「あいからず変態だが、かなりフツーの話になってしまった」フィフティ・シェイズ・ダーカー Naguyさんの映画レビュー(感想・評価)
あいからず変態だが、かなりフツーの話になってしまった
官能SM映画の続編である。原作小説は累計1億部を超え、第1作「フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ」(2015)は世界興収570億円超を達成。続く本作も世界51ヵ国で初週No.1スタートダッシュなのである。しかし、おそらく日本だけ置いてきぼり(前作は初週5位)だが、これは国民性なので仕方ない。
前作は、処女の女子大生のアナスタシア(アナ)と、若くて肉体派で仕事ができて大富豪だけどサディスト性癖を持つクリスチャン・グレイと、"Domination & Submission" (支配と服従)の契約を交わして付き合うという恋愛モノ。前作で別れてしまった2人がお互いを忘れられず、本作では新たな契約(約束)によって復縁する。
主演2人の肉体美だけは最高級。2年前と変わらずに、このカラダを維持し続けるストイックさに感心するばかり。スキがない。
しかし、ヒトは馴れるものである。特異関係であることがこの映画の唯一のとりえである。つまり鮮烈かつ開放されたパーソナルな性描写だった前作に対して、かなりフツーの平凡な話になってしまった。原作三部作の本筋であるクリスチャンの心の闇へと踏み込んでいく。
このシリーズで観客を満足させるには刺激を増強しつづけなければならない。あいかわらず、"変態"は"変態"なのだが、アナが一回拒否したこともあってか、だいぶんノーマル(本作では、"バニラプレイ"という)に近づいてしまった。
もしくは、観ているこちらが"SMプレイ"や"グッズ"を見馴れてしまったのか(驚!) こまったもんだ。
新キャラとして、クリスチャンをD&S世界に引き込んだ女性エレナ役でキム・ベイシンガーが登場するほか、だんだんミステリー要素が強まり、話の方向が変わってきている。
エンドロールの途中で、第3弾「フィフティ・シェイズ・オブ・フリード」の予告が流れる。最後までちゃんと観ましょうね。完結編は来年バレンタインデー(北米では)。
(2017/6/24 /TOHOシネマズシャンテ/シネスコ/字幕:栗原とみ子)