ありがとう、トニ・エルドマンのレビュー・感想・評価
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2回の途中トイレにも負ケズ─
予想通り、いや想像以上に長かった。当初は、エンタメ的なコメディーだと思っていたけれど、これはリアルヒューマンドラマだと感じたせいもあってかなりの忍耐を要した。
実際の尺の長さも知っていたし、始まった瞬間にドキュメントタッチだったので、すぐに集中するのをやめて、ガラガラの劇場のど真ん中、靴・靴下脱いで緩い気持ち行こうと決めた。おかげで2度もトイレに行ってしまったけれど、決して話に置いていかれることなく、大いに笑い涙した。
淡々としていて、かつ突飛であり、それでもリアリティが強い不思議な作品であった。リアルの中の驚きで、泣き笑いさせられた気がする。
素直なままの現代社会を見せつけられ、決してこの世を賛美しているわけでもないしむしろ批判的な視点で捉えているようにも感じるにもかかわらず、今いる自分の世の中を何となく受け入れることができるいわば幸福感のようなもので満たされた思い。
とにかくザンドラ・ヒュラー演じるイネスに魅せられた。
でも、やはり長すぎる。
人生についての、久々良作コメディ
久々の深ーい良作でした
毎度お馴染みの薄っぺらな親子の良い話なんだろどうせwww
ああむかつく。でも町山が褒めてたから観てみるか暇だし。
と思って観に行った。が、全然違った。
あ。覚悟して観てね。
独身アラフォー勘違いババアが主人公で、このババアの異常なセックスと、観たくもないヌードシーン付きだからwww
表向きはコメディ映画。
でも、ある意味ホラー映画よりもずっと怖くて、
アノマリサを観たときに感じたような恐怖に似ていた。
生きるとは何か?を深く考えることのできる映画。
映画は、ただただエリートキャリアウーマンの日常を描くだけ。
そう。普通。普通すぎる。
多分、日本や欧米のような先進国で、一般的な中流階級の成功者といった人は、こんな人だよなぁ、といった人が主人公。
あなたの周りにもごまんといるはず。というより、あなたがそうかもしれない。
え?何が怖いかって?
そんな世の中の普通を、俯瞰した視点で見てみる。するとその普通が、とても異常なことということがわかる。
その異常なことが、世の中の普通になっている。それが何より怖かった。
映画が進むにつれて、主人公が病んでいることがだんだんと分かってくる。でも、主人公自身は、自分のしていることが異常なことで、病んでいるということに気づくことができない。
あー、もうこいつ救いようねぇ笑。
って感じ。いるでしょ?あなたの周りにも。救いようのない、中流階級の独身アラフォー物欲ババア。
この主人公が、男性ならまだ良かったんだけど女性なので、救いようのない度が半端ない。
そんなどうしようもない主人公を何とか救おうと試みるのが、主人公の父親。
このババアの唯一の救いは、この父親だよね。
そして映画のラストの父親のセリフがとても印象的。
ユーモアが大切なことは今は分からないかもしれない。でもいつかわかる。
そうなんだよね。後悔先に立たず、とはよく言いますが、異常なことをしている人って、それをしているときは、それに気づかないんだよね。
まぁ、だから後悔するんだけどね笑
後悔しないように人生生きなきゃいけないなぁと思いました。
あとは、人間関係とか人の気持ちとか、見えないものをもっと大切にしなきゃな、と。
たまにはこういう映画を観て、そこのあなたも人生とは何か?についてもう一度考えてみてください。
多分、人生経験の浅い人には、この映画の本当の良さはわからない。
主人公の行動が異常なことであることさえも、多分、わからない人にはわからない。
主人公が自分の異常さに気づかないのと同じだね。でも歳をとれば、いつか絶対にわかる。
本当に良い映画でした。
今度は酒飲みながら観たい。
にしても、ドイツって国は日本と似てんのかな?ワーカーホリックが多いんですかね?
