「.」ライフ(2017) 瀬雨伊府 琴さんの映画レビュー(感想・評価)
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自宅にて鑑賞。英・米合作。製作陣は『エイリアン('79)』に触発され、意識して作ったとの事だが、残念乍ら及ばなかった様だ。このテのSFスリラーを観馴れている者にとっては、新鮮味に欠け、思った通りに展開し、或る程度の段階でオチ迄読めてしまう全て想定内に留まった出来になっている。クリーチャーはヒトデか蛸の様な軟体生物を彷彿させるユニークな外観で魅力的である反面、凶暴性のみが際立ち、然程知性的に感じられない。ズバ抜けて面白くもないが、眠気を誘う程、退屈でもなく、キャスト陣が豪華なだけに惜しい一作。60/100点。
・所謂“ファースト・コンタクト”ものとして、登場する主要キャスト六名は志高く、潔く悲惨な運命を受け入れ、自己犠牲も厭わないその姿勢に心が揺さぶられた。基本的に本作にはエゴにまみれた様な醜い人物は登場しない。
・冒頭、シームレスにまるで長回しの如く流れるカメラワークに始まり、画的にはラスト迄悪くなかった。恐らくこれはCGIや合成に頼らず、英国ロンドンのシェパートン・スタジオに国際宇宙ステーション“ISS”をシーン毎に合った船内を複数再現し、撮影された事に由る為であろう。
・無重力シーンでは殆どの出演者がハーネスに吊られる事となり、シーケンスに依ってはカメラマンを始めとしたスタッフも吊られた現場も有ったらしく、システム・エンジニアの“ショウ・ムラカミ”を演じた真田広之曰く一日四時間以上吊られっ放しだった事がざらにあったと云う。
・検疫官“ミランダ・ノース”を演じたR.ファーガソンは、自ら実力以上だと大役に懼れをなして余りにも緊張してしまい、一旦この役を断ったらしい。だがそれを聴き付けた監督が長時間を掛け説得し、当初の予定通りの役で彼女を撮影に臨ませた。
・R.レイノルズは当初、J.ギレンホールが演じた医師の“デビッド・ジョーダン”にキャスティングされていたが、『ヒットマンズ・ボディガード('17)』との兼ね合いでスケジュールが合わず、約40分程度の出番となる航空エンジニア“ローリー・アダムス”役に甘んじる結果となったが、出演者の中では最も高額なギャラを取った。
・殆どの国でD.エスピノーサ監督の誕生日である3月23日が初日公開日となった。
・公開前、本作は'18年10月5日に公開が予定されている『ヴェノム』の前日譚ではないかと噂された。それは『スパイダーマン3('07)』の映像が(TVCMにも使われた)本作のトレーラーに一部流用された事、製作・配給が“スパイダーマン”シリーズと同じソニーである事、そして事前に公開されていた設定や情報が『ヴェノム』に似ていた事等に由る。
・ラストのキャスト・クレジットは珍しく、縦型にスクロールしないTV番組やドラマ等でよく見掛ける紙芝居の様に切り替わる表示が使われている。
・鑑賞日:2017年11月18日(土)