「マレーネ・ディートリッヒの歌」パーソナル・ショッパー talismanさんの映画レビュー(感想・評価)
マレーネ・ディートリッヒの歌
面白いよ~!と映画友達に教えてもらって急いで見に行った。面白かった!幽霊、霊媒師、差出人不明のメッセージ、双子の兄妹の兄ルイスが死んだ、この双子兄妹はどちらかが最初に死んだらサインを送るという約束をしていた。これとセレブの為の買い物担当=パーソナル・ショッパーはどのように結びつくのか⁉️
双子の妹の方のマウリーンはパリで、著名人で忙しいセレブ女性のキーラの為にハイブランドのゴージャスなドレス、靴、ジュエリー、バッグ、ランジェリーなどをパリやロンドンで買い、合い鍵渡されているキーラの豪邸に届けるバイトをしている。キーラのサイズや好みはマウリーンはもちろん、店員も熟知している。購入せず借りるだけの場合もある。ブランドはCHANELやCartierやPRADAなど。彼女は雇い主とは打って変わって地味でシンプルなスタイルで、例えば黄色のTシャツの上に薄茶色の地で幾何学模様が胸のあたりにあるセーターを着て、ジーンズにスニーカー、市内移動はバイクだ。
兄ルイスの妻だったララはマウリーンを気遣っている。でもルイス亡き今、共に暮らしていた邸宅は売るつもりだ。マウリーンも承知している。そんな中、観客はマレーネ・ディートリッヒの歌「鉋の歌」(Das Hobellied)を突然聞く。ララはアーティストなのか木材を鉋で削るシーンが何度か映る。それとディートリッヒの歌は関係あると思う。マウリーンはスマホに届く不気味なテクスト・メッセージに振り回され、ルイスからのサインに待ちくたびれ、キーラからは購入したドレスの試着を厳しく禁じられている。仕事でオマーンに居る恋人から何度も来るように誘われてもバイトやルイスを理由に行かない。
マウリーンは自分を生きていない。自分で自分を縛っている。自分自身を鉋で削る日々を送っている。やっと恋人のもとに行き山で二人ゆっくり過ごすことにする。そこでマウリーンはルイスからのサインを初めて明確に受け取る:全部、君の思い過ごしなんだよ、自分の為に自由に生きるんだよ、だから君が握りしめている鉋は手から離さなくちゃね。
演出とキャスティング、衣装、音楽がとてもよい映画だった。