劇場公開日 2025年10月3日

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「霊界への禁止、欲望への禁止」パーソナル・ショッパー 文字読みさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5 霊界への禁止、欲望への禁止

2025年10月9日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

2016年。オリビエ・アサイヤス監督。有名セレブの専属衣装係としてパリで働いている女性は霊感があるがはっきりと交信できるわけでもない。霊媒師でもある双子の兄の急死によって、退屈な仕事をしながらも霊界の兄からの交信を待ち続けるがこれといった兆しをつかめない。ところが、スマホへの匿名の着信によって雇い主であるセレブの衣装を勝手に着て出歩くようになり、、、という話。
霊媒の素質があり、霊と遭遇することもありながらも霊界につながることを拒絶されているように感じている主人公は、仕事では、セレブのために購入する美しい衣装や宝石類に魅せられながらも、試着することを禁じられている。つまり、二重の意味で「禁止」に取り囲まれている。匿名の着信は当初は霊界の兄からのメッセージかと思わせるが、次第に禁止されることで煽り立てられる主人公の欲望をそそのかすようになり、にわかに生々しい現実社会の心理的な策略がみえてくる。ふたを開ければ、セレブの浮気相手の策略によって、恐ろしい計画が進行中だったわけだが。
禁止されるから誘惑され、霊界にも自らの欲望にも翻弄されるのが、最終的にはやはり禁止されて放置されてしまう救いのない物語。翻弄の過程にあるどきどきこそが人生だってこと?

文字読み
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