「スリル満点の人災系サスペンス・コメディー」トンネル 闇に鎖(とざ)された男 野川新栄さんの映画レビュー(感想・評価)
スリル満点の人災系サスペンス・コメディー
だいぶ前に『吠える犬は噛まない』を観てからペドゥナのファンになった
この作品を観るきっかけは100%ペドゥナを鑑賞するため
テレビドラマの方はコメディエンヌ的要素が高いが映画は何故か全面的にシリアス
地元のレンタルビデオ店では扱っていなかったため諦めて忘れた存在だったが隣の市のTSUTAYAにあったとは知らなかった
トンネルの崩壊がリアル
瓦礫に埋れた車内のセットもリアル
あまりにも杜撰な手抜き工事によるものもリアル
救出作業が難航するのもリアル
事故現場の外にいるマスコミや政治家や作業員の描写もリアル
何度かパニックになる主人公を演じたハ・ジョンウの芝居もリアル
苛立つ救助隊隊長役のオ・ダルスの芝居もリアル
もちろんペドゥナの芝居も良かった
だが携帯電話と水不足の件があまりにも不自然
食糧不足も気がかりだ
1ヶ月後になんやかんやで助かるわけだがそれだけではいくらなんでも無理がある
『海猿』に港の近くで大きな船が沈む場面があるがあれほど派手なツッコミどころではない
だけどこっちは比較的地味なだけになんとかなったのでは惜しいというか残念な思いが込み上げる
2時間くらいに収めようとあろうことか重要な部分をカットしたために矛盾が生まれたのだろうか
それとも脚本が面白いから多少の矛盾点はあってもいっちゃえいっちゃえとプロデューサーがゴーサインを出したのか
開通1ヶ月で崩壊するこのトンネルを建設した会社と共通するものを感じるがそれ程酷い作品ではない
楽しいという印象は韓国人男性が事故に巻き込まれたからではない
事故現場の外にいる人たちがあまりにも滑稽だからだ
その中でも長官とその部下の人たちが被害者の妻と記念撮影するシーンが1番面白かった
隊長がトンネルの図面を広げているときクルクルっと丸まるところがわりと好き
地味だけどクスッと笑える
トンネル内で若い女性と作業員が亡くなったことは残念だ
死人さえ出なければコメディーとして身近な人に薦めるのだが
こういうテーマにも笑いの要素をちょこちょこと入れてくるのが韓国映画らしいかな
トンネルも鍬台とか和賀仙人とか仙秋鬼首とか2キロ3キロ越えてくると途中で不安になってくるものだ
出口を出るとホッとする