ありがとう、トニ・エルドマンのレビュー・感想・評価
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The Greatest Love of Allとクケリがいい
説明するための言葉やシーンは希薄でBGMも少なめ、
二人の心情の移ろいはしっかり届いて 引き込まれていった
人間(親子)の不完全さ 不安定さを ただただ慈しむような映画だった
Greatest Love Of All の歌唱で一気に大団円とは成らず、
まだまだ曲折は続いていき birthdayのアレには やられた
さらにダメ押しのクケリには びっくりした
その後の抱擁で暖かい気持ちに包まれた、とってもいい作品
父より愛をこめて
昨年のアカデミー賞外国語映画賞を有力視されながらも、政治的理由で『セールスマン』に破れ…。『セールスマン』はまだ未見だが、自分だったらこちらに一票入れてたかもしれない。
160分のドイツ映画、途中で飽きるかなと思いきや、ずっと気になってて見たい見たいとレンタルを待ってた甲斐があった。
良かった。昨年中に見ていたら、間違いなくBESTに入れていただろう。
普遍的な父と娘の話なのが、分かり易く、見易くていい。すんなり話に入っていける。
クスッと笑えて、しみじみさせて。ペーソスもある。人の温もりたっぷり。
でも、ちょいとクセがある。
と言うのも、この父ちゃんが風変わりと言うか変人と言うか、問題児ならぬ問題父。
父ヴィンフリート。イタズラ好き。必需品は入れ歯のおもちゃ。
冒頭シーンだけで彼の性格が分かる。
宅配業者が荷物を配達に来て、それは弟のだからと呼びに行くと…、変装して弟のフリしてご本人登場。(ちなみに私もこういう配達の仕事をしてるので、こんな親父が出てきたら、あ~面倒クセぇ…と思ってしまう(^^;)
その宅配業者も呆れ顔だが、彼がやってる事は何も相手を困らせよう、迷惑かけようとしてるのではない。悪ふざけでもない。ただただ、相手を楽しませたいだけ。
“ユーモアを忘れるな”がモットー。
確かにちょっと面倒クセぇ親父かもしれないけど、憎めないんだな。
で、ある日父はルーマニアで働く娘に会いに行く。
娘イネス。バリバリのキャリアウーマン。
画に描いたような、マイペースな父と真面目で堅物な娘。
父の気にかけ虚しく、娘は心を開かない。
ある時父は、娘の大事な仕事を邪魔してしまう。
娘はつい当たり、ぎこちない溝を作ってしまう。
勿論娘も悪いと思っている。一応笑顔で父を見送った後、涙をこぼす。
そんな娘の前に父が突然現れるが、それが何と…
“トニ・エルドマン”と名乗る。
カツラを被って、いつもの入れ歯のおもちゃを付けて、バレバレの変装。
“初対面”の時の娘のドン引いた顔と言ったら…!
一応誰かと一緒の時は娘も他人を装うが(と言うか、恥ずかしくて「父なの…」と言えないだけか(^^;)、二人になったら問い詰める。
しかし、それでも他人で突き通す父。
娘も呆れたのか観念したのか、“他人ごっこ”を続けるが…
何故かトニ・エルドマン、娘…いや、イネスの仕事にくっついていく。
時々本当に邪魔だし、ウザイし、うんざりもするが、これまた何故か周りの人に好かれる父…いや、トニ・エルドマン。
そんな父との交流を通して、娘がまた明るさを…というのも勿論込められているが、それより感じたのは、父と娘が遊んでいるのだ。
誰にも小さい頃あった筈。父親が何かに化けて、一緒になって遊んでくれる、アレ。
そんな父に本当にうんざりし、心底面倒臭く思えても、ついつい笑ってしまう一幕も。
きっとこの父娘は、昔はよく一緒に遊んでいたんだろうなぁ、と、そんな背景が見えた。
いつしか遊ばなくなり、距離を置くようになり…。
ペーター・シモニスチェク、サンドラ・フラー、女性監督マーレン・アーデ、恥ずかしながら初めましてで、失礼ながら一本も作品見た事無いが、素晴らしい!