あと、映画のタイトル長すぎwwwありがとうとかわざわざ付けんなwwwチケット買うとき恥ずかしいだろwww
シコシコとマスターベーションのシーンが印象に残る
主演女優がみてるまえで、コンサルタントの男がシコシコとマスターベーションをしだす。
で、男は鼻息が荒くなり、イッた。そして精液をケーキにかける。そしたらなんと、その精液のかかったケーキを主演女優がむしゃむしゃ食べる。。。
このように、どう反応していいか困る、そんなシーンばっか。
あとは、主人公であるクソオヤジの変装、虚偽、イカレっぷりに最後までついていけず、ガマンして観ていたが、最後までずっと苦行だった。
市場原理主義的な資本主義への批判もチープで、あのクソオヤジのような違法行為では何も変わらない。むしろ、社会が混乱する。
なぜこの映画が世界的に評価されたのか、全く不明。
あとは、とにかく長すぎる。90分くらいでテンポよく編集してほしかった。
ただ、主演の女性は、マスターベーションの
シーンなど微妙なシーンだらけの中、 演技が上手く好感がもてた。
葉っぱ一枚無くていい
高度に発達した過干渉は、魔法と見分けがつかない。
勇気ある長回しが、効果的に気まずさを増幅させるが、同時にそれは短所でもある。
役者の演技は素晴らしく、非現実的な家庭環境を生々しく魅せた。
ストレス過多の息苦しい社会にユーモアを取り戻したい気持ちも、内へ内へと向く視線を解放したい気持ちも良く分かるが、幾らそれを免罪符にしようとも、この独善的な親子を愉快には思えない。
EU圏内での社会的格差問題にメスを入れた作品でもあるのに、我が身可愛さに同僚を振り回し、後はさよならと切り捨てる事に納得いかない。
これでは視点が反対方向に移るに過ぎず、依然として視野は狭いままである。
義務を軽んじているうちに社会秩序は終わってしまう。
世の中を 憂しとやさしと思へども
飛び立ちかねつ 鳥にしあらねば
父の気持ちにぐっときた
冗談にも限度があるでしょ。
と、思いながらも、父さんの悪ふざけにハマってしまうんですね。
自分の親なんか思い出したりして、切なくなりました。
あ〜あんなふうに「突然、親が来てサイアク〜」なんて、言ったわ(泣)
忙しいアピールして、余計に心配かけたわ(泣)
笑わなくなったわ(泣)
そして…大切なものは、無くしてからようやく気がつくんだ。
今、一緒にいられることが、当たり前すぎて、今に目が向かないんだ。
笑いを交えながら、大切な人生について一緒に悩んでくれる素敵なお父さんに、キュンとすること間違いなし!
手が離れてしまった親子関係のすれ違いをユーモアで埋めていく。
ついつい、自分と親の関係のことを考えてしまった。子どもの頃はまるで以心伝心、心を全部読まれているような気がするくらいに通じ合えていた(と感じられた)はずの親とも、離れて暮らす期間が長くなり、それぞれに見るもの、食べるもの、読むもの、感じるもの、思うこと、そして過ごす時間も生活スタイルも違っていくうちに、心は明らかにすれ違ってしまう。この映画のキャリアウーマンの娘イネスと風変わりな父親の関係は、間違いなくお互いを想い合っているし慈しみ合っているのが伝わるのに、なぜかいつもぎこちなくて居心地が悪そうである。
私なんかでも、時々実家に帰ったり、あるいは両親が我が家を訪ねてきたりすると、久しぶりに見る顔に嬉しくなる半面、いつもの生活リズムが狂って落ち着かなくなるし、別れた後で感じるのは寂しさ以上に、ようやく一人に戻れた安堵感や解放感だったりするもの。この映画はそんな、すっかり大人になり、親離れも子離れもとっくに終わってしまった親子の間にあるすれ違いを見つめ、そこから親子の絆や愛を見定めていく、そんな物語なのだと思った。ぎこちなく不器用ながらも、すれ違う親子の心をすり合わせていく様子とそのユーモアに心癒されるような気分がしてなかなか良かった。
とは言え、タイトルにまでなったトニ・エルドマンという、父親が見せる扮装の人物のキャラが、予告編で期待させるほどには立っておらず、なんならサンドラ・フラーによって表現された娘イネスのキャラクター造形の方がよっぽど立体的で面白くユニークに感じられたほど。仕事に打ち込んでいる女性を決してステレオタイプな感じには見せず、人間味を齎して演じられていて、トニ・エルドマンよりよっぽど作品の中で輝く存在感を見せていたように感じたのは、必ずしも私自身の年齢がよりイネスに近いからだけではないと思う。トニ・エルドマンもっと派手にもっとめちゃくちゃやってくれても良かったような気がするし、これではちょっとキャラが弱いよ、と・・・。だって、毛むくじゃらの被り物で登場する父親より、テンパっちゃって裸のまま飄々と客を招き入れちゃう娘の方がどう考えても面白くて可笑しいでしょう?(ハリウッドでジャック・ニコルソン主演でリメイクされるのであれば、もっと破天荒なトニ・エルドマン像が見られそうな気がするので、そういう意味では期待できるかな?)
