「圧巻の映像と、つまらな過ぎる物語。」夜明け告げるルーのうた たなかなかなかさんの映画レビュー(感想・評価)
圧巻の映像と、つまらな過ぎる物語。
人魚伝説が残る田舎の漁港を舞台に、東京からの転校生カイと人魚の子供ルーの交流を描くファンタジーアニメーション。
監督/脚本/製作は『マインド・ゲーム』『夜は短し歩けよ乙女』の日本アニメ界の鬼才、湯浅正明。
第9回 TAMA映画賞において、特別賞を受賞!
湯浅政明らしい独特のパースとデフォルメの効いた人物描写は今作でも健在。
生き生きとした水の描写は見ているだけで楽しい。
主人公カイと人魚のルーの交流は心温まる。特に、夜の公園でカイがルーに自らの内面を語る場面では涙がほろりとこぼれました。
クライマックスでの「歌うたいのバラッド」にはやられた!
圧巻の迫力で魅せる海のうねりとカイの心からの歌唱が組み合わさり、非常にエモかった。
町の産業として傘作りが盛んであるということが最後に意味を成すところも良かったです。
クライマックスは盛り上がるのだが、そこに至るまでの展開が退屈。
ありきたりな物語で先の展開が読める上、物語の進展も遅いので40分過ぎたあたりから何度も時計を確認してしまった。
湯浅政明監督は物語のストーリーにはあまり興味がない気がする。それよりも外連味ある映像を描くことに注力しているのだろう。
迫力ある作画は勿論アニメーションには大切だが、ここまでお話が面白くないと流石に見ていてしんどいです。
ルーがポニョに似てるとか、ルーのお父さんがパンダコパンダのお父さんに似てるとかは置いといても、なんかよくある話で真新しさが無いなーと思ってしまいました。
あと、クライマックスでのカイからルーへの告白もちょっと気持ち悪い。実年齢は分からなくてもルーの見た目は10歳以下くらいな訳だし…
そんなロリコン主義なところまで宮崎駿を真似せんでも良いでしょうに。
湯浅政明監督は原作の有る作品を作る方が向いているのでは無いでしょうか?