ヴィンフリート役のペーター・シモニスチェクの、大柄だが何処か可愛らしく哀愁も漂う父親像が絶品。
イネス役のサンドラ・フラーはハンサム・ウーマン。
後、少ししか出番無いけど、イネスの秘書の女の子が可愛い~~。
160分、テンポは結構ゆったりだが、飽きさせずじっくり見せるマーレン・アーデ監督の手腕は賞モノ。
また、この手の作品はオチが定番化してるが(例えば、父が実は余命僅かで…とか)、そうじゃないラストも特筆すべき点。ちょっと唐突に終わって好みは分かれるかもしれないが、余韻は残る。
父の意表付く行動は全て、娘を心配して。娘は幸せにやっているか…?
でも、それが伝わらない。
娘も勿論本当は父の事が好き。だけど、つい…。
でも、それが伝えられない。
性格は違えど、根は似た者同士。
だからどうしても不器用にもすれ違ってしまう。
ありふれた父娘愛の話。それがいい。
万国共通。
親子や家族の絆は、何処の国も変わらない。
さて、こんな良作を勿論ハリウッドが放っておく訳がなく、お決まりのリメイク決定。しかも主演に、あのジャック・ニコルソンが映画復帰!
確かにジャック・ニコルソンがこの役を演じるのは見てみたいし、もしリメイク版が成功したらアカデミー賞でも話題になりそうだが、
でもやっぱり、オリジナルのままがいいんだな、このオリジナルが!
The Greatest Love of All
邦画では追いつけない逞しさを感じさせてくれる今作品。なるべくBGMを抑え、静寂と行間を読ませるような感情の抑制と、我慢していたモノが弾ける唐突の展開に、期待以上のカタルシスが用意されているストーリーとなっている。序盤は、娘を心配する父親のやるせなさがしんみりと表現されていて、ただ冗長ぽさを感じさせるが、ウェイティングバーのエルドマン登場シーンからは、もう切なさと寂しさをガンガンぶつけてくる。しかしそれが決してオーバーな演出になっていないのが娘役の演技によるものだと思うのが、表題のホイットニーヒューストンの曲を歌った辺りでの吹っ切れ方と、爆発力でガラッと画の雰囲気を変えたことによる転換で物語っている。何もかも馬鹿馬鹿しくなった娘の取った行動の影響は勿論父親の影響なのだが、ここに父と子の結びつきの強さが如実に表わされていて、愛おしさもひとしおである。
ハリウッドでリメイクとの話もあるようだが、これこそ邦画でリメイクすべきなのではないだろうか。キチンと逃げずに女優はあの演出を受けるべきだけどね。脱ぐことを厭わずにチャレンジすべきだ、役者達!!
心にしみる
田舎出身の独身中年女にはそれはそれは沁みるお話でした。
嫌な意味で心をえぐられるシーンも多々あり。
主人公の女がやな奴なんだこれがまた。
あたしゃ断然父ちゃんを支持するよと力強く宣言したい。
最後の父ちゃんのセリフ、思い出しただけで泣ける。
生きる意味は何か、幸せとは何か。
人は皆、成果ばかりを追い求めている
そのうちに時間が過ぎてしまう。
時間は待ってくれない。
今でも思い出すんだ
自転車の練習をするお前の姿
バス停にお前を回収しに行ったこと
その瞬間はそれがそうとは気づかない。
過ぎ去ってから本当の価値に気づく。
トニエルドマンが自分のもとに現れたことを、きっと、彼女は思い出す時が来る。
親子関係のもどかしさを味わう良作
父親の(あるいは娘の)、奇行ともいえる振る舞い。
その後に訪れる沈黙の時間。
沈黙の下に流れる様々な感情や微妙な距離感を、たっぷり味わうことができます。
話の流れとしては小津の『東京物語』
味わいとしてはベルイマンの『沈黙』を思わせるところがあります。
コメディ要素は映画を駆動するためやネタ的に利用され、散漫な印象ですが、ここを真面目にやってしまうと、観ていてしんどくなってしまうでしょう。
監督なりの想いを感じることができ、観賞後の余韻に浸ることができます。
私はあのパパを許容できかねる。
おとぎ話なんだから目くじら立てなさんなという内なる声も聞こえるけれど、私はどうしてもあのパパを受け入れられない…
そんな気持ちで約3時間鑑賞しました。
イネスの生活について、いいじゃん我がで稼いではっちゃける分にはさ、と基本イネス寄りでは見ていましたが、はっちゃけレベルが私にはぶっ飛んでますわ。
クラブの外でドラッグが一般的なんですか?