もう私は完全に娘イネスに共感し、またサンドラ・フラーの幅広い表現力に魅せられた(いつも仏頂面しているように見えるのに、怒ったり泣いたり動揺したり戸惑ったり挫折したり打ちひしがれたりという感情の振れ幅が明白に伝わる演技!)。そして私自身の少し倦怠感のある親子関係を顧みて切なくなりながらも、少し元気をもらったような気がする、そんな映画だった。
親子の関係とは何かを描いた名作
今作のダラダラとしたテンポと、ラストのあっさりとした終わり方、これはどちらも親子の関係の在り方をそのまま映画的に表現している様に思えます。
いつまでも親父のしょうもない冗談を聞かされ続け、こんな時間が永遠に続くのかと思っていると、いつの間にか映画は終わってしまいます。
自分の側にいて当たり前だと思っていた家族も、いつの間にかいなくなってしまう。そんな時になってから後悔しない様に、あの親父は娘に「人生の素晴らしさ」を身をもって伝えようとしたのだと思います。
そして娘が、祖母の帽子と親父の入れ歯という、過去の家族の思いを受け継いだ時に、親父は安心してひっそりと舞台から降りることが出来るのです。
ラスト30分の笑いの爆発力。"豊かな人生"とは何かを問われる
162分(2時間42分)と長尺だが、ラスト30分にやってくる想定外の笑いは、それまでに重ねられた知的な仕掛けと主演2人の演技力があるからこそ、強力な爆発力を生み出す。今年、この映画を観ないときっと損をしている。
グローバリズムの中で、時間と効率に追われる現代社会を風刺して、"豊かな人生とは何か"を問う映画。世界中の人が引き込まれた理由がここにある。
この映画は人生経験に比例して奥深さを増す。とくにクソ真面目に生きているビジネスマンには、この風刺の意味することが直接的に心を揺さぶるはず。
子供っぽい悪ふざけが大好きなドイツ人の父親"ヴィンフリート"。ルーマニアに暮らしている娘"イネス"は、才女でコンサルタント会社で国際的な仕事をこなすキャリアウーマン。ある日、仕事中の娘の前に父がとつぜん現れ、ひと騒動起こすが帰国。ところが今度はカツラをかぶって、バレバレの変装で、"トニ・エルドマン"と名乗って登場する。娘を想い、人生とは何かを問いかけるために、突拍子もない言動を繰り返す"トニ・エルドマン"。
"時間"を考え、"目標達成"を義務とし、数値化できる"成果"に価値を見いだし、第三者の"評価"に一喜一憂し、つぎのステージに上がることで充足感を得る。優秀なビジネスマンは、ほんとうに人生の瞬間の価値を認識できているのだろうか。
この作品の評価が割れるとしたら、まだ社会に出ていない若者、または幸運にも(?)社会の面倒くさいことから距離を置けている人。風刺作品は、身近に思い当たる事象がないと笑えるわけがない。しかしそれはそれで幸せだ。もしくはすでに”トニ・エルドマン人間”かもしれない。
この映画を観たからといって、いま頑張らなければならない緊張感で生き抜いている人を止めることはできない。実際、劇中のイネスは、職場こそ変えたが、キャリアウーマンであることに変わらない。人一倍のユーモアセンスが加わったと思うが…。
(2017/6/28/新宿武蔵野館/ビスタ/字幕:吉川美奈子)
困惑
一風変わったファミリードラマ。ストーカーの様につきまとうオヤジに困惑しながらニガ笑い、そしてジワリと感じる親の愛情。ヨーロッパの文化的な懐の深さに関心しきり。下品過ぎるシモネタに爆笑です。
まずは長かった。 なぜここまで評価がいいか分からない。 盛り上がり...
