に相性が良いと感じていて、毎年必ず一作は愛すべきキュートなコメディ映画に出会えたりするので(2016年は「ロイヤル・ナイト」が金平糖に甘く可愛いコメディで好きだった)期待感もあったのだが、この作品はそこまで嬉しくなるようなものでもなかったかなぁ?というのが正直なところ。もちろん戦時中の出来事を描いているし、ハッピーになるだけがコメディではないのは重々承知の上。ただこの作品は全体的に薄味で、全般的に物足らなさが残った。
映画自体にはいろいろな要素が盛り込まれていて、もちろん戦時中の人々の様子ももちろんだし、映画製作の裏側、そして突如脚本家として抜擢されたヒロインの奮闘、わがままな大御所俳優をはじめとした撮影所の混沌、そうして描かれるダンケルクの映画と、戦争の牙・・・と物語の中にはしっかりと多面性があって多層的なように思えるのだけれど、しかし実際に映画として描かれたストーリーを見て考えると、映画製作の裏側の面白みも、ヒロインの奮闘ぶりも、撮影所でのハプニングだらけのドタバタも、そして戦争の怖さも、いずれも中途半端な描かれ方にとどまり、どの要素もあまり印象を残さない。せっかくビル・ナイがいるのだから、もっとビル・ナイにめちゃくちゃやらせてもよかったし、無名の若手女性脚本家が呼気奮闘する社会派コメディでもよかったし、映画製作の裏側を皮肉った内幕ブラックコメディでもよかったし、ヒロインのロマンスをフィーチャーしてロマンティックコメディもあり得たわけで、そんな具合に可能性はいくらでもあったはずなのだけれど、どれもこれもをひとつまみするだけで味を感じないまま、ぬるま湯のまま終わってしまったような感覚でちょっぴり残念。まぁ、気楽に見られるコメディとして考えればそれもまた一つの味わいかもしれないけれど、題材を考えるとやっぱり物足りない、が素直な感想だった。
脚本家ってすばらしい!
脚本家の話なのね。第二次大戦中だから国威発揚につながる映画じゃないといけなくて、でも、その条件の中で「まとまな映画を作りたい!」っていう人達がいて、頑張ってくの。
でも国威発揚とか、政治のために色んな横ヤリが入って、それを脚本家が知恵と工夫でなんとかしてく。
主人公は新人女性脚本家なんだよね。だから女性差別的なとことも闘うの。
ストーリーの軸の一つは先輩脚本家との恋なの。でも主人公、既婚だから「これどーすんだよ」と思うんだけど、そこはちょっとした理由を持ち出して解決すんのね。御都合主義的とも思ったけど、まあ納得するかな。
それで同性愛者的な女の人に「いつ死ぬか解らない御時勢なんだから、素直になりなさいよ」みたいなこと言われて、素直になって「やったー!気持ちが通じ合ったぜ!」ってところで先輩脚本家死ぬの。
これどうかなと思ったね。「人はいつ死ぬか解らないし、好きな人には、好きと言え!」って話なんだけど、先輩脚本家死ななくていいんじゃない。
そして悲しみに暮れる主人公は、大物俳優から「私達の映画を観なよ」と言われて、ようやく完成した映画を観に行って、それでみんな喜んでんだよね。ここは感動する。
それで主人公は「やったんでー」ってなって、先輩脚本家の後を継いで頑張るの。
先輩脚本家死なない方が良かったなと思うけど、それでも面白かったよ。
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