もう私には無理でがんすよ。
はだかんぼパーティとかも、玄関で速攻Uターンしますよ。
あのパパは多分絶縁の勢いで無視しちゃいますよ。
ああん、いいこと言えなーい。
よかった
娘が始終固い表情で、ところがお父さんに影響されて歌ったり発狂して全裸になるなど、異常行動をするところがとても面白い。特にホイットニー・ヒューストンの歌が感動的で素晴らしかった。せっかく全裸になったのに、ヘナヘナな物悲しいおっぱいだった。
彼女は終始固い表情なのに、彼氏に対してはSっぷりを発揮したり、パーティでドラッグを決める奔放で開放的な面もある。
ストーリーが全然技巧的ではなくあんまり面白くなくて、なにしろ長すぎて飽きた。お父さんは楽しい人ではあったのだが、ユーモアのセンスがそれほどではなく、娘がちょっと嫌がるのも分る。
長い。
飽きずに観れた。
けど、長過ぎる。
こういうの褒めた方がいいんでしょ?
ってかんじ。
この映画を褒められるほど、
センス良くないです。自分。
恥ずかしながら。
でも、ちゃんと楽しめたから、
褒めます。自分を。
宇多丸さんや町山さんの批評を聴いて、
腑に落とすこととしよう。
ハートフルではないような
噛み合わない父娘。着ぐるみを着た顔の見えない父と裸になった娘はその刹那だけ心を通わせ、抱き合い、子供のように名残惜しそうに別れる。
イネスは恋人にも友達にも優しくない。そして心を開いてくれた上司や部下とも結局のところ打ち解けない。
現状を脱ぎ捨てはするけれど、結局別のコンサル会社に移るだけで本質的には何も変わらない。
終盤、父の前で入れ歯を入れておどけてみせるが、暫くして外し、真顔になる。その真顔がラストショット。
祖母の死に「会いにくればよかった」とつぶやくが、会いに来れたでしょう?きっと父が死んだときにも同じことをつぶやく。そして父の言葉を思い出す。「義務に追われているうちに人生は終わってしまう」
お客様第一で、家族と過ごす時間も恋人とのセックスも大事にしない人生。チーズを削る暇もない生活。イネスは食べ物を食べない。唯一食べるのがあのケーキ!
前半の仕事にもがいている姿は痛々しくて何度も抱きしめてあげたくなった。
アメリカ映画なら父のおかげで人生を取り戻しハッピーになるんだろうけど、ずいぶんと苦いラストだ。
上手い
キャリアウーマンとなって自立している娘を思う父親の愛情に感動するって世評なんだけど、基本は淡々としたドイツ風(?)コメディ。そして最も心揺さぶられるのは、ドイツ大使館員だと嘘ついてパーティに紛れ込み、秘書にさせられた娘が自分のピアノの伴奏で無理やり歌わされるW・ヒューストンの「グレイテスト・ラブ・オブ・オール」、っていう。上手いな、と思いました。
良かった、ちと長かったけど。
人間らしさを忘れるほどに働く、企業の勝ち残りのために痛みを受ける人間がいることを見ない、金持ちであること自体が目的であるかのような生き方・・・疑問に思っても抗おうとしても抜け出せない生活が続く。
私自身がハッピーリタイアメントを迎える前にそういう生活を送ってきただけに、娘の(父親のちょっかいに対する)苛立ちも、父親の娘に対する心配もよく分かる。
ちと長いということはあるものの、じっくり味わいたい作品であるし、十分楽しめた。
大受けしてる理由はわからなかった
表題の通りで、まだまだだな、俺。
眠らずには観られたけど、特におもしろかったとは感じなかったし、特に感動したということもない。今すでに、最後のシーンはどんなだったか思い出せない。
歌のシーンはなんかよかった。
この程度だったので、しょうがないから町山さんの解説を読んできたよ。
EUの中での搾取される国ルーマニアと搾取する国ドイツを対比し、金持ちだが毎日追いまくられドラッグ含め刹那的な楽しみばかりのドイツ人の対比。行動面で前者に位置する娘と、後者に近い父親の対比、そして後者側から娘を心配でしょうがない父親は、下らないオヤジギャグを繰り返し、娘は困ったり、愛を感じたり。
なるほど…
並の映画だったら、一度会っただけの人の家で歌を歌うはめになり、歌ったことで目からウロコが落ちたようにその後の生活が一変してエンディング、なのだろうが、通が好むこの映画ではそんな変化は起きず、それどころか予定通りに開くパーティーをヌードパーティーにする…