まずは長かった。
なぜここまで評価がいいか分からない。
盛り上がりどころが、来るか!?来るか!?っと期待させてくれるところはあったけれど、どれも中途半端に終わってしまい結局最後までよく分からず終わってしまった。
ドイツ映画をあまり観たことがないので比較するものがありませんが、どこも説明不足で置いていかれてしまう感がずっとありました。
この映画の背景の国際事情などを勉強してから観ていれば見方も変えられたかもしれません。
ユーモアを忘れないで
キャリアウーマンの私は、
ここ最近、ある人のおかげで、自分の生きてきた世界が正しいのか、良い世界なのか、価値観がグルングルンかき回されることがある。
そんな時に見たこの映画。
キャリアウーマンの娘と、クレイジーでおふざけが大好きな父親。
お父さん、やめてよ、恥ずかしいわよっ!
お父さん、やめてよ、生きる意味なんて聞かないでよ!
心配しないでよ、わたしはこの仕事、好きでやってんだから、きっとそうなんだから!!
娘の心の叫びが、わたしの心の叫びと呼応した。
本当に?
本当に、それは望んでいること?
仕事に埋没することが?
人々を搾取することが?
私生活なんてどうでもよくて仕事に身を捧げることが?
愛はなく、ただのセックスだけの関係が?
お前、ここにいて幸せかい?
義務だけ追っかけてたら人生終わってしまう…。
そうなんだ、だから、「ユーモアを忘れないで」、なんだね、お父さん。
そして、ありがとう、トニ。
それは・・・トニ・エルドマンに聞いてください。
最初の宅配便のシーン・・・こんな語り方をするんだな~~~~これは・・・・ながいぞ~・・・162分?もっとなが~く感じることになるだろうな~~。
スロージャーナリズム、スローニュースが流行っているが~~~~これはスロームービー、スローハッピ~~~~な作品だな~~~。
以上!
このゆっくり感がOKなひととNGなひとで評価が分かれるでしょう。
また、家族と仲の良いひとと悪いひとでも効き方が分かれるでしょう。
どっちにどんな効き方って?
それは、映画館に行ってトニ・エルドマンに聞いてください。
迷ったとき、心の指針となる映画
笑った笑った〜!
笑って泣けました。父の愛情が不器用すぎて。
心理描写が見事なので、大袈裟なコメディ芝居ではないのに、父と娘の気持ちのすれ違いが手に取るようにわかって笑えます。
突然職場にやってきた父親に「もう!何やってんのよ!!今、仕事で大事な時期なんだから帰ってよ!」と追い返さないのは、
年を取った父親の愛情をむげに出来ない娘の優しさと、
あまりにも父親と疎遠になりすぎてしまって“ここまでは言っても大丈夫”な家族の距離感すら掴めなくなってしまっているから…な気がしました。
お互いの遠慮が、ますます事態をこじらせ悲劇(喜劇)を生み出していくのですがww
トニ・エルドマンに振り回されるうちに娘は、おそらく自分でも気付いていなかった自分自身のストレスに気づきます。
娘役の女優さんのコメディエンヌっぷりが素晴らしい!
歌のシーンは笑いながら泣けました。
なかでも服を脱ぎたいシーンは見事すぎて、あれは何度見ても笑える神レベルの芸!!
でも面白いだけではなくて、笑いながら辛い。( ;∀;)
心が忙しいです。
そして、観た後は、自分の人生で何が一番大切なのかを考えさせられました。
世の中は不平等な事で一杯だから、少しでも良い生活を得ようと、日々成果をあげることに追われてしまうけど、
唯一全ての人に平等に与えられている死。。。
それに向かってながれていく時間は二度と巻き戻すことが出来ない。
自分はその時間をどう使うのか?何を優先させるべきなのか?
そう考えると、すごくシンプルに答えが導き出される。
何かにつまづいたり、選択に悩んだらトニ・エルドマンを思い出そう!
そんな心の指針となる映画でした。
とはいえ…寅さんみたいなお兄ちゃんと、トニ・エルドマンみたいな父親と、どっちが良い?と聞かれたら、どちらも丁重にお断りさせていただきますが(笑)
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