「主演女優・初音映莉子の魅力を再発見」月と雷 AuVisさんの映画レビュー(感想・評価)
主演女優・初音映莉子の魅力を再発見
安藤尋監督は成人映画出身というだけあって、濡れ場が重要な位置を占める作品が多い。ただ、近年の市川由衣主演「海を感じる時」、村川絵梨主演「花芯」は文芸調と官能シーンの相性が中途半端で乗り切れなかった。
だが「月と雷」はいい。初音映莉子のプロフィールを見て思い出したが、「ミツコ感覚」、あの何ともつかみどころのない味わいの映画で主演していた。美人タイプではないが、どこか気になる色気を感じさせる。「月と雷」の泰子も、怒りや不安を秘め孤独をかすかににじませつつ、群れない意志も醸し出す。そして脱いだ姿がまた、筋肉の筋が見えるほどの痩身から哀しみを漂わせているようで切ない。3年ぶりの映画出演のようだが、もっと出演作を見たいと思わせる女優だ。
共演陣では、草刈民代がイメージを覆すアルコール依存症の中年女を好演。けだるい、のろのろとした体の動きを、高い身体能力で見事にコントロールしていた。
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