「スナックのママさんなら誰でも踊れる「フォーチュンクッキー」」リンキング・ラブ kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
スナックのママさんなら誰でも踊れる「フォーチュンクッキー」
『バック・トゥー・ザ・フューチャー』(以下、BTTF)に限りなく似ている予告編。普通ならネット小説が原作である映画なんて観るハズもないのですが、ここまでBTTFの設定に似てるとなると、類似点を検証してみたくなったため鑑賞いたました。まず驚いたのは、タイムパトロールである大倉孝二の台詞に「BTTF見てないのか?」とあったこと。もうパクリというより、開き直りでありまして、ドウダと言わんばかりです。金子修介監督作『就職戦線異状なし』の映像なんかを使って監督本人まで登場したりするのは、自虐的な意味合いがあったのかもしれません。
基本的なストーリーとしては、女子大生の真塩美唯(田野優花)が両親が離婚の危機であることを悟り、突如魔法のランプから現れた守護神(西村まさ彦)が「3つの願いを叶えてあげる」と言う。「両親が離婚しないようにして」と懇願すればそれで済むような気もしますが、なぜかバブル崩壊後の1991年までタイムスリップさせられる。両親、若き姿の由美子(石橋杏奈)と健一郎(白洲迅)は交際しているものの心がすれ違いぎみ。健一郎はイケメンの割にアイドル好き、アニメ美少女好きというオタクぶり。その2人を上手くまとめようと、由美子をアイドルそのものに仕立て上げようと奮闘するドラマです。
バブル期にタイムスリップという設定自体はまるで『バブルへGO!!タイムマシンはドラム式』みたいですが、基本的なパクリはBTTF。AKBオーディションに落ちたこと(BTTFでは学園祭のバンド)、両親をくっつけようとするところ、つい「お母さん」と呼んでしまうところ、手が透明になっていくところなどBTTFにそっくりです。ちなみに公開日の今日10月28日は、映画BTTFの中で1985年に戻ってきた日でもある。
そして、それこそオタク好みのアイドルグループ“ココリボン”に健一郎が夢中だったため、その口パクのコピーグループを作って健一郎の気を引こうとするものの、その間にスマホを盗まれてしまい、一旦はBTTF2のようなバッド・フューチャーになってしまいます。美唯タイムスリップをやり直して、今度はAKB48の楽曲を持ち込んでASG16(青山星稜学院の頭文字)を結成するのだった。
罵倒バトルに出演するなど、美唯はラップ好き。これもストーリーに若干絡んできて、タイムスリップしたことをあまり真剣にとらえてない様子の美唯。それでも「歴史変えちゃった?」などと失敗を感じるまでに成長する。長篠の戦が1575年だとすんなり出てくるほど頭は良さそうだが、「イケメン」「コスプレ」「痛い」「やばい」などと当時使われなかった言葉をつい使ってしまうところも面白い。
ワームホールは25年周期で開くとか、意味不明の授業もあったりするが、加藤諒なんて埴輪の時代から生きてるんだから、彼もワープすると幅が広がったかもしれません。終盤は完コピしたAKBの歌と踊りでファンならば楽しめるハズ。もうひとひねり、ASG16のステージの脇で誰かが電話口で「康、この曲聞いてくれ。使えるよ!」などと秋元氏に伝えるシーンがあれば加点したかもしれない。
【2017年10月映画館にて】