劇場版 FAIRY TAIL DRAGON CRY : 特集
「FAIRY TAIL」原作者・真島ヒロ、200ページのネームを描き下ろし
劇場版第2作に込めた“熱意”
全世界累計発行部数6000万部を超える真島ヒロ氏の人気漫画をアニメ化した「FAIRY TAIL」の5年ぶりとなる劇場版第2弾劇場版「FAIRY TAIL DRAGON CRY」が、全国公開中だ。これまでにもイメージコンセプトや絵コンテを手掛けるなど、アニメ版に積極的に関わってきた真島氏が、今作では総合プロデューサーを務めて約200ページにおよぶネーム(漫画の骨格となるラフ)を描き下ろし、原作の最終章につながる入魂のオリジナルストーリーを展開させた。今回の映画.comの特集では、並々ならぬ思いで映画製作に携わった真島氏の発言の数々から、作品の魅力をひも解いていく。
「週刊少年マガジン」(講談社刊)で連載中の「FAIRY TAIL」は、火を自在に操る魔導士のナツが、魔導士ギルド「妖精の尻尾(フェアリーテイル)」のメンバーをはじめとする仲間たちと共に、強敵に立ち向かう姿を描くファンタジーアクション。2006年に連載がスタートし、テレビアニメ化(277話製作)もされた人気コンテンツだ。本作「劇場版 FAIRY TAIL DRAGON CRY」では、周囲を断崖絶壁に囲まれた孤島・ステラ王国を舞台に、世界を滅ぼすほどの力を秘めるという魔法の杖「竜の涙(ドラゴンクライ)」の争奪戦が描かれるという。
大の映画好きだという真島氏は「週に1、2本は映画を見ています。今は仕事が忙しいので年間50本程度ですが、以前は200本くらい見ていたことも」と語る。「実は個人的に、最後にどんでん返しがある映画がとても好きです。『ユージュアル・サスペクツ』『ボーン・アイデンティティー』など何度も見ています。僕にとって面白い映画には、必ずサプライズがあるんです。だから、自分の作品にも伏線やサプライズを盛り込み、ファンを楽しませることが僕の喜びです」と映画が作品作りに生きていると明かし「ファンタジーが大好きで『ロード・オブ・ザ・リング』は参考にしています。それと、中世のヨーロッパを舞台にすることが多く、『FAIRY TAIL』に登場するマグノリアという街は、中世のパリをイメージしています。ノートルダム大聖堂が出てきたりする映画はよく見ますね」と続ける。
本作のネーム作りにおいては「前作では、観客の皆さんを感動させることが大事だなと思って作りましたが、今回は泣き要素よりもバトルの熱いシーン、アクションの派手さというところを全面的に押し出していく作品にしたかったんです。何も考えずに映画を見終えたあと、『楽しかったね』と言っていただける映画になればいいなと考えました」とエンターテインメント性を最重視したという。「FAIRY TAIL」といえばダイナミックな戦闘シーンが大きな売りだが「ラストのバトルシーンは僕がネームに描いたものより、より派手に演出してほしいと依頼しました。アニメ製作スタッフと話し合いを重ねて製作したので、きっと面白くなっていると思います。見てくださったファンの皆さんが喜んでくれたなら、ぜひアニメ製作に関わったスタッフをたたえてほしいですね」と手ごたえを語りつつ、スタッフをねぎらうところに真島氏の人柄がにじむ。
また、本作ではファンに向けた大きなサプライズもあるという。「ぜひ劇場で確かめていただきたいのですが、原作で明かされていない某キャラクターの過去が明らかになります。きっとファンの皆さんにとっては『おーっ』と驚いていただけるのではないかと思います。またエンドロールが終わる最後まで、ご覧になっていただきたいです」と含みを持たせた。新キャラクターも多数登場するが、お気に入りは「敵キャラのスワンですね。ネームで考えたキャラクターより劇場版では魅力的なキャラクターになっているので、ぜひ注目していただきたいです」と語った。
本作はすでに、アメリカ、イギリス、アイルランド、オーストラリア、ニュージーランド、フランスなど世界16カ国での同時公開も決定。改めて世界的人気作品であることをうかがわせるが「海外でも『FAIRY TAIL』は人気があるとうかがっていましたが、Twitterを始めてから海外の方のリプライなどが多くて、反響を感じました。最初に海外での反響を肌身で感じたのが、台湾でサイン会を行ったときで、そのころから意識するようになりました。海外からのファンレターもいただきますし、SNSを通して(ファンからのメッセージが)くることもあるのですが、なるべくファンの気持ちを感じたいので、Google翻訳などを利用し、メッセージを理解しようと務めています。Twitterはけっこう楽しんで更新していますよ。ファンの方からいろんな話が入ってくることもとても楽しいです」とファン思いの一面を垣間見せた。