このようにお話にはせずに、いかにもありそうなエピソードに終始するところが通が好むところなのかな。俺は、お話のが好きだったりするんだけどね。
今月のファーストデイは、観られずにいた本作品。会員割引や曜日割引のない映画館なので、ファーストデイありがたや。
シネスイッチ初見参 この場所でこの規模の小さな映画館が続いているってすごいな。今日の入りも1割程度なのに、頑張ってるなあ。
長いけど楽しんだ
長いけど楽しんだ。
もっと短くてもいいとおもったけど。
監督、すごーくセンスがいい。
笑いはしたけど泣きはしなかった。
イネスの仏頂面の奥に隠れた不安定さがうまいことイタいかんじに描かれていた。アシスタントの女子が異様に可愛い。が、すごく野心があって腹のなかでは何を考えてるかわからない。とか考えてしまった。
お父さん、笑えるけど、自分があんなことされたらたまらない。イネスやさしーな。
タイトルの「ありがとう」は、気持ちはわかるけどいらないと思う。
The Prankster Movie
Prankster という言葉がありまして、意味は『悪ふざけ屋』だそうです。どれくらいメジャーな言葉かは不明ですが、偽エチオピア皇帝事件の偉大なるホーレス・コール大先生は英語版wikiにおいて、eccentric prankster と紹介されておりました。現代では、サシャ・バロン・コーエンあたりがこの系譜を継いでいるように感じます。
ヴィンフリートのおっさんはコール師匠のようなキレやスケールはないけど、間違いなくprankster でしょう。悪ふざけをすると、脳内麻薬がドバドバ出て、とんでもなく気持ち良くなるんだと思います。
冒頭の双子コントとか、先生の(自分のか?)お別れ会で生徒たちにコーパスペイントさせるとか、真に無駄で無意味です。これらのエピソードから、彼は気持ちがいいから悪ふざけをしてるだけであり、悪ふざけで何かを訴えるとか風刺するとかが目的ではなく、悪ふざけ自体が目的であることが判ります。
ブカレストを訪れた時は普通のヴィンフリートでしたが、トニ・エルドマンのキャラを閃いた(もしくは持ちネタで、ここでやりたくなった)ので、残って遊んでいたんだと思います。勿論、イネスが心配という面もありますが。
ラストの着ぐるみも、どっかで見つけて「これはヤバい!着ないと死ぬ!」みたいな衝動に従ったんじゃないでしょうか。着ぐるみの頭が抜けなくなるとか、破滅型ロックンローラーのような瞬間瞬間を生きている完全燃焼感がありますね。
幼女時代のイネスは、きっと親父の悪ふざけが好きだったのでしょう。だからヴィンフリートも「本当のところ、イネスは俺の悪ふざけが好きなんだろ〜」とダメな勘違いをしてしつこくやってたのかもしれません。実際、イネスは意外と親父の設定(秘書とか)に乗ってきますし。
ヴィンフリートは遊びやゆとりがまったく無く強迫的に生きているイネスに生きる喜びを感じてほしかったのも真実だと思います。しかし、彼のブカレスト旅行の感想は「マジで楽しかった〜。イネスとも遊べたし、エルドマンはクオリティ高かったぜ、グフフ」くらいのモンでしょう。そんくらいのびのびしていたからこそ、素直に楽しんで素直に愛を伝えるなどのフリーチャイルドな態度がイネスに影響し、結果的に彼女は変われたのだと感じました。
まぁ、石油発掘現場で野○ソしようとしたのはのびのびにもほどがありますがね。あのシーンは「このオッサン、マジでガチだ!」と実に興奮しました。
映画自体はとても丁寧で、グローバル企業の人たちを単純に悪く描写しないなどステレオタイプを排した誠実さもあり、とても複雑で深みのある映画だな、と思いました。ただ、独特の間延び感がありもどかしさは感じましたね。162分はやはり長すぎて少しばかりしんどかった。
イネスの全裸パーティで、上司と秘書が乗ってくれたのが素敵でした。上司なんて一杯ひっかけて覚悟を決めて来てくれているし。秘書の子は本当にイネスを尊敬してるんだなぁと伝わります。いい仕事仲間だね。
ラストも、イネスは地元に帰ってこないのも良心的で押し付けがましくない。たぶん、ブカレスト以降、イネスなりにバランスが取れ充実を感じられるようになったのではないでしょうか。
