「終わって欲しくない映画だった」Ryuichi Sakamoto: CODA せせらぎさんの映画レビュー(感想・評価)
終わって欲しくない映画だった
CODAは初めてレビューを書きたいという気持ちになった一編。
観たことによって受けた事柄を、還元したいという衝動に駆られた。
この映画は終始ある種の緊張感が漂い、一切飽きることなく観ることができた。ドキュメンタリーで問題にされがちな編集や構成も成功している作品だと思う。坂本龍一の、自分にそして出来事に対しても誠実に生きて来たという姿勢が垣間見られた。そこがドキュメンタリーとして成立させたさせたのだろう。
CODAでは、懐かしさと新鮮さ、壮大さと繊細さ、一般的な事と個人的な事などの一見相反するような事柄が対立する事なく複雑に共鳴していた。エピソードの、ひとつひとつに無駄がない。
研ぎ澄まされた坂本龍一の感性を通して見た世界に触れる事ができた。それだけでも幸せな時間を与えられたと思う。
アルバムasyncの制作風景も見ごたえがあり、そこには愛があると感じた。
全編通して、美しい音楽、音に満ちていた。
そして、私の耳から離れなくなった。
悲鳴のようなガイガーカウンターの音も含めて。
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