「【”Fade to Grey・・"クリステン・スチュワートの美しさが際立つ、”美しくも奇妙“な異色の心理ミステリー。黒沢清監督がお気に入りという事が良く分かる作品でもある。】」パーソナル・ショッパー NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”Fade to Grey・・"クリステン・スチュワートの美しさが際立つ、”美しくも奇妙“な異色の心理ミステリー。黒沢清監督がお気に入りという事が良く分かる作品でもある。】
■セレブリティであるにキーラ(ノラ・フォン・ヴァルトシュテッテン)に代わり服やアクセサリーを買い付けるパーソナル・ショッパーとしてパリで働く霊能力があるモウリーン(クリステン・スチュワート)は、数ヶ月前に同じく霊能力があった双子の兄ルイスを自分と同じ奇形の心臓が原因で亡くし大きな喪失感を抱えていた。
ある日、何とか前向きになろうとする彼女のスマホに奇妙なメッセージが届き、又、不可解な出来事が数々起こり始める。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・今作は、カンヌ国際映画祭で監督賞を受賞しているが、受け止められ方は賛否があったようで、確かに分かりにくい部分が多々ある。
・モウリーンは兄の死の喪失感を抱えているが、同時に自分の死も意識しており、且つパーソナル・ショッパーとしての仕事にも満足していない事が、描かれる。
・モウリーンはスマホに届く奇妙なメッセージに誘われるように、禁じられているキーラのために買って来た服を着て自撮りし、それを見ていた何物かに”それの方が良い”と言うメッセージを貰うのである。
■そして、ある日、キーラがホテルで死体となって発見される。
ここからは、私の勝手な推量であるが記す。
キーラを殺したのは、モウリーンのスマホにメッセージを送って来た悪意ある霊、もしくは人間ではないかと思う。
そして、再後半にモウリーンが恋人の誘いでオマーンのリゾート地に行った時に、その部屋でも霊が現れる。
そして、彼女が霊と交流するシーンは、その霊が実は彼女自身が怖いながらも会いたいと思っていた兄のルイスであった事を示唆しているのかなと思ったのである。
モウリーンはその霊との交流で、今までの閉塞感ある生活から抜け出し、新たな一歩を踏み出すのである。
<今作は様々な解釈が出来る作品であると思う。
作品の風合は、この作品が”お気に入り”と公言する黒沢清監督作品に通じるものがあると思うが、それによって好き嫌いが別れるだろうし、実際に分かりにくい作品かもしれない。
だが、私はそれでも、この作品のクリステン・スチュワートの美しさは、際立っていると思ったし、面白く鑑賞したのである。>
■この作品は、「12カ月のシネマリレー」で、2025年10月3日(金)から全国のミニシアターで順次上映予定である。観れるかなあ・・。