「2回目でなるほど!てなる」ゲット・アウト バスト・ラーさんの映画レビュー(感想・評価)
2回目でなるほど!てなる
アスでコメディ多めだったから身構えてたけどこっちは少なめ、でもコメディリリーフのロッドや脳移植の荒唐無稽なシーンでお堅い社会派作品になりすぎず纏まりが良かった
“I have black friends”論法や運転していなかった主人公が身分証を求められたり、黒人の人たちには日常あるあるなんだろうな、てシーンがホラー要素として機能しているのが新しい
秘密結社のメンバーは脳移植で黒人の身体を手に入れたい、一見差別というより信奉している一団のように見えるが、ローズの兄、陸上選手だったローズの祖父やプロゴルファーだったおじいなど黒人の身体能力の優位性だけで全てを片付けてしまう人や、主人公の身体を競り落とした盲目の美術商の様に、黒人差別が社会問題として表面化したことで逆に黒人でいることは有利、と信じる人の描写がこういう人いる~て説得力がすごい
差別されている側はこういう種類の人が本当にカルトに見えてるんだろうな
黒人は近所のコンビニに行くだけでもひげを剃って清潔な服に着替える、というのを何かで目にしたことがある“自分は安全な人間ですよ”と社会にアピールしなければならないのだ
主人公もローズの実家ではかなり感情を抑制している、過去のトラウマから彼女を見捨てて家を立ち去ることもできない板挟みになりながらもなんとか事を荒立てないように過ごす
我慢して我慢して、映画のラストで瀕死のローズを置き去りにして去るのはミッドサマーを思い出させて、かなり荒療治とはいえどこかスカッとする結末
黒人の不当逮捕の問題や、逆に黒人が被害者の殺人事件の検挙率が低かったりアメリカに住む黒人は実際命の危機を感じながら日々をサバイブしている、そんな恐怖をホラーとして語るありそうでなかった新しい感覚の作品です