「アラスカで 一旗あげて ガッハッハ」ウェンディ&ルーシー bloodtrailさんの映画レビュー(感想・評価)
アラスカで 一旗あげて ガッハッハ
になれば良いどすねぇ。
頑張れ。ウェンディ。
2008年製作時点でミシェル・ウィリアムズは28歳。冒頭の彼女が、ビックリするくらいに不美人でビビるw
大陸内を、88年型アコードで車中泊しながら移動するウェンディの心の支えは、中型犬のルーシー。職を求めてアラスカを目指す途中のコロラドで、アコードが始動不能となる事から始まる転落劇。
貧困と就職難。2008年頃って、アメリカイケイケの時期だったはずなんじゃ?と思ってたら、彼女の出発点がルイジアナと聞いて。ハリケーンかいな?
明らかに困窮している彼女に、老守衛が「黙って受け取れ」と渡したのは、数枚の少額紙幣。他人の援助を当てにしても救われる事は無いよ、って言う。
アラスカまでの移動に掛かる費用を計算し、手持ち資金のやり繰りをしていたウェンディの計画は、クルマの故障と言う外乱で崩れ、後は転落の一途を辿るのみ。
アメリカの世相を映す鏡は、ギリギリで成立している生活が、いとも簡単に崩壊して行く様を、若い州外移民の女性を通し、淡々と描写して行きます。ほぼ演出無しでドキュメンタリー的な撮り方が、効果的にリアリティ増し増し。
スーパーから連れ去られたルーシーを、ルーシーの身を思い「良い家」に置き去りにするウェンディは、アコードも捨てて貨物列車に飛び乗る。
そうなんですよ。全てを捨てて、と言うか剥ぎ取られて、と言うか。とにかく「身一つ」となってしまうウェンディ。
人は所詮孤独なのだ。なのか。
孤立する家族と人々。なのか。
アメリカの将来を示唆したいのか。
緩やかに突き付けられたナイフみたいな映画でした。ノマドより20年以上前に、こんな映画を撮ったライカールト監督ぬ敬意の念を抱かずには居られません。
良かった。かなり。
と言うか。
2008年時点で、このオファーを受けたミシェル・ウィリアムズも偉いと思います。
今晩は
私がコロナ禍になってからの、契約している配信会社の変遷。”N"⇒”W"⇒”U"
で、現在”U"でライリー・カート特集をしてくれているので、順番に観ています。
日曜日は、名古屋のミニシアタ―に行く予定でしたが、人混みが嫌いなのと(ベストはロックをガンガンにかけながら愛車をぶっ飛ばして映画館に行く、です。)流石にこの状況下で名古屋はまずいなあ、と言う事で、家に籠り、配信三昧でした。
けれども、映画は映画館で観たいですね。当たり前ですが。(心に残る度合いが明らかに違うと思います。)
コロナ禍が過ぎたら、広島の「八丁座」を始めとして、全国のミニシアター巡りをしたいと思っていますよ。では。
今晩は。
私、恥ずかしながらケリー・ライカート監督の存在すら数週間前まで、知らなくて。配信で観た虚飾性のない「オールド・ジョイ」に元山男で”焚火好きと言う事もあり、見事に嵌りました。
で、今作もとても良くって・・。
”2008年時点で、このオファーを受けたミシェル・ウィリアムズも偉いと思います。”
全く同感です。
化粧っ気のないミシェル・ウィリアムズの魅力的な事。
私が彼女を劇場で初めて観たのは、今作の数年後の「マリリン7日間の恋」でしたが、配信で故ヒース・レジャーと共演した「ブローク・バック・マウンテン」を見て、”出演作に拘りを持った女優さんなのだな・・と思いましたよ。では。