新宿武蔵野館にて観賞
父はイタズラに自覚があり、すぐネタバレする分、意外と常識人。
娘は表情は硬いけど、仕事にやたら同行させており、どう見ても父が好きで気に掛けている。(女優のツンデレ匙加減が上手い。)
よって、イメージと相違して微細な父娘の錯誤をリアルな感情を描いた物語だった。公園で毛玉を抱くシーンはちょっと感動する。
しかし、観た後のこの作品の印象は非常に悪い。
裸パーティー、発想がぶっ飛んでおり、我ら観客ももてあそぶ秀逸なイタズラ(この父にして娘あり)だった。……ここまでは良かった。
ところが、娘はあっさり会社を辞めていることが分かる。
裸になった上司と秘書を放置して、娘はあっさりと服を着た男性を部屋に入れていた。父のことで頭いっぱいだったのだろうが、裸の2人はどうなったのか。
この2人は娘への気遣いで裸になったのだが、彼らへのフォローも情もなく自分は会社辞めちゃうなんて、娘は自分の事だけ大事で人情味が欠片も無い人物だと感じてしまう。
厳しい東欧の状況を描くシーンもあるが、娘も非情な企業と同じであり、これでは同意したり感情移入するのは無理。
なので、最後の入れ歯シーンも「勝手にしてろ」という気になった。
人情コメディとして作られているならズレてるし、スノッブなコメディならお高く止まってんなぁ、という感想。
突発力のある笑いは魅力的なんだけど。
娘に会うのに、なぜ変装までしたのでしょう。
父と娘の関係をユーモアに描いた作品。二人の関係も別れたり、現れたりの繰り返し。エルドマンがピアノを弾き、イネスが歌を披露する場面は、熱涙でありました。彼ら親子のつながりの太さを感じました。しかしこの映画の流れは、個人的に退屈した。イネスの会いに行くのにいちいち変装して現れるエルドマン。彼が現れるたびに驚くイネスに笑いました。いたらず好きの父とキャリアウーマンの娘の微笑ましい関係性にホロっとさせられた。
しかし、娘に会うのにいちいち変装するのは、如何なものか?
観客に「変装」の面白さを見せたいのか。娘のことが心配で、あのような格好しなければいけなかったのか。そこがよく判らない。
自分の思いと監督が言いたいことが、ズレて伝わる心配も非常に考えられ得る。父と娘の関係をユーモラスに描きたかったのか。ただ、娘が驚く姿を見て父は満足であったのか。着地点がはっきりしない所に、些か首を傾げたくなった。
ドイツ映画の楽しい面!
最高に楽しくて笑えて少し涙も出た。父と娘、世代の違い、経済格差、都市と田舎、差別、ジェンダー、色々なテーマ入りでもある映画。でも何より、沢山の人と映画館という同じ空間を笑いながら共に過ごせたことが嬉しかった。
●Greatest Love Of All.
深いなこりゃ。シニカルだ。ただのコメディじゃない。お涙頂戴を期待しすぎるとスカされる。
悪ふざけしといて、その裏にある恐ろしく壮大なテーマ。
親子間の世代ギャップ。富める国と搾取される国。人間らしさとは。
かと思うと、イネスの誕生日パーティの振っ切れぶりは最高に笑わせてくれる。
本人が出てった後に残された人たちのことを想像すると、また笑える。
さらに。’Greatest Love Of All’の熱唱にはグッときた。改めてその歌詞にも。
親父はいう。「義務に追われてるうちに人生は終わっちまう」。その通りだ。
自分の人生をどう生きるか。そう。人間として。
イネスはきっと金持ちだ。不自由もないだろう。でもなんかロボットみたいだ。
綺麗なベベ着て、パーチーで はしゃいで、クスリでキメて。男がぶっかけた菓子食って。
最先端いってるんだろうけど、精神的な豊かさはそこにはない。余裕というか、遊びがない。
中学生みたいな親父の悪ふざけの方が楽しそうだ。らしさがある。愛がある。
親父の時代とは比べ物にならないくらい、ものすごいスピードで先進国は発展した。
かたや、ルーマニアの厳しい現状。「ユーモアを忘れるな」の解釈が親子で違う。
誕生日パーティに、素直に「正装」で参加する秘書の女の子の覚悟、心くばり。
爆笑から一転、なんか急に泣けたわ。
ゲルマン民族が魅せる壮大な皮肉。脱帽だ。
正直いって鑑賞直後は「?」だったけど、後からくるじわじわ感がこの作品の真骨頂。
全62件中、21~40件目を表示